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環境会計ガイドライン改訂検討会(第1回)議事録


日時: 平成16年9月14日(火)
13:00~15:00
場所: 中央合同庁舎5号館5階
共用第7会議室

1.開会

鎌形課長:それでは皆様お集まりでございますので、ただいまから第1回の環境会計ガイドライン改訂検討会を開催させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。まずは開会に先立ちまして、田村総合環境政策局長よりご挨拶申し上げます。

2.環境省総合環境政策局長挨拶

田村局長:環境省の総合環境政策局長の田村でございます。「環境会計ガイドライン改訂検討会」の開催にあたり、ご挨拶を申し上げます。まず、委員の皆様方におかれましては、常日頃から、環境行政の推進にあたりまして、多大なご理解、ご協力を賜り、誠にありがとうございます。また、大変ご多忙中にもかかわらず、こうして本検討会にご参画いただきまして、誠にありがとうございます。さて、環境省では、事業者の環境保全のためのコストとその効果、これを定量的に把握するためのツールとして、環境会計手法の普及促進を図っているところでございます。これまでも、ご承知のとおりでございますけれども、平成12年の5月に「環境会計システムの導入のためのガイドライン」、これを策定いたしまして、その改訂を平成14年3月に「環境会計ガイドライン2002年版」として行ったところでございます。その他にも平成11年より、「環境会計に関する企業実務研究会」を継続的に開催しまして、手法の普及に努めて参ったところでございます。また平成15年3月に閣議決定されました「循環型社会形成推進基本計画」におきましても、そのいくつかの取組目標の一つでございますけれども、平成22年度に、上場企業の約50%及び従業員500人以上の非上場企業の約30%が、環境会計を実施しているということを目標として掲げたところでございます。平成14年度の数字でございますけれども、環境会計を実施する事業者は573社となっております。内訳で申し上げますと、上場企業の約26.8%、これは355社でございます。非上場企業の13.3%、これは218社、ということになっております。15年度、昨年度の数字につきましては現在集計中でございます、まもなく発表できると思いますが、おそらく、この573社という数字が、650社を超えるような規模になっているのではないかと思っているところでございます。しかし、環境会計はまだまだ発展途上でございます。各企業が実務に取り組んでいく中で、環境会計の手法について、様々な意見をいただいているところでございます。本年の3月でございましたが、環境会計手法の一層の改善を図るべく、コストの分類、あるいはその効果についてはその表現方法をどうするかといったことにつきましての研究報告であります、「環境会計の現状と課題」というのを取りまとめたところでございます。こうした課題を踏まえまして、環境会計のさらなる普及促進に向けました手法の確立を図るために、今般、環境会計ガイドライン改訂のための検討会を開催することといたしました。環境会計の発展のためには、実務の積み重ねに加えまして、多くの方々の検討によります理論の確立もまた、不可欠であると存じます。本検討会は、これまでの様々な検討結果を集約する重要な場であると考えておりますので、検討委員の諸先生方におかれましては、引き続きご理解、そしてご支援をお願いいたしたく、よろしくお願い申し上げます。

資料確認

鎌形課長:それでは事務局から資料の確認をさせていただきます。

事務局:お手元の資料をご覧ください。議事次第というものが一番上にございますが、それの下半分に配布資料のリストが書いてございますので、そちらと併せましてごらんください。議事次第を1枚めくっていただきますと、資料1-1と右肩に書いてございます【環境会計ガイドライン改訂検討会委員名簿】、これが1枚ものでございます。この後1枚めくっていただきますと、資料1-2、これが【環境会計ガイドライン改訂検討会設置要領】こちらも1枚ものでございます。さらにめくっていただきますと、資料1-3【検討スケジュール(案)】というものが1枚、さらにめくっていただきますと資料1-4【環境会計ガイドライン改訂にあたっての考え方(案)~「環境会計の現状と課題」を踏まえて~】というものが、この束の下まで続いております。それから資料番号は付してございませんが、研究報告【環境会計の現状と課題】という冊子がございます。これが参考資料1-1になります。さらにその下に、参考資料1-2と右肩に書いてございます、【環境会計事例】ということで、本日ご参加いただきました企業の皆様方の環境報告書からのコピーがございます。その次の束が、参考資料1-3、これは日本公認会計士協会の検討資料でございますが、【我が国における環境会計の課題と今度の発展方向】という研究報告書でございます。この後に、委員限り資料といたしまして、本日ご欠席の、横浜国立大学の八木裕之先生からのご意見がございます。それから、また冊子でございますが、資料番号を付してございませんが、「事業者の環境パフォーマンス指標ガイドライン 2002年版」がございます。あと2点ございまして、一つは水口委員よりご提出いただきました資料でございますが、一つはこれは、雑誌のコピーでございますが、経営研究調査会研究報告第22号「我が国における環境会計の課題と今後の発展方向について」というデータのものが1枚。それからもう1枚、水口委員からの資料でございますが、参考資料といたしまして、【日本公認会計士協会「我が国における環境会計の課題と今後の発展方向」の主なポイント】この1枚もので付してございます。資料といたしましては以上でございますが、不足や乱丁等がございましたら、どうぞお申し出くださいませ。

委員の紹介

鎌形課長:よろしゅうございますか。それではまず、会議に先立ちまして、委員の方々をご紹介させていただきたいと思います。こちら側からご紹介させていただきたいと思います。JSR株式会社環境安全部主査でいらっしゃいます、荒井薫委員でございます。

荒井委員:荒井です。よろしくお願いいたします。

鎌形課長:株式会社中央青山サステナビリティ認証機構、取締役副社長でいらっしゃいます、井上壽枝委員です。

井上委員:(起立して、一礼)

鎌形課長:東京急行電鉄株式会社、業務管理部・環境部、環境担当部長でいらっしゃいます、岩舘正孝委員です。

岩舘委員:よろしくお願いします。

鎌形課長:日本政策投資銀行、社会環境グループリーダー、政策企画部課長でいらっしゃいます、小畑健雄委員です。

小畑委員:よろしくお願いします。

鎌形課長:上智大学経済学部教授でいらっしゃいます、上妻義直委員です。

上妻委員:上妻でございます。よろしくお願いいたします。

鎌形課長:中央大学経済学部教授でいらっしゃいます、河野正男委員です。

河野委員:河野です。

鎌形課長:神戸大学大学院、経営学研究科教授でいらっしゃいます國部克彦委員です。

國部委員:よろしくお願いします。

鎌形課長:株式会社大林組東京本社、地球環境室長でいらっしゃいます塩田泰之委員です。

塩田委員:塩田でございます。よろしくお願いします。

鎌形課長:トヨタ自動車株式会社、環境部企画グループ担当部長でいらっしゃいます西堤徹委員。

西堤委員:西堤です。

鎌形課長:キヤノン株式会社グローバル環境推進本部環境統括・技術センター副所長でいらっしゃいます、古田清人委員です。

古田委員:古田です。よろしくお願いいたします。

鎌形課長:高崎経済大学経済学部助教授、日本公認会計士協会環境会計専門部会長でいらっしゃいます水口剛委員です。

水口委員:水口です。よろしくお願いいたします。

鎌形課長:株式会社エコマネジメント研究所代表でいらっしゃいます、森下研委員です。

森下委員:森下です。よろしくお願いします。

鎌形課長:それから、本日はご欠席でございますが、横浜国立大学経営学部教授の八木裕之様にもこの委員をお願いしてございます。以上でございます。それから、申し遅れましたが、私、事務局を勤めさせていただきます、環境省環境経済課長の鎌形でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
座長選出

鎌形課長:続きまして、この検討会の座長の選出を行ないたいと思いますが、事務局の考えといたしましては、これまで環境会計ガイドラインの策定、あるいは改訂におきましてそれぞれ検討会の座長をお引き受けいただきました河野委員に座長をお引き受けいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。

各委員:異議なし。

鎌形課長:それでは河野委員、よろしくお願いいたします。

河野座長:ただいま、座長を引き受けさせていただきました河野です。今日は大変暑うございます。上着を脱がさせていただいています。よろしくお願いいたします。先ほど局長のほうから、環境会計は、今年は予想として650社ぐらいが実施しているのではないかというお話がございました。実際に2002年度の改訂の際から見ますと、多分300社ぐらいは増えているのではないか。環境会計を実施している企業が増えますと、多分、問題点とか課題を抱えているところもそれだけ多いのではないかと思います。去年の、『環境会計の現状と課題』に、それなりにまとめられているかと思います。これから何回か、検討会が開かれるかと思いますが、皆様のご意見を集約いたしまして、大方の方に、満足をいただけるようなガイドラインができますよう努力したいと思います。重ねてよろしくお願いいたします。

3.議事
河野座長:それでは、議事次第に従いまして、議事に入りたいと思います。まず事務局から、先ほど紹介されました、資料1-2、本検討会の設置について、及び資料1-3検討スケジュール(案)等について、ご説明お願いします。

(1)環境会計ガイドライン改訂の方向性について
 資料1-2【環境会計ガイドライン改訂検討会設置要領】説明

事務局:資料1-2をご覧ください。【環境会計ガイドライン改訂検討会設置要領】でございます。
1.目的でございますが、企業等による自主的な環境保全活動は、環境への負荷の少ない持続可能な社会を形成する上で重要であり、その積極的な取組の進展が期待されるところであります。事業活動における環境保全コストと、その効果を認識し定量的に測定・伝達する環境会計の仕組みは、事業者の効率的で効果的な環境投資等を促進するとともに、社会との適切なコミュニケーションのためのツールとして、環境政策の上でも重要な意義を有するものであります。環境省では、こうした環境会計への取組を支援するためのツールとして、環境会計ガイドラインを2000年3月に策定し、2002年3月に改訂しております。その後、我が国における環境会計の導入事業者数は年々着実に増加しており、先進的な実務事例も報告されているところであります。さらに本年3月には、国内外の状況を踏まえて、「環境会計の現状と課題」がとりまとめられているところでございまして、それらの課題に対処すべく、環境会計ガイドライン改訂検討会を設置し、環境会計ガイドラインの改訂に必要な検討を実施するものであります。
2番目、検討事項。環境会計のより一層の普及促進を図るため、環境会計ガイドラインについて、2002年3月の改訂以降の実務の動向や国内外の動向を踏まえた改訂を実施したいと考えております。
この、(参考)と書かれているところには、「環境会計の現状と課題」におきまして指摘された主な課題が書かれております。
[1] 環境保全コストの整理 環境保全コストについて、環境保全活動やその効果との関連性を明確にしつつ、各々のコストの内訳整理などを検討。
[2] 環境保全効果の整理 現行の環境保全効果の指標について、環境保全活動やそのコストとの関連性を明確にしつつ、見直しを検討。
[3] 環境会計の数値を用いた環境効率性指標 環境会計の数値を用いて環境効率性を示すことについて、環境保全コストやその効果と事業活動との関係から検討を行なう。
[4] その他の検討といたしまして、企業グループで環境会計を連結する場合の手法等について検討。
と、4つでございます。

資料1-3【検討スケジュール(案)】説明
事務局:続きまして、資料1-3につきましても、併せてご説明させていただきたいと思います。現在の検討スケジュール案といたしましては、第1回目の検討会が本日でございまして、環境会計ガイドライン改訂の方向性等につきまして、幅広いご議論をいただきたいと考えております。第2回目につきましては、事前に日程を調整させていただいたところでは、現在のところ、平成16年10月8日金曜日の午前9時半からを予定しているところでございます。内容といたしましては、本日の改訂の方向性の議論を踏まえまして、改訂版の環境改訂ガイドラインの骨子案についてご検討いただければというふうに考えております。第3回目の検討会につきましては、11月上旬頃を予定しておりますが、第2回目の検討を踏まえまして、具体的な改訂版の環境会計ガイドラインについての検討を行ないたいと思っております。第3回で、ある程度の形がまとまりましたら、ここでパブリックコメントを、1ヶ月弱ほど実施したいと考えており、その後、第4回の検討会では、パブリックコメントを踏まえまして、改訂版環境会計ガイドラインとしてとりまとめの検討を行ないたいというふうに考えております。資料1-2、1-3につきましては、以上でございます。

河野座長:ただいま、資料1-2・検討会設置要領、資料1-3・検討スケジュールについて説明がございました。これについてご質問、ご意見等ございましたらお願いいたします。ございませんようですので、ご了解いただいたということで。第2回目の検討会の開催はちょっとはようございますが、よろしくお願いいたします。
それでは、引き続きまして、本検討会の方向性となります、検討資料の1-4、改訂にあたっての考え方につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

資料1-4【環境会計ガイドライン改訂にあたっての考え方(案)】説明
事務局:では、【環境会計ガイドライン改訂にあたっての考え方(案)】、資料1-4をご覧ください。それと同時に、お手元に、【環境会計の現状と課題】という冊子が、白表紙の冊子がいっているかと思いますが、そちらのほうも、ページで言いますと4ページ、5ページをご覧いただきたいと思います。白表紙のほうの【環境会計の現状と課題】につきましては、これはすべてではないと思いますが、昨年度、研究会を経まして、現在考えられるおおよその課題というものを抽出したものでございます。今開いていただいております4ページ、5ページにつきましては、これらの課題を一覧できるようにまとめたページでございます。今般のガイドラインの改訂にあたりましても、もちろんこういったこれまでの検討内容を踏まえていきたいと、こういうふうに考えているわけでございますが、非常にたくさんの課題が指摘されているところでございまして、なかなか一通りには、いかない場合もあろうかと思います。5ページの右側のほうには、時期の目安といったようなことで、短期ですとか中長期ですとか、というようなことでございますが、この短期と書かれているものはできるだけ早く、ガイドラインの改訂等でこの事項を踏まえていきたいと考えているものでございます。この図表3「環境会計の現状と課題」でとりまとめました課題から、幾つかを抽出しまして、少し整理をしたものが、資料1-4でございます。幾つか整理した課題につきまして、私のほうから説明させていただきたいと思います。資料1-4のほうをご覧ください。
  1番、「環境会計ガイドライン2002年版」、この本文中では長いですので、ガイドラインのことをGL2002というふうに省略しておりますが、これに関する検討ということでございます。まず(1)環境保全コストの性格に着目したコストの整理。環境会計ガイドラインのほうでは、現在、事業エリア内コストから、その他コストまで含めますと7分類の、一定の分類がされてはおりますが、環境保全活動とその効果の関連性を明確にするため、環境保全コストの性格に着目して、コストを整理し、それに対応する効果の表現方法を検討してはどうか、ということが一つ課題として挙げられております。(検討の方向)というのは、もちろん例示でございますが、たとえばGL2002におきましては、環境保全コストは、投資額及び費用額として分類されています。コストの性格により、対応する環境保全効果の現れ方や、コストの増減に関する評価が異なっております。このため、コストの性格に着目しまして、たとえば戦略的コストですとか、維持的コストですとか、または環境損傷対応コストのような区分を設けまして、対応する考え方、例示のようなもの、ないしは効果の表現方法についてガイドラインで示すことが重要ではないかということでございます。[1]戦略的コスト、というのは、耳慣れない言葉が出てきているわけでございますが、考え方の例といたしましては、中・長期的な観点から、環境保全機能の一層の向上を図ることを意図した戦略的なコスト。こういうコストはもちろん一時的には多額の投資や費用を必要とするかもわかりませんが、長い目で見ると大きな効果を生んでいくというコストのことでございます。特定の時期に増加する一方、その効果は中・長期的に及ぶと考えられる。[2]維持的コスト、これは現行の2002年のガイドラインでも、維持的コストというのは言葉だけは出てきておりますが、特に概念的に整理されたものではございませんでした。たとえば維持的コストというのは、主に、法規制の遵守等、現在の環境保全活動を進めることにより、環境負荷を一定の水準に抑制・維持するためのコストであると。環境負荷を一定の水準に抑制するんだと。戦略的投資の内容や取組レベルの向上により、次第に減っていくことが期待されますが、その環境保全効果は、「基準期間よりも環境負荷が増加していない」ということで示されるものです。一方、現行のガイドラインでは、環境保全効果は、その基準年、まあだいたいは前期ですが、基準年と当年を比較して、その差をもって効果という考え方をとっておりますので、環境負荷のレベルが去年も今年も同じでありましたら、それは効果ゼロというふうに現れてしまう考え方になっております。これに対しても、しっかりとした活動が必要でございまして、コストもかかっている。そういうコストはなかなか効果として捉えにくいということが、[2]番の問題意識であり、そうしたコストをあらわしていくことが重要と考えています。[3]環境損傷対応コスト。汚染浄化費用や賠償金等、環境に与えた損傷の回復等に対応するためのコストというふうに考えられます。環境保全への取組を適正に実施することにより低減されるコストであろうと考えております。1枚めくっていただきまして、2ページのほうに参りますと、現行のガイドラインとの関係を少し表にしてみたものでございます。この表の左側のほうは、現行のガイドラインの環境保全コスト分類のまま持ってきたものでございます。事業エリア内、生産・サービス活動というような事業活動領域がございまして、環境保全コストの分類といたしましては、事業エリア内コスト、上・下流コスト、管理活動コスト、研究開発コスト、社会活動コスト、環境損傷対応コストという区分になっております。それに対し、2002年のガイドラインでは、投資額と費用額の内訳を示すような形になっておりますが、さらに内部で活用する場合または外部で公表するような場合でも、こうしたコストの性格による内訳、戦略的に金額が増えることもありますというようなこと、ないしは維持的なコスト、なかなか効果としては捉えにくいコスト。そういったものを別に区分けすることができるのではないかというのが(1)での考え方でございます。
  続きまして(2)環境保全コストと環境保全対策分野等との関連の整理の考え方の案でございます。費用額は事業活動領域ごとの分類となっておりますが、さらに、環境保全コストと環境保全対策分野等との関連表を追加することなどによりまして、コストの投下目的と、環境保全効果との関係をより明確にすることを検討してはいかがでしょうかというのが問題でございます。検討の方向といたしましては、ガイドラインの2002年版におきまして、事業活動領域ごとに分類整理されております費用額を環境保全対策分野や各企業の環境目的ないしは環境保全保全計画、そういったものとの関係で整理できるのではないか、というようなことでございます。そういった整理の例が3ページに書いてございます。非常に小さな字で恐縮でございますが、環境保全対策分野別集計表のイメージ例を掲げてございます。これは大きく、左側のほうに事業エリア内コストですとか、少し右にいきまして公害防止コストですとか、さらに右にいきますと、[1]から[8]のような、大気汚染防止コストというように書いてございますが、これが現行の2002年ガイドラインにおけます分類でございます。それに加えまして縦軸を追加するのが、提案されたイメージ例でございます。縦軸のほうは、環境保全対策の分野別のものでございますが、たとえば地球温暖化対策という、そういうカテゴリーでのコストはどのぐらいでしょうかと。オゾン層保護対策としてはどのぐらいでしょうか。または騒音・振動ですとか、水質ですとか、土壌、または廃棄物、化学物質といったような、環境の保全対策分野ごとにも捉えることが、内部管理上ないしは外部に公表する場合にも、有効な情報になりうるのではないかという考え方の一例でございます。
  続きまして4ページに参りまして、環境対策資産の整理でございます。現行のGL2002は、基本的にはフロー情報のみでございます。ストック情報を、体系化するところまでいかないのかもわかりませんが、ストック情報に関するデータを少し掲げてはという考え方でございます。GL2002では、公表用フォーマットに当該年度の投資額総額等を表示することを推奨しております。しかし、環境対策資産の蓄積状況や資産の現状を明確にすることを、たとえば目的といたしまして、過去からの環境投資の状況を表現する方法を検討してはどうか、というようなものでございます。検討の方向といたしましては、過去における環境投資の状況を含めた環境投資の推移を表現するための分野別の付表などによりまして、環境対策資産を整理するということです。環境分野領域別かつ設備別の投資一覧表のイメージを掲げてございます。これはおそらく、既に内部で管理されている場合には、類似のものがあるのではないかと思いますが、たとえば5年間の投資額の推移がわかるような形の表です。一番左側には環境対策分野のカテゴリーになっております。大気汚染対策防止ですとか、水質汚濁防止ですとか、土壌汚染防止のような分野別の資産という区分が可能でありましたら、どのぐらいの投資が過去になされている、今後どういった減価償却費が発生してくるのかもわかる、というようなイメージの表でございます。
5ページに参りまして、(4)環境保全効果の表現方法の改訂でございますが、これは、2002年版のガイドラインにおきましては、「環境保全効果の表現方法」におきまして、「環境保全効果の指標」というのが、ある程度考え方が示されております。しかし、ガイドラインの2002年版が出された翌年に、これまたお手元にいっているかと思いますが、「事業者の環境パフォーマンス指標ガイドライン-2002年度版-」というものが発行されました。環境会計のガイドラインにおきましても、環境保全効果の考え方は、この「事業者の環境パフォーマンス指標ガイドライン」の影響を強く受けておりまして、こちらの改訂を出されたために、少し見直しが必要ではないかということでございます。検討の方向といたしましては、[1]「環境パフォーマンス指標ガイドライン」ここにコア指標、サブ指標などがございますが、そうしたコア指標等の指標の体系を、環境保全効果の分類の中でも取り入れてはどうかということでございます。[2]「環境保全効果の指標」につきまして「環境パフォーマンス指標ガイドライン」等を参考に、単なる指標ではなく、具体的な指標の、エネルギーならエネルギーとだけ領域を書くのではなく、総エネルギー投入量、のような具体的な指標を示すことがあり得るのではないかと。[3]また、環境保全効果の部分でございますが、解説につきまして、GL2002をより精緻化すると同時に、環境パフォーマンス指標につきましては、海外におきましても、国連貿易開発会議、UNCTAD、ないしは持続可能な世界環境経済人協議会、WBCSDなどなどにおきましても、一定の検討がなされているようでございますので、それらの成果も踏まえて、整理していくということでございます。[4]上記の指標を踏まえまして、検討し、公表用フォーマットについても見直しを図るということが考えられると思います。
6ページのほうに、仮に、指標の例を掲げさせていただいておりますが、これは「事業者の環境パフォーマンス指標」の中で、コア指標、サブ指標というものが示されておりますので、それらについて整理してみたものでございます。たとえば事業活動に投入する資源、インプットのところでございますが、インプットにつきましては、コア指標でいきますと、総エネルギー投入量、総物資投入量、水資源投入量のようなことがございますし、その内訳を示すようなものとしてはサブ指標のほうで、種類別のエネルギー投入量。例えば、再生エネルギー、再生可能エネルギーのようなものであれば、より環境の面から好ましいということもあるでしょうから、内訳も示すということでございます。種類別に、物資につきましても種類別の投入、水資源につきましても水源別の種類というような考え方があろうかと思います。アウトプットにつきましては、事業活動から排出する環境負荷または廃棄物に関する環境保全効果の例としましては、温室効果ガスの排出量ですとか、化学物質の排出移動量ですとか、総製品生産・販売量ですとか、廃棄物等総排出量、廃棄物最終処分量、総排水量などなどが、事業者の環境パフォーマンス指標では、コア指標として、関連するものとして示されておりまして、サブ指標のほうにおきましても、種類別のエネルギー投入量、CO2だけではなく、ないしはその活動領域別とか、いろいろあろうかと思いますが、それらが示されているところでございます。ただ、この表の一番下に脚注で、アスタリスクが書いてございますけれども、この事業者の環境パフォーマンス指標のコア指標は、マテリアルバランスの観点から、インプットの量とアウトプットの量を捉えるという観点で整理してございます。ただ、環境保全効果は、環境負荷の低減に資する、そうした取組の効果ということでございますので、必ずしも一致する性格のものではございません。そのへんについては両者の整理が必要ということが考えられます。たとえば私が申し上げましたのは、大きな段落で、2つ目の段落で、コア指標のところに、3つ目に、総製品生産・販売量というような例がございますが、これはそのマテリアルバランスの観点から、量を捉えるということですので、アウトプットの量を捉えるということだったのですが、環境保全効果の観点から、その製品の生産量を減らせばいいという議論なのかというと、それもまた少し、違った議論もあろうかと思いますので、そういった意味で整理が必要ではないかということでございます。
7ページに参りまして、(5)環境会計の数値を用いた環境効率性指標ということでございます。環境会計ガイドブック、これはQ&A等を収めた2002年のガイドラインに基づくものでございますが、この中のQ&Aの項目に、環境効率性指標について、指標の考え方ですとか、実務での実施例などが紹介されてはおります。指標といいますものは、ミスリーディングするおそれのある一方で、きちんとした定義を行えば、非常に読みやすい、わかりやすいものである可能性も秘めておりますので、ガイドラインの本文に取り入れることを検討してはどうかということでございます。検討の方向性といたしましては、ここで3つの性格の異なる指標のパターンを提示しております。Aというのは、環境保全コストが事業規模に占める割合。そういったものを分析するために役立つ指標としていくつか考えられるものを例示しております。環境保全コストと事業活動を比較した相対的な大きさの評価ということです。たとえば2つ目、総投資額を分母として、環境保全目的の投資額がどのぐらいか。ないしは総研究開発費を分母として、環境保全目的の研究開発費がどのぐらいだったのか、というようなことです。Bのほうに参りますと、環境保全コストの効率性を分析するための指標。環境保全コストは何らかの環境保全活動に伴い発生してきて、その環境保全活動に伴いまして効果が出てくる、という考え方でございますが、環境保全コストの投入による環境保全効果の大きさを評価するために、たとえば環境保全コスト分の環境保全効果ですとか。統合すると焦点がぼやけるということでしたら、一つ一つを絞りまして、廃棄物削減に応じた環境保全コストという例や、それに対しまして、廃棄物削減量はどうだったのか、というような考え方も成り立つかと思います。
Cのほうは、これはもう少し大きな話になりますが、事業活動量、事業規模ですね。事業活動量と環境負荷量との大きさを比較評価するような指標。これはUNCTADなどの環境効率性指標の考え方に準ずるものだと思います。環境負荷量に対応する事業活動量を評価する指標といたしましては、環境負荷量分の付加価値額でありますとか、下のほうに参りまして、事業活動に対応する環境負荷量を評価する指標としましては、これは分母、分子が逆になるような考え方ですが、事業活動量分の環境負荷量。テーマ別で申しましたら、たとえば、付加価値ですと、売上高分のCO2の排出量といったような、こういった指標も考えられると思います。
次のページに参りまして、(6)連結環境会計の取扱いということですが、2002年の現行のガイドラインでは、対象組織の範囲の中で、連結ということが、言葉だけは出ておりますが、その連結に関しての説明が一切ございませんでした。しかし、企業実務におきましては、実際には環境会計の集計範囲を企業手段とするケースが、徐々に増えてきているというふうに考えております。そのために連結環境会計の集計方法等につきましても、その考え方を整理しまして、「連結環境会計」に関する項目を何らかの形で本文に取り入れていくことを検討してはどうかということでございます。検討の方向としましては、GL2002や、企業実務でのそうした事例を参考にいたしまして、連結グループ内での集計方法や、内部取引にあたる部分の消去に関する、基本的な考え方を整理できればいいのではないかと思います。たとえば、連結して集計する場合に、2重計上される可能性の高いものとしては、片方にとりましては上流ですが、片方にとりましては下流になるようなケースがございますので、上下流コストに対応するコストに関しては、2重計上されるおそれがあるということで、そうしたことの考え方について整理し、例を示していくことがいいのではないか、ということでございます。
同じページの(7)ですが、内部用集計フォーマットの見直し。これまで(1)~(6)まで説明してきたものにつきましても、これは別に外部のみを意識したものではございませんが、特に2002年版のガイドラインにおきましては、内部集計用フォーマットはガイドラインの一番最後に、付録のようについているだけで、きちんとした説明が不足しておりました。公表用のフォーマットの検討結果を踏まえまして、もちろん外部公表用のフォーマット、見直すわけではありますが、その外部公表用フォーマットと、内部集計用フォーマットはどういう位置関係にあるんだと、そういった説明も今まではなされておりませんので、そうした説明を加えてはどうかということでございます。検討の方向といたしましては、外部公表用の集計結果を導き出す途中段階での集計結果が、内部集計用として活用されているんですよ、ということを示すために、外部公表用フォーマットと、内部集計用フォーマットの関係図のようなものを追加する。それからそのフォーマット自体も見直してはどうか、ということです。
9ページのほうに参りまして、2番、「ガイドライン2002年版理解のために」関連、これはその他というような事項でございますけれども、ガイドラインには解説はございましたがQ&Aのようなものはなく、それはガイドブックのほうにはついてございますが、解説の量がちょっと少ないのでわかりにくいという声等がございました。そこで、[1]ですが、ガイドライン本文の理解を深める観点から、ガイドライン2002年版の解説と、Q&Aの関係を多少整理しまして、Q&Aの中でも考え方を示すものについては少し整理しまして、解説として、ガイドラインに追加していくということです。[2]としまして、2003年の成果物でございますが、「環境保全コスト分類の手引き2003年版」というものを策定して公表しておりますが、そういったものの考え方を活用しまして、Q&Aについても一層の充実を図るということでございます。また、(2)として、読み方のポイント。環境会計は、これは企業で作られる、情報を発信する側の企業側だけにあるものではございませんで、利用する読み手がございます。環境会計の読み手の立場からも配慮しまして、今回の検討結果がよりわかりやすいようなものになるように、記述の仕方ですとか、Q&Aを充実していくというようなことを考えている、ということです。長くなりましたが、資料1-4の説明につきましては以上でございます。

河野座長:ただいま資料1-4、環境会計ガイドラインの改訂にあたっての考え方についてご説明いただきました。これが今回の改訂の検討にあたってのベースになるものですので、皆さんにご検討いただきたいと思います。また、これに載っていなくて大事な論点と思われるものがあれば、併せて出していただければと思います。今日の会議は1回目でございますので、それぞれの論点について結論を出すということではなくて、論点を明確にするということに重点を置かせていただきたいと思っています。皆さんにご質問というかご意見を承るところですが、先ほど資料のところで紹介がございました、日本公認会計士協会においても、環境会計の研究が行なわれて、パンフレットといいますか報告書が出されています。このことについて、水口委員のほうから、簡単にご説明いただければと思います。

参考資料【「我が国における環境会計の課題と今後の発展方向」の主なポイント】説明
水口委員:ありがとうございます。それではお時間をほんのわずかですがいただきまして、日本公認会計士協会がこの5月に公表いたしました研究報告について、今回の議論にご参考にしていただければと、このように考えております。私、水口と申しますが、この検討会は、一応、公認会計士協会の立場として参加させていただいているという関係もございますので、日本公認会計士協会の研究報告、成果についてここでご報告するのが仕事なので、よろしくお願いいたします。お手元に参考資料1-3と書いてございます、これが会計士協会の研究報告。それから旬刊経理情報の雑誌のコピーですが、これは協会の研究報告の解説記事ですので、ご参考までにお配りしました。ご興味があればお読みいただければと思います。参考資料1-3、全部を解説するのは大変分量が多いものですから、これを要約した1枚のレジメを作って参りました。これは1枚紙ですけれども、(参考資料)としまして、【日本公認会計士協会「我が国における環境会計の課題と今後の発展方向」の主なポイント】と書いたものです。この、レジメをもとに、お手元の参考資料1-3も見ていただきながら、聞いていただければと思います。
全体がI~Vまで、5つの章になっておりまして、最初の章では、会計士協会の取組を説明しております。ポイントは、会計士協会が、93年に環境会計専門部会と申します委員会組織を作りまして、93年以降、環境会計について協会として研究してきたということ。その中では内部管理目的の環境会計についてもいろいろと提言をして参りました。同時に外部公表目的に関しましては、当初から環境省さんの、ガイドラインと協力をして進めて参りまして、最初のガイドブックを作ったときにもご協力をしてきた、そのような経緯が書かれております。
IIでは、我が国における環境会計の意義と課題について検討をいたしております。ここでは、環境会計を何に使うのか、という観点から検討を行ないまして、現状、環境会計が外部に公表されているということを前提とするならば、外部に公表される環境会計は、やはり外部の利用者にとって有用な情報を提供するものでなければならない。つまり環境、企業の環境経営を評価するに足るような情報を提供するべきだ、このようなことが書いてあります。実際に、そのCSRであるとか、環境保全の取組という点から企業を評価するということは、既に外部で行なわれているわけですから、そのような評価は現実には行なわれている。しかしCSRや環境保全活動を適切に評価するための情報開示の仕組みというのは必ずしも確立しているわけではない。環境会計がそのような情報開示の、まあ、企業評価ですね、ツールとして使われる、というふうになることが望ましいのではないか。そのためには現在のガイドラインの、環境保全コストと環境保全効果というフレームワークを中心にしながらも、それ以外の情報、たとえば今回提案されました、環境資産などの情報も含めて、様々な計算書からなる、環境会計計算書体系というような形にこれを拡張していくことが必要なのではないか。このような提言をしております。この環境会計計算書体系のイメージにつきましては、参考資料1-3の11ページのところに、図1として掲げております。
次にIIIとしまして、評価の視点から見た各環境会計情報、このように題しまして、それでは環境会計情報を、外部からの評価に用いるとしたら、どのような評価が可能になるのか。どのような情報が提供されれば、どのような評価が可能になるのか、という観点から、指標の検討をして参りました。今回ご提案になられた、たとえば7ページの(5)のところでも、種々の指標が既に例示されておりましたが、これと同じような諸指標について検討をしているわけです。但し、重要なことは、その検討の中で、たとえば環境保全コストを評価の一つ、あるいは現在の環境保全効果という情報を評価の基礎とするということは、それぞれ評価指標として意味があるものだと思いますが、それだけで評価をしようとすることには大変限界がある。ミスリードする可能性もある。その理由は種々ありますが、たとえば過去にどのぐらい努力をしてきたのかということが、現在の環境保全コストの額や、環境保全効果、つまり前期との差額というものには必ずしも現れてこない、という問題であるとか、あるいはコストや効果というものの、計算の多様性。研究開発費をどう按分するかとか、製品使用時の負荷をどうするかとか、そういった問題など。あるいは、その製品種類、製品ラインや工場の移転など、企業の努力とは別のところで生じるコストや効果、こういったものもありますので、環境保全コストや環境保全効果の指標の利用の仕方と言うんでしょうか、読み方には大変注意が必要なんだ、というようなことを指摘しております。この点については、先ほどご提案のありました中では、おそらく9ページの(2)の読み方のポイントといったところに反映していただければいいのかと、このように思います。さらに、コストや効果といった情報だけでは、企業の環境経営力を評価する情報としては不十分だということから、主として特に環境負荷量情報、あるいは、今回これもご提案ありましたけれども、環境パフォーマンス指標を、環境会計の中に取り込んでいく、あるいは環境体系と環境パフォーマンス指標を適切に連携させていく、で、この両者を一体のものとして扱っていくことによって、より評価に有用な情報になるのではないか。このような提案をしております。その他、環境資産、環境負債、あるいはマテリアルフローコストなどでの拡張も検討していく。
それからIVは、統合的評価と領域別評価という表題で、主として金額換算について検討しておりますが、この部分は、検討としては非常に量が多いのですが、今回の検討会の原案としては取り上げられておりませんので、あまり立ち入ることはしないようにしたいと思います。ただ、金額換算の統合化というのは、数値を統合することによって、わかりやすくなる反面、金額といっても回避コスト、被害コストなど様々な金額があり、どの換算方法をとるかによって出てくる金額や意味も異なりますし、そもそも換算のもととなった負荷量であるとか、環境保全効果であるとか、そこの部分が確立していない段階で金額評価してしまうことには、ミスリードの危険がございます、というようなことも検討しておりました。
最後にVとして、環境保全効果と環境保全コストの体系化というところで、特に環境保全効果情報をどのように把握すべきかということで、2つの方法、つまりBaU方式と、それから負荷量の実績を基礎とする方法を検討しております。現在のガイドラインの考え方は負荷量の実績をベースにして、その差額というんでしょうか、基準期間と当期との差額から環境保全効果を計算するという方法ですが、それ以外に、何も環境保全活動をしていない状態、これをBaUと言いまして、それを想定して、それと、その実際の環境負荷量との差額で、環境保全効果を考える、という考え方もある。このBaU方式というのは、環境保全コストのほうが目的基準ですので、目的基準の環境保全コストとは整合的であるということ。それから企業の努力以外の原因による、たとえばその操業度の変化であるとか、生産レンジの変化であるとか、そういったことによる効果を排除できるという点ではメリットがある。しかし一方で、BaUをどのように想定するかという点が、客観的に決められないということがありますので、数値の客観性という点では非常に疑問があると。逆に現在使われている、環境省のガイドラインで想定されている負荷量の実績を基準にして、基準年と当年度の差額で環境保全効果を計算するという方法は、数値に非常に客観性があるというふうに考えています。しかし企業の努力以外の影響が入ってきますから、そこの部分を考えないと、コストと対応できない。このような、それぞれ一長一短があるのである、といった検討をしております。
以上、大変かいつまんで全体のご説明をいたしました。今回、この検討会、まあ国内の環境会計の方向性を検討するというとこで、次回には骨子案が出るということですので、ぜひ骨子案を作る段階で、会計士協会の研究、既に同じような研究をしておりますので、参考にしていただくことを、ぜひお願いしたいと思います。なお、この参考資料の裏の部分は、私の個人的な見解で、会計士協会の立場を離れたものですので、これはまた、後の、フリーディスカッションの中でトークさせていただければと思います。


資料1-4の検討
河野座長:かなりの内容のものを非常に短い時間でご説明いただいたので、十分ではなかったかとは思いますが、これからの検討に参考にしていただければと思います。主として先ほど説明いただきました資料1-4について、ご意見、ご質問いただくのですが、ちょうどあと1時間ぐらい議論することになろうかと思います。バラバラにご意見等が出ますと、必ずしも全部見たということにならないかと思います。とりあえずは資料1-4の検討課題が(1)から(7)までありますから、(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、それから(6)と(7)をまとめるというようなことで、そういう順でざっとみていって、もし時間があればまた、全体を通して議論するというようなことでやらせてもらいたいと思います。
 とりあえず(1)の環境保全コストの性格に着目したコストの整理につきまして、ご意見、ご質問等ございましたら、出していただきたいと思います。


國部委員:ちょっと、座長のご意見、違うかもしれないのですが。まず最初に一般的なことをお話して、ちょっとご意見を言ってほしいことは、環境省で、まあガイドライン改訂案というのが出ていますけれども、ご承知のように経済産業省のほうでもガイドラインを作成する検討をやっていまして。今年はその、外部公表用のも含めて検討するという趣旨で、調査を進める予定にありますので、ぜひ何らかの形で、意見交換などをしていただくようなことを、希望したいと思っています。もう一つ、内容に入っていきたいんですけれども、河野先生は1~4までとおっしゃったのですが、環境会計ガイドラインの改訂を行うことは、こういう改訂をしたら誰にとってどういうメリットがあるのか、ということがはっきりしないと、細部ばかりが精緻化されていってしまって、より袋小路に入ってしまうような危険性があるのではないかと。ですから、この1、2、3,4は、それぞれはあると思うんですけれども、私ははっきり言ったら1なんかは、どうしてコストの性格に着目して整理するのか、誰にとってプラスなのかが、明確になれば改訂する目的がわかると思うんですね。そして、私も環境会計ガイドライン、長く、ガイドライン関わってきましたし、環境会計の実務に関しても、企業の皆さんともお話してきましたし、利用者の方とも検討しましたけれども、目的に応じて考えたときに、2つぐらい大きな目的の違いというのがあって、1つは環境会計情報として、企業間比較をするということ。企業間比較をするということでは、今のガイドラインは非常に難しいから、そっちの方向性での精緻化のほうは、まとまらないという気がいたします。そうすると、単独での環境会計情報をもとにした、有効性を考えるべき段階にきていると。そこで役に立たなければ、環境会計って結局誰にも役に立たなくて、ガイドラインだけが綺麗になっていくということになってしまいますので、それをやっぱりどうしてもですね、避けなければならない。この欄を見ていると、そういう危険性を感じてしまうことがあります。もっと具体的に申し上げると、環境会計情報を団体で役に立てるのって、いろんな可能性あると思いますけれども、私が考える一つは、経営者。経営者の後ろにいる株主。経営者に公表するだけであれば、これは内部で公表していればいいわけですから、外部に出さなくていいと思うんですが、今、企業が企業シフトをするということは、これは経営者だけの判断ではなくて、これを株主が認めて、やると。特に欧米系はその傾向が強いし、日本でもその傾向はどんどん強まっている。だから、直接利益取得のように見えないような方法である環境コストの支出というものの効果が、きちんとわかるように外部公表し、株主にも理解していただくということは、一つの、非常に重要な機能と、比較可能性はそれほど重要ではない。で、その点に関しては、考えてみますと、やはり環境コストだけをいくらこの中でやっていっても、効果は全然わからないわけですね。ですから、コストを精緻化するだけでなく、そのコストを投下したことによる効果がどの程度なのか、という点についての、これはガイドラインでいうかどうかわかりませんが、視点を忘れてしまうと、いつまでたっても環境から役立たない。そこでちょっと振り返ると、環境省のガイドラインが出た年の環境会計として世界的にあったのは、IBMの環境会計とかバクスターとか。環境コストをかけたものに対して、内部的にどれぐらい効果があったかを示している。それから、今日、ここでお配りされている、そのトヨタ自動車さんの環境会計見ると、環境会計導入で5年目で、推定的な効果も計算されて、結果的に環境保全活動がこれだけ大きく役に立っている、という説明をされているわけですね。ですから、ぜひですね、その効果のほどを考える、コストだけ、戦略的コストだけとか、維持コストだけというのではなくて、効果面を考えていただきたい。経済的な効果を。自社にとっての経済的な効果もありますし、外部にとっての効果もありますね、顧客にとっての効果もある。それから社会的な貢献した効果。社会的に貢献した効果は、環境負荷を金額換算しなければいけませんが、これはすでにイギリスのシグマプロジェクトの中で提案されている環境会計の中で導入されているわけですから、その可能性は十分あるし。それから今水口さんのほうで、いろいろな方法があって、意味をはっきりさせなきゃいけないと言われましたが、いろいろな方法はもうはっきりしているんですね、理論的に。だからちょっと研究してガイドラインを出せば、その意味の違うはっきりじゃなくて、限界も示したうえで、使う。イギリスのシグマプロジェクトなんかは、そういう形になっていますので。ぜひ、そこを、ご考慮いただきたい。

河野座長:ただいまのは、ご意見ということですね?

國部委員:まあ1に関しての。はい。

河野座長:1は経済産業省がやっているとは、私も初めてで、知らなかったんです。これは、いろんなところで、各省の縦割りということが言われていますから、大事なことです。困るのは結局、ガイドラインを実施する企業のほうになりますから、できるだけ、調整可能であれば、何でしたか?経済産業省の環境会計の検討委員会との調整が望まれます。それから、改訂の目的という話から、効果のお話のほうへ向けて、話があったと思います。効果につきましては、効果をまったく検討しないというのではなくて、そちらのほうで議論すればどうか。環境保全効果の表現とかですね、どういう形で表現するのかというようなこともありますので。多分、維持的コストと効果の対応というところで。たとえば、(1)の中でも、個人的に思うのですが、戦略的コストとか維持的コストを分けたときに効果はどうするのかというのはついてまわるわけです。ですからそこでまた、ご指摘していただければいいかなというふうには思います。

國部委員:全体に関しては、この改訂をしたことが、誰にとってプラスなのかというのを、すべてについて、つけていただきたいと思いますね。そうするとプライオリティの違いがわかりますから。この環境会計ガイドラインの、この期間、中期ですけれども、これ、重要性によってしているわけじゃないんですよね。だからそれも、あわない。

河野座長:いや、おっしゃるとおり。従来も目的ということがかなり言われたことでございますから。組織を考えるときに、そういうことが考慮される必要があります。ここで目的の議論をしているとかなり、時間をとってしまう。そういうご意見があったということにしてですね、また中身に入ったときに議論をさせていただいたほうがいいのではないかと思いますがいかがでしょうか。もし、目的についてまだ何か、ご議論したいということであればどうぞ。

水口委員:あの、議論したいという積極的な何かおっしゃったあれなんですけど。國部先生が今、企業間評価に使うか、単独での有効性、単体での有効性で使うか、という2つに分けられて。企業間評価はもう無理だから、あきらめたとおっしゃられたんですが。その、それは必ずしもそうなのだろうかと。で、株主で、単体での有効性というと、通常は、企業経営にあたる、つまりは内部管理目的ということに、通常はなろうかと思うのですが。そこを一歩つめて、株主へというお話になられたのが、なるほど、そういう外部に公表する意味も出てくるわけですけれども。そのように考えますと、先ほど國部先生がおっしゃったように、直接効果が見えないような費用を出すのはどうか、という点では多分きちんと説明する必要がある。そういう必要を今、株主、今の企業の環境保全活動が、株主に特別説明しなければ認められないようなものとして認識されているのか、というのはやや疑問で。むしろ、トヨタさんのようにですね、環境先進企業と呼ばれることが、既に株主の利益になっているということのほうが多いのではないかなという気がちょっとしたのとですね。それからまあ、会計士協会としては、企業の環境経営度の評価に役立つような情報、というふうに考えていますので、今すぐには比較可能でないとしても、長期的には環境面でどのぐらい成果が上がっているのか、ということから、企業間が評価できるような方向性があったほうがいいのではないか。少なくとも現実に、企業は環境面で評価されているんですね。アンケートなどで評価されている。だけど、アンケートで評価されているときには、どういう評価基準で評価されているのか、よくわからない。それがブラックボックスになっているわけですから。そのブラックボックスを透明にしていく、という意味も環境会計にあるわけです。そういう方向性をこの時点で飛ばされてしまうのはちょっと僕は。

國部委員:私が言っていることは、株主のためにやれと言っているわけではなくて、一つの明確なステークホルダーの目的にとってはこう。違うステークホルダーがあればこうだ、というのを出して、それを両立させられるのか、させられないのかという議論にするべきであって、不特定多数の利用者を想定して、役に立つようなイメージを作っても、結局役に立たないことが多いですから、水口さんおっしゃるんであれば、そういうステークホルダーの目的で逆にフレームワークを立てて。それと株主のためのフレームワークとの比較。そういうことによって次のステップが、何かあるんじゃないかなと思うんですけどね。

河野座長:それは、かなり個人の意見が入っていますから、相当議論になる。この、誰のために作るのか、ということがね。また、株主に絞り込んでというのもかなり問題があろうかと思いますが。もう一人だけ、学者さんじゃなくて企業の委員、あるいは団体の委員でご意見がございましたら。なければ、こういうことが議論されたということで。まあ論点の一つですね。これは大事なことだというふうに思います。多分、今の話はずっと全ての話題にかかわってくる話ではあるんですね。とは言いながら、それぞれのセクションと言いますか、提案された課題について、今の議論も踏まえながら、何かご意見、ご質問等ありましたら出していただければと思います。とりあえず(1)。

上妻委員:(1)のところなのですが。先ほど議論の関連から言いますと、私も今回のこの改訂のポイントというのは、非常に重要なことがたくさん含まれていると思います。というのは、今の環境会計はあんまり役に立っていないと思っているからです。なぜかというと、コストの分類がラフすぎて、効果との関係がわからないのです。環境報告書の他のセクションと比べると環境会計は見劣りがします。環境報告書は、ここ3年ぐらいで、定量的評価がたくさん載るようになって、企業間比較ができるようになってきているんです。ところが環境会計のところはそれが非常に難しい。今回は、今までなかったコスト概念が3つ出てきているのですが、これは今まであったコスト概念の行に列として入ってくるような関係になるのだと思うのですが、こういうものを出されることで、よりコストの性格が明確に細分化されることになっていいと思います。ただ、もしこれやられるんであったら、ぜひ、コスト概念に相応する効果概念も明確にして、それをどうやって表示するのかということもきちっとしていただかないと、また使えなくなってしまうと思います。この3つは非常に難しくて、今までの効果概念で認識できるのかというような問題が、かなり多く含まれているんですね。だからこれはコスト概念だけで取り扱うんじゃなくて、効果概念とセットで解決していただきたいという考えです。

河野座長:戦略コストに対応する効果とか、そういうことですか。

上妻委員:そうです。たとえば将来、ここに予想情報が含まれるかもしれないので。

井上委員:私も今のご意見に、この問題に関しては賛同するのですけれども。コスト概念と効果概念を一緒に考えていかないと、バラバラになってしまうので。今までのガイドラインのコストとその効果の概念が、はっきり言うと非常にアンバランスになっていると、対応していない部分もあるんですね。それが非常に環境会計がうまく、何と言うんでしょう、説明責任としても経営判断としても、インパクトがないというか、こういうところにあるのではないかなというような感じもしていました。それで、私は、たとえば、財務会計的な範囲内でかなり収めてしまうのであれば、環境会計という別な考え方を敢えて言う必要がないと考えていて。やはり、財務会計の限界とか失敗というのがあって、それをやはりどう表現して企業を、いわゆる企業の説明責任とか評価をしていくのかというところに、環境会計の意味があるというふうに思うんですね。そのときに、今、実務的にかなりそのへんについての答えが、環境報告書なんかにも出てきているのではないかなというふうに、私は思われて。そのへんを、少しこう、検討していただけたらいいのではないかなというふうに思います。その部分と言いますのは、たとえば、社会的な環境負荷低減というか、外部経済的な効果と言うんでしょうか。何しろ、顧客メリットとかいろんな言い方で言われているのがあると思うのですが。いわゆる企業活動の中で、環境保全的な活動というのは、たとえば環境配慮製品とか、環境配慮サービスとか、ないしはエコキッチネスとか、そういう部分でも行なわれていて。かなり、たとえば研究開発活動というのも、環境保全コストの中に入っていて、かなり戦略的なコストだと思うんですけれども、その部分の効果というのは、ある意味で、製品のもつ環境配慮性ということで、顧客メリットとかそういうところに現れてくるんですね。そういう部分の効果がどうなのかということを、やはりきちっと、環境負荷の低減、数量的にも、それからあとできればそれをお金的に換算するとかして、インパクトをもたせるような形で、対応させていかないと、非常にこう、バランスがとれていない。コストは出ているんだけど、効果はどこにも出てこない、みたいな形になっているんですね。そういう意味での、開示をしてらっしゃる企業さんも、たくさん今出てきているので、特に、クラブエコファクチャーというところとかで、エクスターナル・エコノミック・ベネフィップ・レボリューションと言うのでしょうか、そういう、外部経済効果の研究とかが進んでいて、トウワコウギョウさんとか大変お世話になったり、いろいろ研究されておられていたりしますし。あと、富士写真フィルムさんとか、コニカさん、松下電器さんとか、お客様への効果というのでしょうか、それを物量とか査定換算して数字にするとかもされていますし。そのへんも、コストと効果のバランスなので。やはりこう、一番、戦略的コストというもの出てくるんですけれど、その中で一番研究開発のところですね。ないしはその、環境ビジネス的なものがもたらす効果みたいなものが出ていないというのは、これは致命的な欠陥になってしまうんじゃないかなと、私には思えるので、そのへんをバランスをとっていかれるようにしていくのが、今後の課題かなというふうに思います。

河野座長:今お話された外部効果ということですが、それに関心をお持ちのステークホルダーがいる。どなたか、どういう分野の人たちですか。

井上委員:それは、たとえば経営者の方もそうなると思うんですね。内部的な感覚というか。その、環境開発の売上もやはり社会的なインパクトだってありますし。あと消費者の方もそれはそれを見ることができるでしょうし。あと株主も、単に、これからの長期的な事業の発展とか考えたときに、短期的な利益だけを考えているとは思えないので、長期的にこの会社がどうなんだというような判断をされるときに、材料になるのかなとも思います。

河野座長:他にご意見は?

古田委員:私ども企業側からしてみると、今日、これをご説明いただいて、まず最初に考える、感じるのは、やはりちょっとまたやることが増えるのかなという印象がぬぐえないんですね。そうなると、先ほど國部先生におっしゃっていただいた、この改善によって誰が何のメリットを得るのかというのは、やはりどうしても、明確にしていただきたいと思うんです。それとやはり、コストと効果の関係、これもどうしても我々としてもきちっと整理をしておきたいというふうに思います。もう一つ、我々が今やっている上で気にするということは、2000年のときと、今の2003年、4年の時を考えますと、環境というものの切り口が、社内でつけにくくなってきているんですね。もう、環境を配慮していない活動なんていうものが、だんだん存在しなくなってきているんですね。それ自身が、たとえば研究開発だって、環境配慮製品じゃない製品を開発しようなんていうことは、今はもう考えられないわけで。そういう意味では非常に切り口が、切りにくくなってきているんですね。そういう意味で、逆にいうと曖昧になってきているとも言えまして。その積み上げる過程の、コストを、どういうふうに定義するかというところの考え方や何かも、きちっと併せて提示していかないと、結局またみんながバラバラの都合のいい考え方をとってしまうということになりますので、そのへんも含めて、今回、改訂するのであれば、議論させていただければというふうに思います。

塩田委員:私ども、建設業界で2年前に、業界のガイドラインを作りました。そのとき非常に議論しましたのが、コストとして何を拾ったらいいのかということが一つありました。それからもう一点は、コストと効果が対応していないということがあります。業界の作業では環境保全効果をしっかり分析するところまではいかなかったのですが、企業単位で行っているうちに、実はコストと効果が対応していない。その結果、なかなか社内で説明をしにくい、内部的にもしっかり活用できていないということに気づいています。たとえば、今戦略的コスト、維持的コストということが出ていますが、これは先ほどから議論されていますように、コストのほうから攻めるだけでよいのか。たとえば、維持的コストという考えが出る以上は、維持的な環境活動が効果として認められる、あるいは大きな効果として評価される、その方法論というかシステムがなければ、なかなかそのためのコストを算出はできないのではないか。建築の場合ですと、現場で発生する環境活動の多くが、維持的コストです。法律を守るとか、周辺に害を出さないとか。それは、効果としてプラスになるのではなく、行ってあたりまえというところがかなりあるのです。ですから、そういうことが効果として評価されるようなシステムになってほしいですね。維持的環境保全活動が、効果としてしっかり見えてくるシステムというのが必要です。それからもう一つ、これは私どもが実際に取り組んでいて、反省といいますか、コストと効果が対応していないということに悩んでいるのですが。建築の世界ですと、現場で廃棄物を減らすということは、どの企業もやっているのですね。あるいは現場で排出するCO2の量を減らす。これは建築資材でリサイクル品を使う、省燃費運転を行うなど、いろいろなことをしますけれども、これは実は、効果をあげているのに、コストはどれだけかかったかというのは、算出しにくいですね。と言いますのは、現場の人間の意識ですと、ある程度時間をかけていますが、環境保全活動も日常業務の延長上にある作業なので、コストとして区別して算出できない。ですからコストとして把握できない。効果のほうではCO2の排出を減らすというような成果があがっていますが。ですから私どもでは、効果のほうから見直して、どうコストを考えるのかということをしなければいけないのかなというふうに、少し感じていました。そういう点では、資料を見ますとコストの検討が出ていますけれども、どなたかおっしゃっているように、効果のほうをもう少し考え方を整理して、そこからコストを照らしてみる作業が必要だと感じています。

河野座長:ありがとうございます。

岩舘委員:私も似たような考え方なのですが、もう一つですね。今のコストの捉え方、無理やり環境のためのコストを出すというようなところが多うございますけれども、それで結果として、総投資額の25%とか50%とか、というような分け方をしていますけれども。このような、荒っぽい分け方からすれば、我々の実際にやっている事業活動の投資判断と、かけ離れたものになってしまう。つまり我々は、数%の投資額の違いで、いろいろな施策を考えなければいけない、が、するわけですけれども、そういう20%、25%というような大きな差の中で、ちょっと勝手に感じるのは、これはあまり信用できないんじゃないか、ということになりそうかなと。だからそういう状況の中で、これ以上コストを細分化していくのは、ある意味で余計な仕事になるかもしれないし、さらに、やっている人間が信頼をもてないような数字の表になるんじゃないかなという心配があります。

河野座長:細分化って、資料1-4ではたとえば、3ページにあるような、マトリックスのようなものも含めておられる?

岩舘委員:はい、あの、そういうことについて、いろいろ細かく検討することは、意味があろうとは思いますが、実際の作業としてそういう分け方をすることはどうかなあと。

森下委員:すいません、結構皆さん本質的なことをお話になっているのですけれど。この環境会計にしても、環境ツールにしても、幾つかの発展段階を経てきているんだということを思っております。たとえば環境報告書について言えば、従来のというか、過去の環境報告書というのは、とりあえずこういう取組をしたということを、まず皆さん記述されて、それに対してうまく結果が出ればその結果を記述するという形になったわけですけれども。現在それに対して新しいガイドラインであるとか、そういうものは、そもそもその企業がどういう方針を持っているんですかということと、それから2点目に、その事業活動においてどういう環境への取組が重大なんですか、重要なんですかという原則を入れて、それに応じて企業は目的目標を作りますねと。まあ、何をやるべきかを決めます。それに対して、どんな取組をするんですか。で、結果はどうだったんですか、という、一種の整理がだいぶされてきたと思うんですよね。で、そういう点から言うと、環境会計は、当初はとにかくまだまだ発展途上で何もわからない段階だったわけですから、まず環境保全コストとして何が認識できるのか、という議論から始めたわけで、環境保全コストの分類とか定義ということに、ずっとその検討を費やされてきたわけです。で、今、そこまできた段階の中で、じゃあ拾ったコスト、あるいは分類したコストに対して、どんな効果があるんだ、という議論になってきているわけですけれども、先ほどの環境会計の発展ということから言えば、そもそもどんな取組に対して、どんな目的において、どんな取組をして、どんなコストがかかったのかということと、それに対してどんな結果が出たのか、という、その整理になってくるわけでして。ですから、そういう意味で言えば、それにあわせて、環境会計の枠組みも、第二の段階にくるべき時期にきているのかもしれないというのが、今の皆様のいろんなご意見のことだと思うんですね。そうすると、極端に言うと、必ずしも全ての認識される環境保全コストを拾う必要はないかもしれない。一方で環境報告書の中では、先ほどご紹介のあった環境パフォーマンス指標の中で、コアの指標を決めているわけですよね。これはこれでまた、もう一方の考え方として、取組に関係なくコアの指標だけは開示しなさい、という考え方もあるわけで。環境会計でもそういう対応というのもあるわけですよね。コアの指標に対応して、掛かったコストだけを出しなさい、という考え方もできるわけですし。少しそういう意味で言うと、もう一回、枠組みを議論しないといけないのかも、そうするとだいぶ、ということで。言おうかどうしようか迷ったのだけれど。

河野座長:目的を含めて、だいぶ議論が出てるわけですけれど。他に何か。

荒井委員:皆さんとだいたい同じ意見ですので、具体的な話として2ページに関連して、戦略コストと維持的なコストに分けていますが、いわゆるコストには投資コストと費用コストがあるのですが、投資コストをみれば大体が戦略コストに係る部分、目的があって投資するのですから。投資額はイーコール戦略コストかなあというように見える。それをまた企業の方で費用コストを戦略的コストと維持的コストに分ける作業を行い、実際に報告するとなると手間だなと感じる。また、その戦略コストと位置づけても、ある時点で維持的コストに移り変わるのですね、その辺をどのように捉えるのか。例として長い歴史のあるSOx、NOxあるいはCOD、設備で云えば水質改善として生物分解処理装置、の対策を実施してきているのですが、法令化前であれば戦略的コストであり、ある時点で法令化されると維持コストということになる。素材の業界、私どものJSRの環境会計の例が資料として載っていますが、その部分・公害防止コストが費用の大部分を占めていますが、今述べたところに該当します。戦略コストとして研究開発も確かにありますが、先ほどのお話にも出ていましたように何処から何処まで入れるのか、ここは企業によって判断が違うわけですね。また先ほど言われたように、今日、全て環境ということを考えていないと商品化できないということがありますと、戦略コストと維持的コストというものに区分するという最初の目的ということがちょっとよく判らないなあと思われます。

河野座長:これ、ちょっと確認のため。従来の2002年版までの環境会計のガイドラインだと、環境保全効果って、どっちかというと、負荷物質の削減量が効果として、あがっていますが。維持的コストだと削減量が出てきませんが、このへんについて。

荒井委員:それは、レポート環境会計C表の端に注釈を付けて例えばSoxの報告事項参照と示し、単年度では見えないところを補足しています。一番費用の掛っているところですが全てを説明できないので別途に掲載し報告している箇所で推移図を示し参照しています。

小畑委員:私、金融機関の立場で、企業さんの環境経営度を評価させていただくような立場で、そういう観点で申しますと、一つは、今回のご提案で、投資額というのと、戦略的コストの違いがよく見えないなという気がしたのですが。それと併せて、金融機関の立場からですと、実際にコストがいくらかかったかということと、いくら支出されたかというのは、キャッシュアウトですね、そういう観点も重要だなという気がしていて。そういう観点で、私ども、格付けを、企業さんの格付けをして、融資をするような制度を今、はじめているのですが、一番困るのは、たとえば償却費の扱いがどうなっているのかよく見えないと。たとえばその投資のほうに載っているコストが、償却費でダブルカウントされているのではないかとか、あるいはそうではないのかという。そのへんが、そうなのか、そうでないのかとか、現状ではよくわからないので。そういった根本的なところの考え方というのが、整理されて比較が可能なようにいければということなのですが。あと、全然観点違っていて、本質のほうからずれているかもしれないのですが、私ども、いろんな企業さんとおつきあいしていて、特にトップランナーの企業さんだけではなくて、中堅クラスの、これから環境を作ろう、開示していこうということをいつも一生懸命考えていらっしゃるような企業さんには、まずはできるところからスタートを、と言うことで申し上げているのですが。そういう中でやはり、一番入りにくい分野というのが、環境会計の分野なんです。で、あまり細かくなることで、ますますもう、敷居が高くなっていってしまうのを懸念していまして。そういう企業さんでも、容易に入りやすいような、制度の面とか、運用面での、対応していただくといいんじゃないかなと思っています。

西堤委員:先ほどから激論の、効果とコストの件なのですが。やはり、業種によって、あるいは項目で、たとえば省エネとか、細菌処理とか、そういうのだったら割とわかりやすいかなという気がするのですが、我々自動車なんかの場合ですと、圧倒的に試験研究費というか、先行投資が多いですね。それの効果なんていうのは、そうなかなかすぐに出るものでもなしに、測れと言われても困るしというので。先ほどたとえば國部先生からご紹介いただいたのですが、ステークホルダーとか、機関投資家、そういう専門部分の関心がある、こういう人たちから、これだけ使って、それなりの、何と言うか、全体のイメージとしての効果なるものを要求される。そういった意味で今回は、かなり大胆に、ちょっと専門家の先生に見せると笑われるといけないので、独断でやったのですが、推定的効果でやってみたのですが。だいたいほぼ、まあこれぐらいの、かけた費用ぐらいは何らかの形で戻ってきているだろうというイメージ的なことなのですが。こういったような何と言いますか、全体の何かわかるようなことが、まずまず快調かなという気がします。個別の効果とコストと比べて見て、その一つ一つを見て、本当にそれで何か、その一つ一つに対する意思決定としてはいいかもしれないけれど、全体を判断するのにちょっと何か難しいかなという気がしました。それから今回、(3)の、資産の整理というのがまた、これはかなり新しい、企業にとっては負担になるかと思うのですが、これもさっきおっしゃったように、また、これ一体誰のためにやるのかというのがはっきりしないと、これを出せと言われても、ちょっとこれも結構負担がかかるなという気がいたしますので、これ、もうちょっとはっきりさせていただいたほうがいいかなと思います。


 (2)その他
河野座長:ひとわたり、コストと効果ということについて議論しました。ちょうど半分ぐらい費やしました。予定では、このあと(2)、(3)、(4)というような順でしたが、残りは全部併せて、それぞれ思いついたところから、あるいはここに書かれていない重要な部分ということも併せて、あと30分ぐらいの間に出していただければと思います。特にコストについては、もう一応やったということで、それ以外のことですね。

水口委員:私、先ほど説明いたしました資料の裏側に、私見というのを書いているのですが。率直に言いますと、やはり環境保全コストの部分をこれ以上精緻化していくことは、あまり意味がないのではないかなと、個人的には思います。大変いろんな方に失礼なあれなんですけれども。どうもその、どこにいくら金をかけたかなということを、細かく開示されて、どうなのかなという。多分、環境保全コストの情報って、しかも森下さんがおっしゃるように、最初の発展過程としては意味があったのかもしれませんが、最終的にはやはり、コストは企業が自分で管理するものですから、そこはもう、普通の企業さんの問題だなあと思いますし。そういう意味ではそのコストの部分というのは、結局経営判断、つまり内部管理にいかに活用していくかということに尽きるのかなと、こう思っていて。一方その、効果、効果と言われているのですが、コストいくらかけたから、これだけ効果が出たんだ、というふうに評価しようとすると、すごく難しいし。一方で環境パフォーマンス指標というのが、指標、環境に対する影響というものは、それはそれで評価しようとしているわけですから。そこを基点にして考えていったほうがいいのかなと、こんなふうに思っていますし。いわゆる効果に限らず、物量情報と言うのでしょうか、環境の影響度とか、それの経年推移であるとか、そういうものはむしろ、外部で企業が評価される。これは環境問題に関心を持っているステークホルダー。環境問題の観点から企業を選ぼうとしている投資家や消費者、そういうステークホルダーにとっては有用な情報になるのではないか。そこのほうが、外部公表用としては意味があって。こんなふうに思っていまして。環境パフォーマンス指標と環境会計というものを、今バラバラに議論されているのですが、一体化させていくことが必要ではないのかなというふうに、個人的には思います。そういう意味では、原案のご提案の中では、(4)の、環境保全効果の表現方法の改訂のところに、非常に期待をし、特に[4]のところ、公表用フォーマットなどですね、期待しているところです。というのが意見です。もう一つ思うことは、今これだけ、コストをさせていってもどうかというご意見もあれば、コストはそもそも企業の中に、こう、環境保全も入ってしまっているから、切り離せないというご意見もあれば、いろんなご意見もあって。で、ここで、はいっと終わって、次回には骨子案というのは。これはどうやって。結局出てくる骨子案が、これはどう作られるのかなと思うのですが、2ページと3ページに出てくるこの細分表が結局、骨子案として出てくる可能性があるなあとちょっと思ったものですから。今回から次回までの間に、どうやって骨子案を作るのか、ここを考えないと、いいのかなあと思っているのですが。

河野座長:おっしゃるとおり。もし、何と言うんですかね。これも個人の意見みたいなもので恐縮なのですが。ガイドラインの改定案って、先ほど森下委員のほうから話がありました発展段階によれば、まあ2002年までは従来の線に沿ってやってきた。で、今度は新しい段階だから、がちゃがちゃっと入れ替えるということでしょうか。たとえば企業会計だと実現収益に発生費用を対応させるみたいに、保全効果をまず明らかにして、それに対して費用を対応させるんだとかですね。そういうようなことをここで決めていく、そういう話を言ってるということですか?

水口委員:いやいや、どこまでというのは。時間の問題もありますが。ただ、だから今後の方向性が見えない中で、細分化されたコスト情報の表だけが出てくると、ますますこのコストを精緻化していく方向に進むんだなというイメージが見えるのかなあ、一般的にはそういうふうに受け取られがちだなあと。

國部委員:これは私の意見ですが、今の、今日の議論から、次回骨子案は非常に難しいと思いますので、もう1回こういうふうな観点で議論するのは多分必要かなと。これは全く個人的な意見です。それから、私の見解は、この環境会計の研究会、これ作るときもそうなのですが、コスト項目を統合化していくべきだと。もっと、今のガイドラインはあまりにも広すぎて、按分集計のような形になってしまっていますけれど、本当に環境保全のためにというふうに分岐できるのも環境保全コストだと。もう少し統合化させていくことのほうが望ましいのではないか。だから精緻化よりも統合していくほうがいいんじゃないかというのは主張しました。ヨーロッパなんかの、ヨーロッパ統計局のほうは、そうなんですけれども。で、ちょっとこれ、追加ですが、効果が重視される一つの理由は、ヨーロッパの経験から、特にドイツのワグナー教授が言っていたのですが、どうしてもヨーロッパ統計局の要請で、環境コストを集計しなきゃいけない。環境コストを集計したらどういうことが起こるかというと、経営者が、これだけ環境コストかけるんだったら削減しろと、削減対象になってしまって、環境会計をやることが、環境保全活動のマイナスになると。それだったら、環境保全活動をすることによるプラスの効果を説明しなければならない、ということがありますので、多分日本企業も同じような状況になるのではないかなと。その効果のときも、個々、別々の効果をすると、また恣意性が入る可能性がありますから、そこはちょっと、できるかできないかで判断し、トヨタ自動車さんのように、全体的な、イメージ的なところでも私はいいと思います。それは経営者、あるいは株主の判断に任されるわけですから。大きな形で議論していただきたいなというふうに思います。それから一つの方向性としては、UNDSD、国連の委員会が発表したこの現状と課題、72ページに出ているような表。こちらの表で言うと3ページの表。みたいなものは、現状の集計のレベルを、それほど多くいじらずに、できるかもしれない。それから、今特に、排出量取引のところは、コストと効果の関係の分析が非常に重要になってきますから、こういうマトリックスをかけているかもしれない、と思いますが。

上妻委員:コストを細分化することに、皆さんだいぶご議論がおありになるようなのですが、ガイドラインというものの性格をよく考えていただきたいと思うのです。コストを細分化してもそれをみんな使う必要は別にないんだと思うんです。ガイドラインの目的は、先ほど森下委員がおっしゃったように、企業がどういう方針で、どのような対策を行なって、その効果がどうだったかということがわかればいいのです。しかし、今のコスト分類だと、それがよくわからない。これは、たとえばウインカーを車につけるときに、左右につけないで、パトカーの緊急灯のように頭の上につけているようなもので、右に曲がるのか左に曲がるのかよくわからないけど、曲がることだけはわかる。それをもう少しわかりやすくするためのツールが必要なのです。たとえばどこか遠くに行くときに、住所だけ渡されているのが現状だとすると、詳しい地図を持って行ってもいいことにする。使うか使わないかはその人の自由。それからコンパスも持っていってもいいことにする。コストを細分化するというのは、その程度の意味合いだと考えていただければいいのです。たとえばこの戦略的コストというものが、投資額と完全に重複するケースであれば、それはこれを別に区分して開示する必要はないだろうと思うんです。あまりにも情報を理解するためのツールがない状況なので、もう少し手がかりになるようなものを付け加えていくようにした方がいいと思います。そういう自由度があるというのがガイドラインの精神じゃないのかと思います。完全に準拠するのが必要なら、基準になりますので。そこまでは考える必要もないのかなという気がします。

河野座長:議論が違う方向にいっていますね。ガイドラインとスタンダードは違うということなんですね。ガイドラインはこういうことをやってみたらどうでしょうか、という、非常に柔軟性にとんだところもある一方、比較可能性ということを考えると、かなり、やってくださいというところもあると。難しいところではありますね。コストと効果について、もう少し議論があれば出していただければ。なければちょっと他のことでも。

水口委員:おっしゃるようにガイドライン、したがわなくてもいいというのはそのとおりで。そういう意味ではだから、ガイドラインに書いてないことでもいくらでもやっていいんですよね。なので、戦略か維持かという分類は、必要ならば企業さんでやればいいとも僕は思ったのですが。ここで言う戦略的、維持的というのは外部に公表するということが前提なのか、それとも内部管理用としてこういう分け方がありますよということを、気がつかない企業さんにも気が付いてもらう、そういう意味かな。そのへんはどうでしょう?

事務局:これはまだガイドラインの案としてしか考えておりません。内部管理用としてはもちろんご指摘の通りでしょう。で、外部公表になるかどうかは、最後に公表用集計フォーマットの時に、このぐらいのものをガイドラインまで書くかどうかを検討するのだと思っておりました。

國部委員:私が統合するというのは、細かいところを統合するという意味じゃなくて、表示の形式、最終的なフォーマットをもう少し統合したほうがいいという意味です。それから一番最初、この環境会計のガイドラインを、森下さんのところの事務局で検討し始めたときは、環境にかかる経費が何かわからないから、環境の保全活動ごとに、コストを積み上げていけるような形を作って、ガイドラインとして発表したわけです。そうすると逆に、活動は、別にどの会社でも、それぞれの活動で入れていけばいいんですけど、ガイドラインのほうに活動を合わせてしまう。つまり、1つの会社でやっている活動は、ガイドラインの項目のAとBに2つ入っているから、この活動をAとBに分けちゃったとか。そういう現象が生じて、そして環境会計の集計の際のコストが、非常に抽象性がかかって、コストデータ出ているんだけれど、環境保全活動との関連性がわからなくなってしまう。これが一つの大きな問題になると思うんです。ですから、活動で細かく、集計するための側面と、それをどう活用して、どの目的で、活用するために改善するかというのは、同時に存立しうるので、統合するとか、新しい指標を入れるということと、最後のところは積み上げていけるというのは同時並行ですね。

河野座長:今のお話は、内部環境会計の話ですね。

上妻委員:私も國部委員のご意見に賛成なのですが、あまり細かくすることが好ましくはないです。コアになる部分だけは、統合指標を作っていくという考え方も、一つの方法だと思います。最終的な目標を考えることが大事なので、活動と成果の関係がきちっと明示されて、こちらの企業より、こちらの企業のほうが進捗度が高いということがわかることが重要だろうと思います。それ以上にすごく細分化されたところを区別する必要は、今の段階では全くないので、そこまで情報を開示する必要はないだろうと思います。

河野座長:ここで議論するときには、そうしますと、一つは、コストとか、保全効果を広めに、あるいは指標化するという議論が内部管理にある。それからもう一つは、それを外部に向けて公表するにはどうするべきかがある。この場合もっと絞り込んでもいい。場合によっては今の公表用シートよりももっと絞りこんだような公表のありかたもあると。この場では後の議論。内部管理を見ながら、後の議論になるのかなという気もしないでもないですね。とりあえずは、今回の改訂は広く、議論する。しかしそのときに、やはり目的というのはないといけませんね。広くやるとすると。まあ独り言みたいなものですが。

水口委員:今年は遠慮しないで、わがままにというのが自分のテーマなのですが。ちょっとですね、ぜひ企業委員の方のご意見を伺いたいなと思うことがありまして。私よそでと言いますか、いろんな人にですね、環境保全コストっていうのは、営業費用の1%にならないんだ、と言われるんですよ。言われるからこらえて、1%にもならないの、こんなに手間隙かけて集めなくちゃいけないのか、というご意見を、複数の人から言われたことがありまして。全然別のところですけどね。そうか、というふうにも思ったりもし。環境省の立場、環境を守るという立場からすればやっぱり、どうコストをかけようとかけまいと、とにかく環境がこれだけよくなったんだ、ということが一番大事だし。環境省がやっているから、環境がよくなるということが最後の目的だと思うのですが。その、企業の方が、集計の手間隙をかけて、いや、1%にも満たないものを、という意見は、実際はどう思われるものなんでしょうね。それはやっぱり意味があると、利益からすれば10%、20%の割合になるし、意味のあるコストなんだというふうに、言えるのかなと思いつつ、いや、売上で言うと1%にもならないと。そのへんはどういうふうに。

河野座長:それについてはご意見をいただいてもいいのですが、意見を言ってどうなるのでしょうね。ここでは基本的には、進めてはどうでしょうか。

水口委員:進めていただいていいんですけど、議論の焦点をどこに集めることが本当に重要なのか、という意味での、話なんですけど。

河野座長:聞かれても困るんじゃないかな。担当のセクションで。

荒井委員:業種によって変わります。素材、私どもでは売上高の数%。環境会計を最初に試みたときにいろんな業種、企業を見させて頂いたところ0.1%以下、0.1%台という企業もありました。業種によります。

國部委員:それ、あれですよ。環境省のガイドライン、非常に大きな限界で。私、常々指摘しているところですね。この環境省の報告書、「環境会計の現状と課題」の72ページのUNDSDの表。これ、オーストリアの環境改善ガイドラインで、そのもの、国連の報告書に載っているんですけれども。で、これで実際公表しているオーストリアの会社もあるのですが。その中でたとえば、費用項目の3ってありますね。「製品外アウトプットの資材・原材料取得原価」。これは、廃棄物なんかの原材料コストということですから。この表で入ってくるコストはものすごく大きくなってくる。ということになります。そういう方向性も。

水口委員:追加していい?そのとおりで、ここ、この72ページの表で見ると、現実にはこの3の部分が一番大きなあれを占めるんですけれども。ここのコスト項目というのは、環境「保全」コストではなくて、広義の環境コストで、効果と対応するものではない。コスト効果の対応というのは、という切り口では捕まえられない。しかしコスト項目としては非常に重要で、関連性も非常に大きいと。やっぱりコスト効果の対応というものをはずさないと。要するに重要だなあと。

國部委員:だから、3ページの表と72ページの表はよく似てますけど全然違う。

上妻委員:ただ、現実的に見ると、大きく変えることはできないんですよね。実務が定着していますから。だからどのぐらいまでが変えられる許容範囲かを考えて、今回の改訂を行うことになるんだろうと思います。その範囲はどうなるんですかね?

河野座長:次の次の改訂を踏まえて、いじっていくとかね。実は私は次のことを言いたい。環境会計は、600社ぐらいの中でかなり定着している、カチっというふうには、いかないような気もしていますが。そこが先ほど水口委員がおっしゃったことと関連していますね。骨子案が出されたときは、たとえば3ページのようなものが出てくるんじゃないかというふうなことが、あるかと思うのですが。環境会計の定着の状況を考えて、大きな変更というのは難しい。そのメインフレームワークのことを考えて、どこかで変えられるような仕組みは、入れておいたほうがいいんじゃないかなとは思います。それを今回、よく議論していただければと思うのですが。何か、先生とつくような人ばかり発言しているように思えますが。何か他に。

古田委員:まあ、そういうことで、今日これだけ方向がバラバラというわけなのですが。本当にこれ、どういうふうに話をしていくか、ちょっと。

鎌形課長:非常に根本的なところを含めて、幅広いご意見が出てきたと思いますけれども、やっぱりちょっと先ほどお話にも出てきたように、現実に動いている中で、どこまで今回の改訂で本当に反映できるもの、あるいは難しいもの、いろんな部分があるなというのが印象が一つ。それからあとは、検討のスケジュールなのですが、一応4回ということで立てさせていただいていますが、そう大きくずれるというのはなかなか難しいと思いますけれども、ある程度のスケジュール調整も、検討の進み具合を見ながら、少し柔軟に対応というのもあり得るのではないかと思います。それで、とりあえず次回ですが、当初の予定では骨子案を出させていただいて、すぐ議論いただくということでした。一応、何らかの形でお出ししたいと思うのですが、少なくとも今日、いろいろこれだけ根本的なご意見をいただいたので、ある程度のそのへんの論点を整理して、ここはすぐ骨子案として考えさせていただく、あるいは中長期的な課題にする、というような、少し振り分けみたいなものも、提案させていただいた中で、骨子案と論点整理というものを議論しなければいけないと考えております。また座長ともご相談させていただきたいと思います。

河野座長:確かに、第1回目ということで、いろいろ議論が出ています。今、課長のほうからお話がありましたが、骨子案の前の段階での方が、議論はしやすいのではないかと思います。今、課長から提案がありましたような方向で、次回は議論させてもらいと思います。というようなことで、議論を終わりのほうにもってきました。何かもうちょっとあれば。

西堤委員:余談になりますが。今、企業の報告書のほうが、記述ある報告書とかですね、サステナブルレポートというような名前に、かなり変わってきているんですよね。一部でいうと環境社会報告書という名前に変えてきているんですが。その場合ですね、一部では、CSR会計の研究を始めているところもあるかと思うのですが、ここはあくまでも環境会計ということで納めて、CSRはまた別途、何か勉強会みたいなものがあるという認識で、考えておけばよろしいですか。

事務局:今のところは、まだ研究段階であって、もうしばらく実務の動向などを見てから、また考えればいいというふうに考えています。

國部委員:シグマプロジェクトというイギリスのやってるプロジェクトはサステナブルアカウントと、それとは別に環境会計がありますから、必ずしも環境会計に入れなくてはいけないものではないと思います。独立、両方が並立。だからCSRが出てしまったらこれはなくなってしまう、というような種類の環境会計では、これはない。

4.閉会
 
河野座長:環境報告書ガイドライン改訂の検討ときに、CSRとの調整というか、そういうことがありました。今、國部先生がおっしゃったようなことで、いければと思います。ちょっと、何か早く幕を引いたような気もいたしますが、ほぼ時間も参りましたので、今日の議論はこれで終わりたいと思います。次回は、先ほど、ご指摘ありましたような方向で。議論なされたことの対応と、それから骨子案の案というのを提示していただければ。では次回の日程等につきましてお願いします。

事務局:いろいろ貴重なご意見をありがとうございました。内容につきましては、資料1-3に書いてある骨子案の提出の仕方を検討いたしますが、とりあえず次回は、10月8日金曜日、午前9時半から12時を予定しております。場所については未定でございますので、決まり次第またご連絡を差し上げたいと思います。以上でございます。

河野座長:それでは終わりにさせていただきます。

以上