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4. 結論 -環境報告の一層の発展に向けて-

  本検討会においては、まず、環境報告の現状と意義を整理し、その上で、環境報告の一層の発展のための課題について検討した。さらに、その中で、最近注目を集めている信頼性確保の方策について検討を行った。
 環境報告の一層の発展のためには、国際的企業などトップランナーにおいて質の向上に向けた努力が続けられる一方、中小企業などの幅広い事業者においても環境報告への取組みが開始されることにより、全体として取組みが発展していくことが重要である。このため、今後の課題としては、環境報告の質の確保と一層の向上を図り、信頼できるコミュニケーションツールとしての位置づけを確立していくとともに、より幅広い事業者等に取組の輪を広げ普及を促進していくことが重要と考えられる。同時に、作成者と読者の間でのコミュニケーションを活発化していくことも重要である。こうした中で、環境報告書としての基本的な共通性を醸成しつつ、作成者それぞれの創意工夫による多様性を活かしながら、継続的に発展させていくことが重要である。
 これらの課題に対して、既に、各方面での共通的ガイドライン等の整備や、環境報告書の表彰制度の実施、幅広い関係者による情報交流のためのネットワーク組織の設立など、様々な取組が始められている。今後、関係者による情報交流の一層の活発化をはじめ、これらの取組の一層の推進を図るとともに、環境パフォーマンス評価指標に関する調査検討等の新たな課題についても取組を進めることが必要である。そして、これらの幅広い取組を、関係者のパートナーシップの下で展開していくことが重要である。
 また、信頼性の確保の手法については、双方向のコミュニケーションなど様々な手法の選択肢がありうる。その中で、最近、特に第三者レビューが注目されており、取組事例が増えてきている。この取組については、用語・手続等が定まっておらず、保証の程度や範囲について誤解を与えるおそれもあるなど、様々な課題もあるところであり、今後、こうした課題について、試行を積み重ねながら早急に検討を進めることが必要である。


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