環境省総合環境政策超長期ビジョン検討について

第12回超長期ビジョン検討会議事録


平成19年10月25日(木)10:00~11:40
環境省22階 第1会議室

○議事次第

1.開会

2.議事
  (一)超長期ビジョンの検討について
  (二)その他

3.閉会

配付資料一覧

【資料】

資料1
超長期ビジョンの検討について

【参考資料】

参考資料1
第11回超長期ビジョン検討会(平成19年8月17日開催)議事録
参考資料2
超長期ビジョン検討会名簿

出席委員

安井至座長、西岡秀三主査、明日香壽川委員、太田宏委員、川島博之委員、柴田康行委員、花木啓祐委員、原沢英夫委員、森口祐一委員、山本博一委員、若林敬子委員

午前10時00分 開会

○弥元環境計画課長 それでは、お時間がまいりましたので、会議を始めさせていただきたいと思います。
 議事に入ります前に、お手元の配付資料のご確認をお願いいたします。
 配付資料といたしましては、「超長期ビジョンの検討について(報告)」というのが資料1でございます。それから、前回第11回の超長期ビジョン検討会の議事録、それから、超長期ビジョン検討会の委員名簿でございます。
 また、大変恐縮でございますけれども、検討会終了後、資料1を回収させていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 もし足りないものがございましたら、お申し出いただければ。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは安井座長、よろしくお願いいたします。

○安井座長 おはようございます。しばらくご無沙汰でございました。お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。
 それでは、本日、第12回になりますけれども超長期ビジョン検討会の、かなり最終回に近いものだと思っておりますが、議事を進めてまいりたいと思います。
 あれ以降、さまざまな検討を加えまして、それから一部の委員の方には特にエネルギー関係のところをどう書くかということでお集まりいただきました。若干変わっている部分もございます。したがいまして、本日、まずは事務局側からどのあたりが変わっているのか、どんなものが付け加わっているのかということの概略のご説明をいただきまして、それからそれについての議論、そして全体的に見直していただきまして、そのご意見をいただく。その中で修文をしながら、直るようなところとそうではない部分があるかもしれないなという点もございますが、前回のときにもお願いをしてあるわけでございますけれども、いよいよ日程が詰まってまいりまして、11月中に、皆様のご意見をいただいて、何ページまででしたか、紙数枚ぐらいだったような気がいたしますけれども、A4、2~3枚ぐらいだったかもしれませんが、ここの超長期ビジョンに参画した委員としての個人的見解みたいなものをお書きいただいたらどうかということをいよいよ実行していただくという段階になるのかと思っております。
 本日は、そういったことでそれで終わりでよろしいのではないかと思いますが、それでは、早速でございますが、前回以降に入りました変更点等につきまして、まず菊池さんの方から口火を切っていただきたいと思います。

○菊池計画官 おはようございます。
 私は、9月に環境計画課計画官に着任いたしましたので、実はこの会合に出席いたしますのは初めてでございます。申し遅れましたけれども、菊池でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それではちょっと座らせていただきまして、前回の資料からの大きな変更点はどの辺にあるかということを説明させていただきたいと思います。
 まず、変更点の説明をいたします前に、検討員の皆様、それからアドバイザリーの先生からも事前に有益なご指摘をちょうだいいたしました。感謝申し上げます。
 それを受けまして、事務局で対応可能なご意見につきましては、できる限り修文、それから資料の差し替え、構成の変更などをして、極力反映いたしましたけれども、まだ事務的にこなしきれない部分もございまして、お詫び申し上げたいと思います。今後の検討ですとか、それから事務局の作業に当たりまして、留意してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 本日、お配りをしてある資料1の表紙、目次のところをごらんいただきたいと思いますけれども、ここをごらんいただきますと、まず1.本検討の趣旨というふうになっております。前回、お配りしてあった資料では、この後に1.の2、1.の3、1.の4としまして、先生方の名簿、それから本検討会の検討実績、開催実績などがついておりまして、いわば検討の手順について説明をしているパートが最初に出ておりました。これはロジ的なものでございましたので、今回は、これを参考資料の後ろの方に、参考資料A、B、Cというふうに移しておりまして、すぐに本論に入るという構成にしております。
 それから、3.持続可能性のリスクのところですけれども、ここの3.の4といたしまして、生活環境の質に関する問題と書いておりますけれども、前回は、ここは3.のその他の問題という書き方をしておりました。これは、生活環境の質に関する問題とし、それからこれと連動いたしまして、4.のところの環境像、3分類の環境像を前回は書いておりましたけれども、4.の4としまして、快適生活環境社会からみた環境像という環境像の章立てをいたしまして、4分類の構造としております。前回の検討会でのご意見を踏まえまして、このように構成変えをしております。
 この点につきまして、新しい分類の環境像を1つ立てましたので、その内容についての記述を充実するべきであるというご意見もいただいております。というのは、ここの部分は、汚染対策と、それからヒートアイランドについて言及があるんですけれども、さらによりよい生活環境、快適な環境を目指すという施策の部分ですとか、もう少し掘り下げてはどうかというご意見も実はいただいております。
 ちょっとそこはこなしきれない部分でございましたので、宿題とさせていただければというふうに考えているパートでございます。
 それから、大きく変わっておりますのは、6.の部分でございまして、大幅に書き換えた部分でございます。
 座長からもお話、ご紹介がございましたけれども、若干エネルギー関係のところで、先生のご意見などもいただきつつ、それから事務局の方で、新たに追加的な計算などをして書き換えたものでございます。
 この章は、二酸化炭素の排出削減対策、これを例にとりまして、2050年への低炭素社会への道筋をどう描くかという検討をするものでございましたが、こちらの事務局で試算を行った結果、その試算の結果を補足3というところについておりますけれども、その検討結果に基づいて、2050年における二酸化炭素排出削減対策の効果の試算結果に基づいて書き直しをしているところでございます。
 ページ数としては、ここは、ちょっとごらんいただければと思いますけれども、60ページのところに補足3というところをつけておりまして、世界全体での二酸化炭素排出量の削減効果が今後どうなっていくのか、それから、我が国における二酸化炭素排出量の削減効果いかんということを追加しております。これが60ページ、61ページ、62ページまででございます。
 それから、補足4のところ、これは63ページでございますが、これは目指すべき社会像における指標の定量化というところでございまして、ここに結果をつけております。
 それから、補足5としまして、64ページ以下ですが、分岐シナリオに基づく感度分析の結果、これを示しております。
 最後に、結びということで、終わりに閉めの言葉をつけるというふうに大きな変更点としてはこのような変更を加えております。
 さらに、このほか、全体を通じまして、引用文献の引用先を明確化するとか、脚注をつけて読んでわかりやすくするという修正を施しておりますけれども、この点につきましては、逐一の説明は省略をさせていただきたいと思います。
 大きな修正点については以上でございます。

○安井座長 ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、日比野さんの方から、ご説明をいただきたいと思います。

○日比野氏 それでは、60ページをごらんください。
 9月19日に一部有志の検討委員の方でスケジュールの都合がつきました方に、お集まりいただきましてご説明したところでございますが、この度セクトラルアプローチ、部門ごとに最新の技術を入れていったらどの程度削減できるか。そのようなアプローチは世界規模の大幅な削減に資するのではないかという意見がありまして、それがどの程度に実際効果をもたらすのかという試算を当方で行いました。
 それについて補足3の方に記述しているところでございます。
 その60ページに基づいてご説明させていただきます。セクター別アプローチという言葉はいろいろな定義で使われていまして、定義につきましては、まだしっかり固まったものではないのですが、ここでの分析につきましては、その文章中の6行目にある[2]「高効率技術の普及率に基づくアプローチ」、高効率技術ベストアベイラブルテクノロジー、現在の技術で最もよいもの、また、将来における最もよいもの。そういったものが世界中に普及していくといったもので、どの程度削減できるかというものを分析しております。
 具体的には、60ページの一番下に部門が書いております。エネルギー転換部門の石炭火力、ガス火力、石油精製、鉄鋼、セメント、石油化学、紙パルプ、アルミニウム、自動車、旅客の自動車、家庭業務、こういった部門を対象に実際の分析を行いました。
 見ていただくとおわかりのように、エネルギー多消費、CO排出の多い部門については網羅しておりまして、世界全体で、これらの部門を抑えることで、おおむね燃料燃焼起源の7割を抑えることができます。
 残りの3割については、細かい業種に入り込んできますので、特定の、最もよい技術というものが特定しにくい部門が残っておりますので、こういったアプローチを採用できるという意味では、ほぼすべての部門を網羅したと考えております。
 それぞれにつきまして、現在、2030年及び2050年について、技術の普及について試算を行っております。
 2050年、今の技術よりもう少し、今の技術の延長線上で、もう少し技術がよくなっていく、そういった技術が2050年で普及することを仮定しております。
 結果につきまして、そのグラフに示しております。2050年までに各活動量がどのようになっていくか、例えば具体的に言いますと、粗鋼生産量がどうなる、セメント生産量がどうなるというシナリオが非常に入手できず、また、世界全体整合がとれた枠組みでそういった将来推計を行うというのもちょっと時間的に難しかったので、ある程度今の傾向でいったらどうなるかというような前提を置いていろいろな試算を行いました。
 削減量につきましては、2050年の時点のグラフで下向きの矢印、そこに示してある部分、それが今回の試算で行いました削減量に相当します。ベースとする、このままいったらどうなるかというリファレンスシナリオとしては、IEAの国際エネルギー機関のリファレンスシナリオを適用しました。ただ1つ問題がありまして、この試算は2030年までしかありません。そこで、そのままの傾向でいったらということで、線で外挿的に伸ばしてつくったのが、2050年の数字です。
 そのような乱暴なことをしていいのかどうかというちょっと懸念もあり、IPCCとの比較を行いました。IPCCにおけるCO 排出量の予測はグラフ中に薄い線で書いたものです。
 A1B、A2という比較的高いシナリオ、B1、B2という比較的排出量が小さいシナリオ。IEAの予測をベースとした排出シナリオはその間に入っているので、やや乱暴な外挿ではありますけれども、リファレンスケースとしては使えるのではないかということで採用いたしました。
 それで、今回想定いたしましたBAT技術、それを適用しても、赤いところまでしかいかないと、世界全体で3万メガトンCO、そこまでしかいかないと。下の方に青い部分がありますけれども、これが現状の排出量の50%、Cool Earth 50で宣言しております世界全体50%削減にはまだまだほど遠い数字となっているというような結果です。
 ちょっと61ページをごらんください。
 そのBATとして、想定した技術の一覧が載っております。ここで挙げている技術は先ほど申しましたように、現状の技術の延長線上で、この程度までなら技術的なポテンシャルで効率を高めることができるというものを書いております。
 これらの技術では、今申し上げましたように、とても世界全体で半減するという目標では足りないということが示されました。
 3行目から示してありますように、さらに削減を深めるためにはセクターを超えた取組み、部門間のエネルギーユーズ、そういったものも必要でしょうし、セクターにおける活動路の効率かつ、つまりこれから自動車輸送というものが本当に必要なのか。脱物質化を図って、そういった素材産業を減らしていく、そもそも活動自体を減らす必要もあるのではないかというところ、あと3番、セクターをまたがった技術選択、LCA的に考えて、鉄をチョイスするのがいいのか、木材をチョイスするのがいいのか、そういったセクター間を超えたより低炭素に結びつくような素材選び、そういった取組みが必要ではないかというようなことを書いております。
 さらなる削減として、革新的技術、ここで書いたアプローチは、BATの想定は、現状の技術の延長線上でして、革新的な技術といったものを入れておりません。ここで言っている革新的技術というのは、例えば石炭火力からCOを回収して埋めるCCS、あと原子力発電のさらなる普及、あと再生可能エネルギー、あと水素燃料電池自動車の普及、そういった今検討、開発、普及を進めている段階、まだ普及には届かない開発段階のものを考慮しておりません。
 これらについては、うまく開発が進み、普及が進むことによって、かなり大きなポテンシャルが考えられます。それらが世界中に普及したらどの程度になるかという試算をしたところ、削減ポテンシャルは1万5,838から2万1,713メガトンCOとなり、先のベストアベイラブルテクノロジーと合わせて、50ページの図の現状排出の5割、そこまで削減が届くということが言えるかと思います。
 このように、革新的技術、これらを全部必ずしも入れるということではなくて、こういったものを考慮し、さらに先ほど3つぐらい指摘した点、セクターを超えた取組み、活動路の効率化、セクターをまたがった技術選択、そういったものを加えていけば、決して現状排出を5割削減ということはあり得ない数字ではないということが示唆されたというところでございます。以上です。

○安井座長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、増井先生の方から補充をお願いしたいと思います。

○増井氏 それでは、計算結果につきまして、紹介させていただきます。
 ちょっとページの方、戻っていただきまして57ページ、2050年に向けた検討というところから説明をさせていただきます。
 前回までの資料では、ここの2050年に向けた検討でも、COの排出量のパス、特に2030年についての話をしていましたが、いろいろ検討を重ねていくうちに、果たして本当に定量化がきちんと議論に耐えるだけのものになっているのかというところを事務局内部でも議論いたしまして、今回、定量的な結果を示すことは示すんですけれども、あまりいい加減なことを言うのはやはり問題であろうということで、2030年に関する定量的な結果というのははずしております。
 2050年に向けた検討というところにつきましては、定性的な話で、またこのあたりはちょうど安井先生からいろいろご説明があるかと思いますけれども、2030年につきましても定性的な議論にとどめるというように変更いたしております。
 そのかわりに2050年のいろいろな検討について、どういう対策をとったからどれだけCOが下がったのか、あるいは環境負荷が下がったのかということを明示できるように変更をいたしております。
 先ほど日比野さんの方で説明されました補足3の続きのところ、61ページの下の方、我が国における二酸化炭素排出量の削減効果というところなんですけれども、ここには2050年における日本のCOに特化した計算結果を示しております。
 まず、2050年における社会像の前提というのが、その61ページの下から10行目あたりから書いてあります。
 1人当たりの2050年までの平均の経済成長率、1人当たり1.5%。2050年の食料品の輸入シェアは、2000年比で金額ベースですけれども半減。金属部門、鉄鋼等を含む金属部門の生産高は金額ベースでは不変。機械の輸出のシェアは、金額ベースですけれども、2000年と比べて25%ほど伸びる。原子力発電は、2000年比27%減で、水力発電の方は2000年比12%増。一方、バイオマスエネルギーの供給量は、石油換算で10メガトン程度。こういう想定のもとで試算をいたしております。
 こうした試算の前提につきましては、西岡先生が座長をされております脱温暖化研究の結果や想定ですとか、あるいはこの検討会の中での議論を踏まえております。
 こういう想定を踏まえた上で、COの排出量がどうなるのかということを試算しております。
 その結果、1番目といたしまして、成り行き社会といたしまして、1人当たりのエネルギーの消費量が現状程度を維持する、これを成り行き社会と定義をいたしまして計算しましたところ、2050年の排出量は、2000年比20%の削減となります。これに先ほど、日比野さんが説明されましたベストアベイラブルテクノロジーの普及、より効率的な社会、エネルギー効率の高い社会が築かれるということを前提に想定した結果が、2のところに示されております。ベストアベイラブルテクノロジーの普及率が80%の場合には、CO排出量は2000年比25%削減される。100%の場合には、CO排出量は44%削減されるという結果になっております。
 この場合、CO排出量が5割もいかないために、さらなる対策が必要になってくるということで、3番目、これが先ほどの日比野さんの説明の革新的な技術に該当するんですけれども、例えば燃料電池自動車というものが普及することを想定しています。この場合には、追加的に7%の削減効果が得られます。
 CCSの導入、主にこれは火力発電所に炭素隔離貯留技術を導入するという前提を置きますと10%程度の削減効果、追加的な効果が得られるということになります。
 また、バイオマスの供給量を目いっぱいすると、この目いっぱいというのは、まさに脱温暖化研究で示されているところなんですけれども、そういう前提を置きますと、COの排出量はさらに7%削減されます。さらに、原子力発電所からの発電量が増大したり、あるいはさらに再生可能エネルギーを普及させるということによって3%追加されます。
 それとともに、例えば2050年のCO排出量を2000年比50%削減するということを実現させる対策というのはどういうなものなのかというなことが、4番目のところに書いてあります。
 原子力発電所の増大ですとか、バイオマスエネルギーの供給量、目いっぱいまで入れなくてもいいんですけれども、かなり現在の水準と比べると高い量を入れると、COの排出量を2000年比50%削減が実現できるという結果になっております。
 また、さらに脱温暖化研究で行われておりますような7割減をどうすれば実現できるのかということで、原子力発電のさらなる普及ですとか、バイオマスを目いっぱい入れるとか、さらには90年比70%減を達成していくためには、例えば金属部門の生産を少し落としていく。これは、輸出が減っていくという想定をしますと、何とか90年比でも70%削減することができるということで、このあたりは脱温暖化研究を再現することができております。
 以上のような結果から、7割減という非常に大きな目標を想定するためには、ありとあらゆる対策を導入していかないということを計算結果として出しております。
 ちょっと飛ばしまして、64ページに関連するところといたしまして、分岐シナリオとして、61ページの下のところに示しておりますような社会像をベースに計算したんですけれども、仮に社会像が変わったときにどうなるのかということを見ております。本来、シナリオ分析ですと、もっとドラスティックに社会像を変えることが望まれるわけなんですけれども、ここではその社会像がグローバル化していく、グローバル化の傾向が強くなるという場合と、国家が自立していくという傾向が強くなるという、その2つを想定して、感度解析的に想定しています。
 その分岐シナリオの概要は、64ページの表6の2のところに書いてあります。グローバル化の方につきましては、輸出入、海外とのかかわりが非常に強くなって、いわゆる選択と集中ではないですけれども、日本の得意分野を伸ばしていくということで、経済成長が比較的高くなっているというような想定をしています。
 エネルギー、食料等の自給率はやや低下していくというような想定にしております。
 一方、国家自立傾向シナリオの方につきましては、すべてといいますか、ある程度国内でまかなっていくという想定を行っておりますので、比較的、非効率的なところにも資本を投入していかなければいけないということで、経済成長率はやや低くなっております。そのかわりに、自給率の方は高くなっているという想定をいたしております。
 その結果が、65ページのところなんですけれども、一応どういう社会になっても想定されているCOの排出量、ここでCOの排出量だけしか見ておりませんけれども、COの排出量はもともと想定されていたものと同じような水準に押さえることができるという結果になっております。
 これは、それだけいろいろな対策を導入された社会像、少々社会の方向性そのものが変わっても、導入される対策の効果が非常に大きくなりますので、それだけ対策を入れた社会が実現できるとなると、どういう社会になってもある程度は温暖化対策、COの排出削減については効果があるということを示しております。
 ちょっとページの方、戻っていただきまして、63ページ、補足4のところです。これが前回もお示ししておりましたところなんですけれども、今まで紹介いたしましたのはCOの排出量の削減だけなんですが、ほかの環境問題、今回の4つの柱に相当します温暖化、循環型社会、生物多様性、さらには快適な生活環境、それぞれに関連する指標について2050年にどうなっているのか、これは先ほど紹介いたしました中の2050年に50%COが削減されるというような社会を前提に、計算をいたしております。
 その結果が、63ページの図6の4のところにあるとおりでございまして、例えばGDPは先ほど言いましたように、1人当たり1.5%ずつ年間伸びていくということで、今と比べると経済の規模そのものは7割程度増加することになっています。人口の方は、2割ほど減っているということになっております。
 それぞれの環境負荷につきましては、COの排出量を先ほど申し上げましたように大体半減するということで、それに呼応するように化石燃料の消費が減るということで、硫黄酸化物ですとか窒素酸化物も減ってきます。ただ、窒素酸化物の方は、バイオマスの消費量が増えるということもありますので、COの排出量ほどは減らないという結果になっております。
 廃棄物の最終処分量につきまして、当初は半分ぐらいを目指していたんですけれども、ちょっと今の現時点での想定では、現状と比べて6割程度の最終処分量になっているだろうという結果になりました。資源生産性は2000年と比べると、80%ほど高くなっています。
 水の方、取水量、このあたりはどういう想定を置くのか、水の回収をどれだけ強く進めるのかということによって、かなり答えは変わってくるんですけれども、現状よりは少し取水量、水の需要量は増えます。ただ、逆に、水質汚濁の指標の方は、CODですとか、窒素、リン、そういう指標はさらに対策が進むという想定を行っておりますので、減ってくるという結果になっております。
 あと自然地面積ということで、前回までは森林面積というふうに書いていましたが、経済活動に必要な土地以外の面積、林業なんかに使われる森林の面積も含んでおりますけれども、そういう経済活動に使われない土地を自然面積とここでは定義しておりますけれども、そういった自然地面積というのは現状の水準を何とか維持することができるとなっています。もちろん、質によって変わってきますけれども、面積的なところは生物多様性を維持していく上でも必要最低限のところはクリアしているのではないかなということを結果として出しております。
 以上が、計算結果のところでして、最後に参考のFとして、モデルの前提、モデルの概要を紹介いたしております。これも先ほど申し上げましたように、2030年の結果をはずしているという変更がありましたので、そういう点を修正して、また参考の21ページのところに、その勘定表を示しておりますけれども、その勘定表に書かれている、記号の意味が一体何なのかということを付け加えまして、できるだけモデルの定量化の概要に誤解を与えないようにということを念頭において修正を行っております。以上です。

○安井座長 ありがとうございました。
 これから、ご意見を伺うわけでございますが、少し補足させていただきますと、幾つか既にご説明の中で出ておりますけれども、一応大前提といいますか一番最初に言っていたことは何だったかといいますと、この超長期ビジョンに関しては、計算、あるいはコンセプトはバックキャスティング的に行うということがあったんでありますが、それが比較的消えています。
 まず、それが後の方で見ますと、バックキャスティング云々という説明はあることはあるんでありますが、本文の方で、どういう検討を行ったというところにはあまりちゃんと書かれていないということでございます。
 どちらかといいますと、したがいまして、バックキャストというよりも2050というピンポイントで今回の報告書は書かれていて、途中の2030シナリオは、そこそこデータは出したんですけれども、今回は後で述べますような事情ということで、あまりちゃんと書かれていないというわけでございます。
 そんなところがまず大きなところでございますが、あと恐らくもう1つ、今後のこの報告書をどうするかということに関しまして、若干のご説明をいただいてから議論に入った方がいいかなと思いますが、タイムスケジュールをちょっとどちらからか。

○菊池計画官 それでは、事務局の方から、今後のタイムスケジュールについて、こちらの考えていることでございますが、ご説明をいたしたいと思います。
 本日は、この検討会におきまして、お配りしております資料について、ご議論いただいた上で、ある程度の取りまとめをしていただければ、来週10月29日、中央環境審議会総合政策部会におきまして、この報告書に関するご紹介をし、中央環境審議会総合政策部会の委員のご意見をいただきたいというふうに思っております。
 現在、中央環境審議会では、低炭素社会への検討ですとか、第三次環境基本計画の点検の作業ですとか、さらに申しますと、循環型社会形成基本計画の新しい計画の策定ですとか、生物多様性国家戦略ですとか、いろいろな関連する検討がなされておりますので、そういった状況などを見つつ、この超長期ビジョン検討会のこの報告の検討性等の活用方法を検討していきたいというふうに考えているところでございます。
 それからさらに申しますと、安井座長からも最初お話がございました、この報告書の中に盛り込まれていない事項で、委員各位からご意見をペーパーで出していただければ、それも11月中に出していただければ、この報告と合わせて製本のような作業を行いまして、合本をいたしまして最終的な形としてお配りをしたいというふうに考えております。とりあえず以上でございます。

○安井座長 ということでございますが、一番気になるのは、11月中に何か書けと言われても、これが手元にないと。きょうは少なくとも手元にないわけでございまして、ですからいつ正式文書が手に入るかというと、29日にクリアすれば、そこで入るということですね。
 ですから、29日の総政部会が終了後、皆様のお手元に送られるというご理解でいかがでございましょうか。ですから、きょう回収というのは中間過程だということで回収ということでございます。
 したがいまして、議論の進め方でございますけれども、11月中に皆様に個人的な見解をいろいろお書きいただけるんでありますが、もう本当にわずかしか日がないので、修正は結構難しいのでありますが、その最後の最後の段階の修正で、若干の修文をした上で、この報告書を29日に出す、それにあたって何かここは絶対にとかというご意見をまずいただくことと、あとはジェネラルなご議論をいただいて、それで最終的には各委員の見解を11月中に宿題としてやっていただくというような感じかなと思います。
 ですから、いろいろとお考えはあると思いますが、これは修文が必要というようなことをコメントしていただいてからご議論いただいた方がいいと思います。
 全体としては、局長からお話を伺った方がいいかもしれませんが、一応この超長期ビジョンは、本当に最初からお集まりの委員がそうであるように、いろいろな分野で、バランスよくものを考えて、それでどんなふうになるかというのが、最初の狙いであったわけでありますが、途中で諸般の情勢から、どちらかといいますとエネルギー関係、CO関係にちょっと重点が移り、それで最後にまた元に戻ったと、こんな感じなんですね。
 といいますのは、この検討会の第1回が行われましたのは去年の6月29日ですが、それから12回ですから1年半で12回やって、この1年半の諸般の情勢の変化というのはすさまじくて、全くこの委員会はその渦の中に巻き込まれて、上に行ったり下に行ったり、よく溺れ死ななかったなという感じはいたしますが、そういうことで、本日何とか水面に顔を出しているという状況であります。
 ということでございますので、途中でいろいろな話もございましたが、一応とりあえずあとで局長から今後これにかかわるような検討が先ほどもご紹介ありましたけれども、幾つかなされていくような、総合的なこれからの見通しをご説明いただきたいと思いますが、とりあえずこの29日に行われます総政部会にこの資料プラスアルファは……大体これだけ、これが出ていくということでありますが、それのときにここは絶対にこの文字を入れろとか、そういうようなご意見があればというような緊急の直面している、我々が直面している課題でございます。
 というわけで、どなたかございませんでしょうか。

○花木検討員 気になるのは、62ページにシナリオが書いてございますが、上から5行目のバイオマスのところなんですけれども、脱温暖化のプロジェクトについての私の記憶では、バイオマスに輸入を想定している部分がございます。ほかの技術については、技術が進めばそれなりにCOは減るということでいいと思うんですね。だけれども、そういったバイオマスを輸入するということについては、国際的にそれがCO削減として認められるかどうかというやや違う側面の問題をはらんでいる部分があると思います。
 そういう意味で、この40メガトンが、輸入分を想定しているのであれば、それは少し書いておいた方がいいかなと思います。そこはいかがでしょうか。輸入を想定しているんですか。

○増井氏 はい、まさにおっしゃっていただいたとおりですので、そこはきちんと輸入も含まれる、大部分は輸入になるということをきちんと書くようにいたします。

○花木検討員 ついでにあと細かいポイントで、61ページの表6の1の下に、「セクターをまたがった技術の選択」とか書いてありますが、これは多分パッと読むと何のことかわからないので、さっきおっしゃったCOの排出が少ない材料の選択とか、そういうふうに書かれた方がいいかなというのが1点と、63ページの棒グラフ、図の6の4、青い棒グラフがございますけれども、この中に高い方が望ましいものと低い方が望ましいものと混在していますよね。恐らく、一番左の2つは、GDPと人口だから、これはいい悪いというのではなくて、そういう趨勢があって、そのあと右側に高い方がよいもの、低い方がよいものを整理して示すのがよいと思います。色を分けるのか、場所を変えるのか。ちょっとその辺、工夫された方が、印象がくっきりすると思います。以上です。

○増井氏 はい、わかりました。そこはもう一度検討します。

○安井座長 はい、ありがとうございました。
 どうぞ。

○森口検討員 この6章の試算の扱いなんですけれども、恐らく非常に時間が限られているということであれば、その修文で対応するのかなと思うんですが、57ページ、具体的検討として、2050年における二酸化炭素排出量の試算と書かれているわけなんですけれども、その前の5章ですとか、4章では、望ましい2050年の姿というのを書いているわけですよね。サラッと読んだときに、この6章で書かれているこの検討成果というのが、それ以前に書かれたものすべてを満たしているように見える。満たしているのかもしれませんが、そこは私の誤解であれば訂正いただきたいんですけれども、二酸化炭素の排出量はある種の目標像に達しているかもしれないけれども、ほかの部分が、それ以前で書いていることを達成しているのかどうかというあたりが、やや誤解を受ける可能性があるのではないかと。
 端的に申し上げますと、63ページの補足4というところで、いろいろな指標が出ているんですけれども、これは確かにCOは半減しているんですが、それ以外の指標というのは、極めてコンサバティブなというか、現状に比べての変化が小さいわけです。
 2050年、いろいろなことをやらなければいけないというのに、これだけしか変わってないのかなというイメージを受けてしまう可能性があるのかなと。ですから、6章が、もしCOを重点においているので、ほかの部分について、非常にドラスティックなことをやっているわけではないということを明確に書いてあればいいと思うんですけれども、結局、2050年に目指しているのは、こういう変化なんですよということになると、ちょっとほかの分野はあまり何もいじらなくていいのかなという印象を与えてしまわないかなと、ちょっとそれが気になっております。
 計算をやり直すというのは、とても大変だと思うので、57ページの書き方の問題かなと思うんですけれども、ちょっとそのあたりをご説明いただければなと思います。
 具体的に申しますと、私がかかわっているところでいえば、資源生産性が例えば80%改善というのがあったんですが、GDPが60%ぐらい改善していると。そうすると資源消費量の絶対量というのは多分十数%ぐらいしか下がってないことになって、人口は2割減っていますので、パーキャピタで見ると、より大量消費型の世界になってしまって、多分それは前に書かれていることと随分イメージが違うことになってしまうのではないかなと思います。バイオマスを増やしているとか、いろいろな理由があるのかもしれませんけれども、そういう意味で、6章でやっていることというのが、5章以前の全部の問題をカバーしているのかどうかというところについて少しちょっと説明が必要ではないかなと思います。

○増井氏 まさにおっしゃっていただいたとおりでして、COにつきましては、いろいろな段階で、こういうふうな対策を入れればこういうふうな削減が可能だというふうなことをやっているんですけれども、本当にほかの問題については現状、あるいは現状よりは少し効率の高いものを導入しているということしかできておりませんので、そこにつきましては、きちんと反映させたいと思います。

○安井座長 どうぞ。

○西岡主査 今の件ですが、はっきりしたキャッチフレーズでファクター幾つというような言い方ができると非常に明解になる。しかし、今のお話だと、必ずしもそうは言えない。資源生産性はあるけれども、需要側の削減の方は話が明解ではない点があるが、できたらそうして欲しい。
 もう1つ、先ほど座長がおっしゃいましたバックキャスティングの話です。バックキャスティングは手法の話というよりも、むしろ考え方として、我々こういう社会を目指すんだということをどこかで強く打ち出すための言い方に使ってはどうか。それを十分達成できる期間、すなわち50年の長期ぐらいにわたってやっていく時間的余裕もあるし、それから今のうちからきちんとしたインフラをしていかなければいけないよということを示す、そのための1つの概念という具合に考えた、というニュアンスが本文の中にもあってもいい。

○安井座長 なかなかまとめ方として難しいところでございますね。目次的に見ますと、2050年に向けました検討というのは今おっしゃっていただいたような形で、どっちかというと二酸化炭寄りになっている。
 それの結びあたりですか、そうすると。その結びあたりに……。
 実を言うと、一番最初にバックキャストという言葉は消えてはいるんでありますが、その本検討の趣旨の下の方に、まず目標時点である2050年における持続可能性上望ましいわが国の社会の姿を示すことに注力し云々、この実現に向かうべき、たどるべき道筋をどうのうこうのうと書いてあって、そこに二酸化炭素と書いてあるんですね。
 この辺の表現と最後の66ページには、真ん中より下あたりでございますけれども、2050年の方策に向け、二酸化炭素の削減を例にとって云々と書いてあるんですよ。それだけなんですね。ですから、この辺のところを例えばどう強化したらいいかということかなという気がするんですけれども、何かもう少し具体的に。

○西岡主査 確かにそこのところは、急に二酸化炭素だけの話になってしまう。私が申し上げたいのは、やはりこの時点で、環境の制約を念頭において物事を進めていかなければいけないんだ、ということを強く自信をもっていくべきだということです。
 このビジョンの中で、そういうことを言うための1つの考え方として、バックキャスティングという言葉を明示的に入れるべき。むしろ意気込み的な感じであってもいいんじゃないかなと思います。

○安井座長 それは恐らく極めて重要な話であって、きょうから始まったのか、きのうから始まったのか、東京モーターショーだって、環境がどうのうこうのって書いてあるわけですからね。ここから出ていく文章が東京モーターショーに負けてもしようがないかという感じが確かにありますよね。
 ですから、そのあたりを含めて、すべての人間活動がその環境というものを、バウンダリーコンディションとしてしっかり考えて行う社会になったということをもうちょっと強く書けというご注文だと理解すればよろしいですかね。いかがでございますか。努力すると……。努力していただけるようです。

○原沢検討員 ちょっと細かなところで確認なんですけれども、61ページの下から6行目ぐらいに、原子力発電量が27%減というのは、これは前提として計算してという話があって、62ページの上から5行目ぐらいに、こちらは追加的な対策で、原子力発電量の増大ということで、2000年比27%増ということで、減らしておいて計算して、また追加的対策で元に戻すということの考え方というのが、もしかすると重要かなと思うんですけれども、この辺はちょっと追加説明をお願いできますでしょうか。

○増井氏 ここにつきましては、原子力の想定そのものは、脱温暖化の研究そのものを拝借しております。
 脱温暖化の中では、A社会、B社会というのがありまして、それぞれの社会に応じた対策という形で想定されております。
 ですから、ここでいったん下げておいて、また上げるというのが、対策という側面から見ると確かにちょっと矛盾しているかもしれませんけれども、成りゆき社会としては、低い方、確かB社会だったかと思うんですけれども、B社会のような社会の結果を反映させています。社会そのものの前提も違いますが、それを対策として考えた場合にはまだまだ不十分であり、例えばここではさらに対策として原子力発電を導入するということで、A社会の原子力発電の成果を対策として組み込んでいます。こうした点もどの部分をどこから前提として拝借してきたのかということをきちんと明示しておかないと、議論を混乱させる可能性がありますので、そこはきちんと修正したいと思います。

○安井座長 ほかの委員の方々いかがでございましょうか。何かございませんでしょうか。
 山本先生、どうぞ。

○山本検討員 非常に細かいことなんですが、64ページのところで、自給率の欄で、これは森林自給率の表現はちょっと、木材だと思います。
 それと今議論になっております61~62ページのエネルギーの関係のところで、水力が増大するという話になっていますが、これは効率が上がるという理解で、この増になるんでしょうか。

○増井氏 ここは、水力発電等と書いておりまして、水力発電だけではなくて、例えば太陽光ですとか風力とか、そういうようなものもすべて含めて、バイオマス系以外の再生可能エネルギーが増えているという意味です。確かに水力発電等ですと、水力発電だけに見えてしまいますので、そこはきちんと誤解のないようにしたいと思います。

○山本検討員 先ほど、ご指摘がありましたバイオマスのことで、これは輸入を前提としているというお話だったんですが、40メガトンとかいうその数字が、バイオマス量にしたらどれだけの量なのかというのがちょっとイメージわかないし、これを生産するためにどれだけの土地が必要なのか。それが本当に海外からの輸入というのは、現実的なものかどうかと、なかなかちょっとイメージわかないんですが、そこのところちょっと気になる点ですね。

○増井氏 わかりました。そこもきちんと書くようにいたします。

○安井座長 ほかにいかがでございましょうか。

○明日香検討員 大きな話で、私もどういうふうに書けばいいのかわからないし、ご検討なさっていらっしゃるかとは思うんですが、例えばエネルギー価格の前提なり、もうちょっと制度的にどうなっているとか、インセンティブはどうだ、そこら辺もうちょっと書いてあってもいいのかなという印象を思いました。何となくこれだと自然にこうなりますよというような印象があって、このために何が必要で、実際、石油がどういう状況になってというふうに予想しているかというのは、多分読む方は疑問に思うかなとは思いました。
 あと細かいところなんですけれども、2つのシナリオの違いが72兆円というふうにちょっと唐突に数字が出ているんですが、この72兆円という数字をどう考えればいいかと。GDPの何%なのかとか、例えば何年遅れで同じようなGDPは違うシナリオでも、GDPの額から言えば達成されるのかもしれませんし、ちょっとそこら辺、どう解釈するのか、道筋をちょっと教えていただければなという気がしました。以上です。

○安井座長 そうですね、社会的仕組みについては、なかなかどう書くか難しい部分があって、社会システム、どこにどう書くか。これはなかなか微妙な問題ではあります。
 そちらはそうですが、少なくとも価格の方に関しては、確かに2050年までの話ではないものの、ウランの値段なんてほとんど垂直に上がっていますからね。あんなことは書いておくべきなのかもしれないですね。
 オイルの価格もちょっといろいろな事情から、あれをキープするとは思わないですけれども、ちょっとすごい振れであるということぐらいはどこかに明示したグラフを入れるべきかな。どうですかね。そんなことが可能ですかね。

○増井氏 可能は可能だと思いますけれども。

○安井座長 時間的に間に合うかという問題もありますね。

○増井氏 例えば、原油価格ですと、もう我々は予測する術は持っていませんので、この計算でも、例えばアメリカのEIAやOECDのIEAというところが推定している数値を参考にしているんですけれども、それらの値は非常に低いので、今回の計算では、2050年に1バレル100ドルという想定にしております。ですから、例えば今の現状で、例えばEIAなどの機関では、これぐらいの予測をしている、2030年ぐらいなんですけれども、それに対して、今回の計算ではこういう想定をしたという、それぐらいであれば示すことは可能だと思います。

○安井座長 例えば、炭素の排出権価格なんかは

○増井氏 一応、いろいろな予測はありますが。

○安井座長 入れてはないの。

○増井氏 入れてはないです。

○安井座長 ということなんですね。例えば、灯油1リットル当たり30円とか何とか、100ドルぐらいで済むんですかね。そんな価格で、化石燃料の価格は上がるのと同じなのかな。ちょっとその辺どう書くか微妙なところですね。何かこれまで事務局に振ると答えがしにくいかなという気がするんだけれども。その辺は、確かに意図的に抜かれている部分もあって。

○明日香検討員 個人的には、やはりカーボンの価格をつけるべきだというムードというかモードというか、そういうのはあって、ぜひもうちょっと盛り上げたいなと思っているところもありますので、一言だけでも何かあるといろいろな意味でいいところもあるのかなとは思います。
 あと実際、わからないのは、今おっしゃったように原油価格かカーボンの価格の方が大きく、数字がきいてくるのか、将来幾らぐらい、どうだこうだというのは、ちょっと知りたいなというところはあります。
 

○安井座長 例えば、1案としては、15ページ、16ページに国際社会というところがあって、それでそこでEU及び国際的にというか、京都の枠組みでの排出権取引の話がどうのうこうのうということをここにチラッと書いておくという手はありますよね。
 だから、要するにEUと、何も書いてないかな、どこかありますかね。

○菊池計画官 ちょっとご説明だけいたしますと、48ページをあけていただきますと、5章の目指すべき2050年の社会を描いたパートでございますが、48ページの一番上のパラグラフで市場経済のルールということで、環境保全コストの税とか、排出権取引などの手段を通じて、市場価格に反映をされているのだ、ということが目指されるべきであるということを定性的に書かれているというパートはございます。

○安井座長 今のところにしかしどう書くと、これが目指すべき社会になっちゃうから。先ほど申し上げたページ、15ページ、16ページというのは、これは国際社会の現況みたいなものですよね。そこで、排出権取引がこんなふうになっているみたいなことは、書いておいてもおかしくはないけれども、どこかに書いてあるのかな……。特には書いてないかな。ちょっとご検討いただければということでよろしいですか。
 とりあえず次にいかせていただきますが、再び森口先生。

○森口検討員 2巡目ということで、再びさっきと同じ6章の話になるんですが、西岡委員もさっきおっしゃったバックキャスト的な考え方なり、2050年に向けて何をやっていくかということは、仮にバックキャストがモデルでできないとしても、バックキャストをやろうとしたんだということの思いはもう少し書いておいた方がいいんではないかなと思っています。事前に書面でコメント出したときには、抽象的な書き方をしたもんですから、十分に伝わらなかったかもしれないんですけれども、仮に6章の検討を二酸化炭素、温暖化対策ということに絞るとしても、もちろんこういう個別の技術のつめは非常に重要なんですが、やはり数十年をかけて準備をしなければいけない対策というものにどういうものがあって、なぜ時間がかかって、なぜ早く動かなければいけないのかということを、もう少し具体例を書いた方がいいのではないかなと思います。
 特に、国土づくりというか住宅なり交通インフラなり、そういうものは非常に時間がかかるわけですね。先ほど、モーターショーの話もありましたけれども、自動車を全部置き換えていくということになれば、買い替えにも時間がかかるし、生産設備にも大幅に増強していくということになると時間がかかる。そういうことはある程度かかわっている人たちはイメージはわいているんですけれども、そういうことをちゃんと言わないと伝わらない部分があるかなと思っていまして、2050年といったって、5年とか10年に切っていけば、数期しかないわけで、それぞれのところで何をやっていかなければいけないのか。ある種のロードマップ的なものがないと、そういうものが見えにくいんだろうなと。
 これは、モデルだからできない。モデルで途中は描けない。確かなことは言えないということは事実なので、これは決して手法側にそこの無理を押し付けるのは、それは気の毒だなと思って、そういうことではなくて、ここに何を書きたいのかということのスペックを、ちょっと合意しきれていないところがあるのではないかなと、何となく思っていまして、別途ここで述べられているような定量的な検討をしておく必要があったということは事実なんですけれども、その検討成果とここに書くべきこととの間に若干やはりまだミスマッチがあるのではないかなというふうに思います。
 このモデルの成果は成果としてぜひきっちり書いておくべきだと思うんですけれども、2050年に向けて検討すべきことというのが何なのかということは、もう少し、来週に向けては当然書けないわけで、それは結びの課題のところなどに書く話なのかなと思うんですけれども、特に例えば公共投資、今後どうして行くのかとか、何かそういうことがここに書かれていないと、せっかくこういう検討をやった結果を政府として何をやっていくのかというところに、今ひとつちょっとつながりにくいような感じがしていまして、それは必ずしもモデルで書くという話ではないと思います。モデルがどうというよりも、ある種の意思として、こういうことでやっていくんだということはある程度やはり書いていかないと、そこの部分の迫力がないのではないかなというふうに思います。
 

○安井座長 具体的対応としては、例えば58ページにまとめというところの一番下に、2050年は遠い将来のことかもしれないがと、ちょっといささか遠慮ぎみに書かれているところがあるわけですよね。ですから、これは遠くはないと書けと、すぐだと、そんな感じでしょうか。
 先に、西岡先生から。

○西岡主査 今の話で、ぜひ頭の方にもそういうニュアンスのことを書いていただきたい。参考の2にバックキャスティングの手法とありますが、これは「手法」ではなくて、「考え方」ということにしてもらいたいんですね。なぜかといいますと、バックキャスティングを何でやらなければいけないかという話はほとんど議論が尽くされて出ているわけですけれども、何度も言いましたけれども、こういう社会にしたいんだという強い意思があって、それに向けてどう政策を構築していくかの手法であり、考え方であるということ。
 だから、短期の話には使えないかもしれないけれども、長期にも使えて、国民、あるいはやりたいという人が意思を統一するための1つの方法なんだということをちょっと明解にしていく方がいいと思います。
 それから、大切なことは、その問題――環境問題自身が世の中のトレンドのメジャーであるということがものすごく大切な話で、メジャーではない問題についていくらバックキャスティングやってもどうしようもない。そういう意味で、バックキャスティングの意味するところだとか、バックキャスティングの考え方とか、そういう形でもう少し手法の話だけではなく、精神をちょっと書き込んでもらえればなと1つ思います。
 それから、もう1つですが、ちょっとこれは細かいといえば細かい話ですが、交通のことについて書いたところ(53ページ)を見ていて、都会の話に限られて書いてあるんだけれども、地方における交通弱者の問題というのはこれから出てくると思うので、ぜひ田舎、地方をどうするかという話もちょっと1行あってもいいのではないかなと思います。

○安井座長 都市部においてはという書き出しがありますけれども、それ以外の部分に対して何もないということですね。

○安井座長 では、太田先生、どうぞ。

○太田検討員 今、言われていることとかなり関係するのですけれども、まずこの報告書を誰に読ませるかということを確認しておきたい。もし広く国民に読んでもらうということになると、ビジョンということですから、まず何がビジョンかといことを明確に打ち出しておく必要があるのではないでしょうか。例えば、ハリウッド俳優のデカプリオなんかが、トヨタのハイブリッド車に乗っていると、それはすごく若者にインパクトがあり、環境に配慮した行動がカッコよくクールだなということになるかと思います。こんな卑近な例と同等のものが必要であるというのではありませんが、この超長期ビジョンを読むと、そこで掲げられていることを私たちも是非やらなければ、という気持ちを起こさせるような、何かそういう人をひきつける魅力的なビジョンの提示が欲しいなという感じがしています。例えば、バックキャスティングでどういう社会を想定して、それをどう実現するかという、そのイメージとして何か少しキャッチフレーズ的なものがあればなという気がします。
 それで、今それをすべて書き直すことは難しいので、何かいい言葉があれば、私もちょっと考えてみたいと思うのですけれども。
 さらに付け加えれば、この検討会で中心になるのがCOの削減ということなんですけれども、そうした目標を追求すると、低炭素社会、循環型、自然共生型、快適生活環境社会、この4つの分野ですべて改善する必要があるということなので、少なくとも、多分結びのところで、COを削減する相乗効果として森林が再生されるとか、今言われた交通体系の方でも、かなり改善されて、都市にも自然空間がより拡大するとか、コンパクトシティとか、もう既にいろいろなところで議論されています。したがって、CO削減の相乗効果を強調されると、今回課題として二酸化炭素の問題しか注目してないのですけれども、今後は、超長期ビジョンを得るためには、COを相乗効果としてほかの分野でもいろいろ活動が多角的かつ重層的に、しかも将来世代への配慮も含んだ形で展開されていくのだと、もう少し明確に論点を提示すれば、ビジョンというのが見えてくるのかなという気がしているのですけれども。以上です。

○安井座長 ありがとうございました。どこをどう変えるかという話はなかなか難しいかもしれませんが。
 今のお話で。

○西岡主査 今のお話は、まことに最もで、このビジョンと書いていって、最初に趨勢から始まると、ちょっとまたうんざりしちゃうところがあるので、できたら頭のところにこういうビジョンというような囲みでも何か出すとか、あるいは目次を見る、例えば37ページに飛んで、そこに書かれているビジョンのキーは何だろうかと見るわけですね。そこで集約された1ページをどっちかに入れたらどうでしょうか。

○安井座長 本検討の趣旨の次あたりに、何か囲みでも入れて、何か既に絵がありますよね。その辺をうまく入れるということもあり得るかもしれませんですね。
 はい、お願いします。

○若林検討員 ディープな視点から細かい点も含めまして3点ほど発言したいと思います。
 1つは、まず簡単なことですが、15ページの今国際社会のところで、都市人口の都市集中ということが出ましたが、これから途上国も含めた形の高齢化ということがかなり大きな地球全体の問題になってまいりますので、都市集中と合わせて高齢化というものも1つの視点で入れていただきたいというふうに、この文章の15ページの上の方のところですが、一言でもと思いました。
 それから、3ページのところで、人口の過疎化の進展ということでお書きいただいて、先ほどから農村地域云々ということでありまして、この後半のところに社会資本整備審議会2003年からということでありますが、読んでいてもなかなか抽象的でちょっとわかりにくいところがありますが、社会資本と過疎化、それから先ほどの地方の交通体系ということからしますと、今後非常に気になりますのは、交通とあわせて私がしばらくやっています学校統廃合問題のような、地方の社会資本、これはもちろん東京都内の都心でも大変な学校統廃合問題で、計画を出したけれども、先日、勉強会をやめるというようなこともありまして、都心も人口が舞い戻ってきているところもあるし、一部では新しい学校、江東区なんかありますが、そういう明治からの津々浦々あったいわゆる歴史的な日本の持っている社会の基本的なところの小中学校のようなものが都心もそうですが、地方の過疎化の中で、教育再生会議だとか、財政関係のところで、今までもゆれ戻しや戦後の町村合併後の学校統合、それから過疎化段階の学校統合、そして少子化段階の学校統合と3段階、4段階で動いておりますが、今また新たに財政論的なところで、基本的な社会資本としての地方の小中学校というような歴史的な財産をどう見るかというのはかなりいろいろ焦点になっているなと。ここは、教育のあれではありませんけれども、そういう点で、もう少し社会資本としての地方のレベル、過疎レベルのところを何か一言入れたような文書が欲しいなという感想を受けました。地方の交通体系の問題もあわせてだと思います。
 それから、あとちょっと例えば47ページのところで、人口分布というところに、鉄道駅という言葉が出てくるんですけれども、これまで地方レベルの人口分散論、移動論をやっていますと、地域開発などを進めますといきなり過疎過密ということがかなり進行してくるということが1つ特色として、もちろん昭和40年あたりからあるわけですけれども、いきなり過疎という、その辺のところが、鉄道駅というのは、どの辺をちょっと指していらっしゃるのかなという、言葉のこれはほんの細かい質問に過ぎません。以上です。

○安井座長 対応は取れそうに思いますけれども、最後の鉄道駅は、まさに鉄道の駅なんですよね。ですから、駐車場ではないという感じかと思うんですけれども。JRの駅かどうかもわかりませんけれども。

○日比野氏 いろいろなスケールがあるかと思いますけれども、どこであれ駅が中心となり、郊外で量販店にみんなが行くようなイメージではなくて、目的のところでショッピンクができて、みんなそこに集まるということを考えています。

○若林検討員 道路関係も含めて。

○日比野氏 はい。

○安井座長 森口先生、あとでいいですか。先生、関連しますか。

○森口検討員 関連します。じゃ、簡単に。
 今、若林先生がおっしゃったことは、私も非常に大事だと思っていまして、ちょっとこういうところに書きにくいということはわかるんですが、4本目の柱として立った生活環境の質というあたり、ちょっとまだ狭いのかなと。旧来の環境庁関係の問題しか扱っていないなという気がします。もちろん教育問題をいきなり入れてくださいと言っているわけではないんですけれども、やはり地域社会のあり方、暮らしやすい社会という、国民のニーズという、国民の考えている環境というのはもっともっと広いんだと思います。
 全部というわけにはとてもいかないんですけれども、ここに書き込まれている、すごくトラディショナルな環境問題だけを切り取って書いてしまうと、やはり将来の地域のビジョンというのが全く浮かんでこないので、そういったことを全面的には書けないと思うんですが、この4本目の柱のところで何らかの形で、若林先生がおっしゃったようなニュアンスがあらわれるような修文をできる範囲ではできるのではないかと思いますので、少しそのあたりのかかわりを意識して、4番目の柱を書くということはあり得るのではないかなと思います。

○安井座長 おっしゃるとおりで、比較的最後に付け加えたゆえに、ちょっと検討が足らないことは検討が足らないですね。しかし、どこまで書くかというのは非常に大きいな。これは、今から少し拡張してもどこまで書けるかというのはなかなかね。いや、難しいところだな。
 川島先生。

○川島検討員 最後の方のことなんですが、64ページに分岐シナリオを想定した感度分析というふうになっておりますが、ちょっと読んでいて、最初のところとのつながりがよくわからないんですが、その補足3のところでCOで、これがある意味でメインになっていますよね。COのこの削減は、私はバイオマスのところに先ほどからも幾つか議論が出ていましたが、興味を持ってみていると、例えば最初のところで10メガトン、それからさらにというので40メガトンというのが出てくるんですが、これはそうすると分岐シナリオのどちらを想定しているのかというのがちょっと曖昧に思えるんですね。
 それと目指すべき社会としては自給率を上げるというトーンで書かれているんですが、ここでいきなり40メガトンを先ほど山本先生からも出てきましたけれども、輸入するというシナリオになると、穀物とか何かで換算して、調子よくつくったとしてもこれは1億数千万トンの穀物を輸入しているのと同じような効果が出てしまうので、そうするとこれはグローバル化シナリオの中で、こういう位置づけになるのかというのが、何となくここを読んでいると、すごく曖昧というか曖昧に書かれたのかもしれないんですが、そういう印象を受けるんですが、いかがでしょうか、その辺。

○増井氏 あえて曖昧に書いたというところは確かにあります。
 もちろん、そのあたりきちんと、分岐シナリオのこちらのグローバル化の方はこう、国家自立型の方はこうというふうにきちんと書いておいた方がわかりやすいと思いますので、そこはきちんと書くようにはいたします。

○安井座長 気持ちとしては、要するに62ページのさらにというところからは、実を言うと、セクトラルアプローチでもっていける、そういう一部の主張に対して、いやいや、とんでもないよと。さらにということをやらないといかないよということだから、ある意味ではこちらの検討からはずれちゃっているという感じなんですよね。
 だから、そこを具体的に書いて、例えば今おっしゃっていただいたように、穀物にすると1億トンを超えるよとか、なかなかそんなに入る枠もないよというニュアンスをちょっと強めればいいのかもしれないけれども、それをどうするかという話なんですよね。
 ほかに何かございませんでしょうか。
 柴田先生、そろそろ何かいかがですか。

○柴田検討員 また余計なことをしゃべってしまうかもしれません。私自身は、核物質関係、汚染の方という形で見させていただいていますけれども、正直言って、これが例えば45ページのところにも将来像というのが書かれていて、こういう形で、今的確な環境……適切に行われていると、もちろん目指すべき社会であるというのは当然のことでありますけれども、多分厳密には、やはりそのときになってもいたちごっこを相変わらずやっているのではないかというのが正直なところでございます。
 ただ、いろいろな意味で、汚染の問題というのは基本的に社会の構造がどう変わっていくかということの中で、目こぼしをしないように追いかけていくというのが基本的なスタンスだと思っていますので、これに関しては、特に汚染が社会を決めるということではなくて、社会構造をうまく運営していく上で、汚染問題が起きないようにしていくことが基本的なスタンスだというふうに思っております。
 皆さんおっしゃっている62、63ページあたりのところが、私もやはりちょっと気になって読んでいるんですけれども、正直申し上げて、ここに書いてある低炭素社会の目指す姿のいろいろなシミュレーションの結果を見ていると、2050年の段階で、ある種の持続的な社会ができているというよりは、2050年で何とか目標を達成するために、そのときに得られるものをかき集めているという状態のような印象をむしろ私自身思っていて、これはいわゆる将来予測という意味では、勝手にその技術開発、理想像を描くわけにはもちろんいきませんので、現状から想定するとこうならざるを得ないんだろうというふうに思うんですけれども、やはりそのあたり、もしこういう状況が今見通せるのだとすれば、やはりそれに向けて、先ほどおっしゃられたみたいに、どういうふうに皆さんに魅力を持ってもらえるようなイメージ像をつくり上げるのかというのは、ちょっと逆に大切だという感じはいたします。
 原子力の問題1つにしても、やはり原子力にある種、頼らざるを得ないというのはここに書いてあるストーリーですけれども、その一方で、原子力資源そのものもこの2050年の段階では先が見えているという状況になりかねない状況で、一方で、もしまだできていない増殖炉の技術がちゃんとできていれば、逆にその問題はクリアされていくという形にもなるわけで、そうなると非常に難しい話だなと思うんですけれども、2050年の先を少し想定しながら、考えながら、結果的にはあるべき姿というものをイメージとしてうまく魅力のあるものをまとめていくというのが大事なのではないかというふうに思います。以上です。

○安井座長 ありがとうございました。
 ほかに何かございましょうか。
 今のは、なかなか具体的にどう修文せよというのは難しいところなんですけれども、ほかに何かございませんでしょうか。
 いろいろご指摘をいただきましたので、多分これだけで事務局、首が回らないぐらいの宿題の量があるんですけれども、特に、ビジョンというものを少し頭の方に、枠にでも入れて書けとかいう話は、なかなか検討が大変かなという気もいたします。
 確かに、おっしゃるとおりでありまして、こうやって現状の社会の趨勢を検討しながらやったというのは、それはそうなんですけれども、やはりメディア流に書けば、いきなり結論が出ているのは当たり前ですね。ですから、それをどういうふうにやるかということかもしれませんので。
 あとは、どうですか。これできょう実を言うと、こんなところで修文して、29日は何か問題が出たら、再び引き取って終わるんですかね。そうではないんですか。そのあたりの、総政部会でのこれの取り扱いはどうなるか。このまま突っ走ると、強行突破する、何か言われても。

○弥元環境計画課長 突破というか、総政部会では、これから環境省、あるいは総政部会として周囲の状況の変化も見ながらご議論を始めていただこうという、第1回目というようなイメージで考えておりますので、宿題は宿題として、もし残れば、今後に向けて検討していくというような形になろうかと思います。

○安井座長 先ほどご紹介ありましたように、さまざまな検討がそれぞれの分野で行われていくわけですけれども、そういう意味では超長期ビジョンは非常に幅広く、横に広がった1つの何かみたいなものが書けていますと。個々の問題の検討をすすめるにあたって、どこまでおやりになるか、その将来、未来というものをどこまでお考えになるかにもよりますが、多分、2050年いきなりはないですよね、ほかのところでも、具体的なものになると。
 ですから、例えば2030、2020というのをお考えになる場合でも、こんなものを書いてみましたから、ご参考になればというスタンスであれば、強行突破も何もなくて、そのままですんなり終わるという感じなんだと思うんですけれども。その辺、局長から何か。

○西尾総合環境政策局長 どう活用するのかというのと29日の総合政策部会でどうやるのかという関係だと思います。
 昨年6月から始めていただいて、本当に大変無理な日程でしていただいて大変ありがとうございました。
 それで、6月に始まったときは、私は官房長でしたので、ちょっと横目で見ていたんですけれども、あのときは今年の様子はあまりよく見えていませんでしたので、これはいつも専門家による検討会でまとめていただくことと、それから行政がそれをどうするかということ、関係をどうするかというのがいつも課題になるわけですけれども、超長期ということで、かつ幅広い議論をしていただいた、非常に貴重なものでありますので、それは何か行政にもっていくというのもあるのかなということは、そのときは考えていました。
 ただ、今年になってから、いろいろなことが動き出して、特に21世紀環境立国戦略などもまとめましたし、来年の洞爺湖サミットに向けてどうやっていくか。それから、特に低炭素社会というのを検討しようじゃないかと。それらとの関係を一体どうつけたらいいのかというのはなかなか実は正直言って難しいなという思いに至りました。
 それで、普通に考えると、2つの道があるんですけれども、もしくは行政的に何か位置づけようとすると2つの道があって、今の時点に合うように、さしさわるように丸めちゃって、何か行政で位置づけるかという議論があります。
 それから、もう1つは、いろいろな来年のサミットに向けてのいろいろな動きを見ながら、まだずっと検討を続けて、いろいろいじくってやろうかというのがありますが、どうも幅広い専門家の皆様方で議論していただいたものをそうやっていくのはどうもあまり、それがよいことにはならないだろうと思います。
 今、安井先生からお話がございました2050年半減ということ、それまではよろしゅうございましたけれども、恐らくこれからなんだと思いますけれども、途中の段階、いろいろな議論が出てくるわけであります。多分国民はというと、鷹揚かもしれませんけれども、いろいろな人が、2050と言っているけれども、やはりあちらこちらで、その解説だとか、いろいろなものが持ち上がって、どんどん理解が進むんだけれど、ということでありますので、そういうまとまったものも出てないのであります。
 そういうことで言えば、やはりここまで専門家の議論をしてやっていただいたものをこの時点で、何らかの形でリリースして、それを各方面で見ていただくというのは、そういうこと自体が非常に大きな、それが行政に直結するとか、何とかではなくても、それが非常に大きな効果があると思っています。
 あとは行政との関係でどうしようかと、私たちはこうしたら、お前はどうするんだというところは、先ほど言ったようなことで、あまりそこの道筋をつけちゃうと、じゃあそういうことならこれをどうする、こうするとなって、かえって活かす道にならないものですから、これは基本的には総政部会にご報告して、総政部会では当然いろいろな議論が出るでしょう。
 ほかのいろいろな進展に合わせて、総政部会でもこのあといろいろな議論をしていきますから、そこで話を収れんしていくなら、この上に何か打った手をしていくということはできると思います。あるいは、そこはもう発散しちゃって、別の方の議論に展開していくかもわかりません。そこはもうあまり行政の手を今から考えて、それに合わせてこれの扱いを考えるという順番ではなくて、せっかくここまで議論していただきましたので、総政部会に報告したことをもって、それから本文自体はきちんとまとめるという作業は続きますけれども、基本的にはそういうことをもって世の中にリリースをして、各方面の議論の土台にするということで、まずかなり大きな成果だと思っています。
 その後は、総政部会でいろいろな議論が出ましょうから、そういうものも含めながら、すみません、あとは私たちの作戦行動として、じっくりいろいろなことを考えさせていただければいいかなと、ちょっとまことに通常のやり方と違って、落ち着きのないやり方であるんですけれども、今年の動き方が若干想定を超えたような部分がいっぱいありましたので、これが一番いいのかなと思っております。もちろんいろいろご意見があれば、またご参考にさせていただきます。

○安井座長 ありがとうございました。
 追加的なご意見、どなたかございませんでしょうか。
 そうなりますと、各委員がお持ち帰りいただきまして、あとはインパクトの強いことをお書きいただいても結構かということになることかと思います。
 その後の取扱いに関しましては、先ほどのお話、最初にございましたけれども、11月末ぐらいに原稿が集まったら、それを合わせて何らかの報告書の格好にとじられるということでよろしいかと思います。
 ということでございますので、きょうはこの会議終了後、この資料1は置いていっていただきますが、29日の総政部会を通ればそこで解禁ということで、あとは送らせていただくことになりますかね。
 それを見ていただいて、分量をどうしますかね。最長ぐらい決めて。

○弥元環境計画課長 前回は3,000字。

○安井座長 最長3,000字、前回はね。3,000字っていうとA4で2枚くらいかな。2枚ちょっとぐらいかな。最長3,000字。もちろん3,001字が駄目だというわけではないと思いますが、そんな形で、できましたものは事務局宛にお送りをいただいてというような、図を入れてでもいいですかね。というようなことで対応をぜひとっていただきたいと思います。
 あときょうご欠席の委員に対しては、どうしますか。若干ちょっとご説明をいただいた方が本当はいいでしょうね。
 何人お休みですか、今日うは。5人お休みですか。何か別の審議会等にお見えになるときに、つかまえてご説明という感じじゃないですかね。というようなことで、対応をとっていただきたいと思う次第でございます。
 一応予定通り進んでおりまして、よろしければこれで今日のおおむね最終回と思われます第12回の超長期ビジョンの検討会を閉じさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
 どうぞ、最後に。

○原沢検討員 3,000字の内容について、書きたいことを書くということではあるんですけれども、何かもうちょっとご指示があると書きやすいなということなんですけれども。

○安井座長 一応個人としてのご見解でございまして、それに関しては、事務局は一切責任を取らないということでございますので、例えばビジョンという文言を、もっとビジョンらしく書いていただくとか、いろいろなやり方があるのではないかと思いますので、お任せいたします。

○若林検討員 その後、合本するとさっきおっしゃいましたね。

○安井座長 はい。

○若林検討員 印刷して、合本するんですか。

○安井座長 報告書の後ろに。これの後ろにくっつくように。

○若林検討員 そうすると広く読まれるという。

○菊池計画官 例えば、こういった形に印刷製本をすることを考えておりますけれども、特にこの印刷製本したものを世の中に広く配るということは考えておりません。検討成果として、我々行政内部でも使いますし、それから先生方にお送りをするということでございまして、29日には、総合政策部会において、この前半のパート、今日ご審議をいただいたパートのみをご説明したいと思っておりますので、そのほかの皆さんに書いていただいたものについては、全く内部の資料として製本をして保管しておくということでございます。

○若林検討員 内部資料。

○菊池計画官 この検討会におきます資料は、すべて原則としてウェブページに載せておりますので。

○西尾総合環境政策局長 製本したものと同じ内容が、異論がなければ載せるんでしょう……普通は。

○菊池計画官 ちょっとこちらもそこまで考えが至っておりませんでしたが、ウェブページにこれまで原則として掲載をしておりますので、そちらの方には、委員の先生それぞれのご了解をいただければ掲載をしたいと思います。

○安井座長 どうぞ。

○西岡主査 今の西尾局長のお話ですが、この検討は局長の諮問に対しての答えでいいのですが、環境基本計画の中で、たしかビジョンをどう位置づけるかという話が書かれていたと思うので、その関係から言うと、どういうことになるのかと、ちょっと聞いておかないと、私どもも対応がしにくいところがあります。

○西尾総合環境政策局長 すみません、そこはまだ頭の整理ができていません。
 それで、本当は整理しなければいけないと思うんですが、今実は第三次基本計画の見直しもしていただいています。これは、従来の路線に従った見直しをしていただいて、これはこれで毎年報告しなければいけないので、それはまたご報告すると思いますが、さて、これをどう位置づけるか。
 実は、これはまだ内部でも議論していませんけれども、第三次のあとは一体どういうつくりにするかということにつきましても、これはちょっとしっかりいろいろ考えた方がいいのではないかと私自身は思っております。実は、この時点で成案がありません。そういうこともありまして、すみませんが、総合政策部会に報告して、少し議論できるという、まな板にはとりあえず出しておきますけれども、環境基本計画との関係では、総合政策部会で最後議論していただかなければいけませんので、その舞台には乗せておきますけれども、少しどうするかはいろいろ考えさせていただいて、またご相談をさせていただければと思っておりますので、一応専門家による検討という、そうするといつまでも引っ張られておかしくなっちゃうので、専門家による検討というのは、一応ここでファイルをして、それを総合政策部会に出したと、そんな形にとりあえずさせていただいたらどうかと思います。

○森口検討員 局長の先ほどのご説明と今のご発言、大変よくわかったんですが、ということで、そういう状況も含めて、総合政策部会の方に提示いただけると、そういう理解でよろしゅうございますか。私どもの理解では、環境基本計画の中に書き込まれて、環境基本計画のもとで超長期ビジョン、そのものをつくるというものが与えられていたのかと思ったと。
 しかしながら、諸般の情勢で、いろいろなものの関係を整理しなければいけない状況にある。したがって我々が超長期ビジョンそのものをつくってしまっていいのかどうかすらもはっきりしなくなっている。したがって、超長期ビジョンの検討はしてきましたと。その検討はどうなっているのかということをご報告いただくということで、我々必ずしもそういう意味では超長期ビジョンを今書かなければいけないというような状況であるからして、先ほど太田先生のおっしゃったようなことも逆に、最初にはむしろ書かない方がいいというのは、そんな情勢かなと思って、それは書いても構わないですか。ビジョンそのものを書いてしまっても。そのあたりも含めて、やはりこれ自身がビジョンですよという、我々がビジョンをつくりましたよということもあまり言い切らない方がいい状況なのかなと理解をしたんですけれども。

○西尾総合環境政策局長 そこから、検討としては、ここでやっていただいたわけですので、もうそれはお考え次第だと私は思っています。
 第三次基本計画に基づく超長期ビジョンはこれです、という話をしようとすると、そのためのいろいろな作業だとか、あるいはものを丸めたりとか、いろいろなほかでの検討と整合性をとったりということが必然になるんですけれども、今必ずしもそういうことをこの瞬間にやってしまうというのは、実はスタートしたときと違って、この瞬間にそういうことをやってしまうといことは、いいことのように私はちょっと思えないのであります。
 今から、これだけしていただいた、いろいろな方面でもいろいろな議論が起こって、そういうのがワッと議論になって、洞爺湖サミット目がけて、各方面でも活発な議論が起こる。それが収れんしていくというのがいいわけですので、そういう面では、第三次基本計画との関係では超長期ビジョンをつくるといったけれども、一体どうなっているんだろうというのが、ちょっとぶらぶらした形になりますが、少しぶらぶらさせていただければなと思います。

○安井座長 ということでございまして、先ほど申し上げましたけれども、とりあえず最終回的な第12回でございますが、そのぶらぶらの振れようによりますと、ひょっとするとよみがえって、第13回をやる恐れもなきにしもあらずという理解で、しばらく休眠なんじゃないでしょうか。
 ということで、この超長期ビジョンの検討会、大変長い間にわたりまして、委員各位及び事務局という、実働部隊の皆さん、ご協力いただきましてありがとうございました。
 今後宿題、さらに場合によりますとぶらぶらの状況によりましては、第13回もあるかもしれないということで、しばらく休眠ということにさせていただきます
 どうもありがとうございました。

午前11時40分 閉会