1. 日時
平成24年9月14日(金) 10:00~12:00
2. 場所
環境パートナーシップオフィス 会議室(東京・青山)
3. 参加者(敬称略)
委員(50音順)
- 臼杵 ひろみ
- (株式会社ファンケル 管理本部 総務部 CSRグループ グループマネージャー)
- 岡田 康夫
- (株式会社大丸松坂屋百貨店 本社CSR推進室スタッフ 社会活動推進担当)
- 片山 裕司
- (一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会 環境委員会 委員長)
- 辰巳 菊子
- (公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会 常任顧問)
- 中坊 恵美
- (イオン株式会社 グループ環境・社会貢献部 部長)
- 西尾 チヅル
- (筑波大学大学院 ビジネス科学研究科 教授) *座長
- 花田 眞理子
- (大阪産業大学大学院 人間環境学研究科 教授)
オブザーバー(50音順)
- 尾池 稔
- (新日本スーパーマーケット協会 専務理事付 調査役)
- 小栗 和行
- (経済産業省 商務情報政策局 商務流通保安グループ 流通政策課 課長補佐)
- 島村 真司
- (一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会 CSR推進部 課長)
- 渡辺 正治
- (日本チェーンストア協会 政策第三部 リーダー)
環境省
- 峯村 高志
- (環境省 総合環境政策局 環境経済課 課長補佐)
- 井ノ上 信也
- (環境省 総合環境政策局 環境経済課 製品対策係長)
- 田中 美穂
- (環境省 総合環境政策局 環境経済課 環境専門調査員)
事務局
- 麹谷 和也
- (財団法人日本環境協会 グリーン購入ネットワーク 事務局長)
- 深津 学治
- (財団法人日本環境協会 グリーン購入ネットワーク 事務局次長)
- 清水 千善
- (財団法人日本環境協会 グリーン購入ネットワーク 事務局)
- 片岡 顯
- (財団法人日本環境協会 国際グリーン購入ネットワーク 事務局次長)
- 木村 憲
- (財団法人日本環境協会 エコロジカル・リテラシー研究所 代表)
4. 議題
(1) 開会
(2) あいさつ
(3) 委員紹介
(4) 消費者におけるエコなお買い物促進の調査及び検討の進め方
(5) 評価対象分野と事業者
(6) 調査対象とする環境配慮型製品の定義と範囲
(7) 環境配慮型製品普及の先進事例に関する調査実施概要
(8) その他
5. 配付資料
- 資料1
- 消費者におけるエコなお買い物促進策 検討会開催要領
- 資料2
- 消費者におけるエコなお買い物促進策 検討会委員名簿
- 資料3
- 消費者におけるエコなお買い物促進策の調査及び検討の進め方
- 資料4
- 評価対象分野と事業者
- 資料5
- 調査対象とする環境配慮型製品の定義と範囲
- 資料6
- 環境配慮型製品普及の先進事例に関する調査実施概要
- 参考資料
- 市場のグリーン化に関する既存施策と本事業との位置付け
- 別紙1
- 日本標準商品分類(抜粋)
- その他
- 環境物品等の調達の推進に関する基本方針(平成24年2月)
6. 議事
(1) 開会
第1回検討会開会にあたり、事務局の麹谷和也氏(財団法人日本環境協会 グリーン購入ネットワーク 事務局長)より委員に謝意が述べられるとともに、本検討会の位置づけ等について説明が行われた。
[開会(事務局)]
それでは、定刻になりましたので第1回検討会を始めさせていただきます。本日は大変お暑い中、本検討会にご出席をいただきありがとうございます。この平成24年度消費者におけるエコなお買い物促進策検討会は、環境省の委託事業として、環境配慮型製品の販売促進に向け消費者との接点が多い小売・流通業者の皆様の評価、インセンティブ付与等の施策を検討することを目的としており、委員の皆様の熱心なご議論をお願いしたいと考えております。
では、第1回検討会開催にあたり、環境省総合環境政策局環境経済課の峯村課長補佐より一言ご挨拶をいただきたいと思います。
(2) あいさつ
第1回検討会開催にあたり、環境省総合環境政策局環境経済課の峯村高志課長補佐より、本検討会開催の背景・目的、目指すべき施策の方向性等について話がなされた。
[峯村課長補佐あいさつ]
本日は大変お暑い中お集まりいただき、誠にありがとうございます。また、日頃より環境行政に対して多大なご協力とご理解をいただいていることをお礼申し上げます。会議に先立ちまして簡単にごあいさつをさせていただきます。
環境経済課では経済政策による環境対策を中心に取り扱っており、環境税やエコポイント制度なども所管しております。直接担当しております施策の一つとして、国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律、いわゆるグリーン購入法を所管し対応させていただいております。ご存じのようにグリーン購入法は、環境に配慮しているとされる環境物品等を国・公共部門等が率先的に調達するためにどのようにすべきかを決めている法律でありまして、毎年基本方針を閣議決定により改定しております。
事務局からも若干説明がありましたが、本検討会は、消費者による環境配慮型製品の購入促進対策の検討を目的に開催させていただいております。このような対策を進めることになったきっかけとして、平成23年度に開催されましたグリーンマーケット+(プラス)研究会における議論があります。この研究会の中で実施しました環境に関する消費者意識アンケート調査におきまして、環境意識が高い層は施策を講じなくても自発的に環境配慮型製品を購入するが、意識があまり高くない層は施策を講じてもなかなか行動に移さない傾向があることが明らかとなり、中間層の人たちをいかにボトムアップさせていくかが重要である、という結論が得られました。こうした手法の一つとして、消費者により近い立場で日頃から仕事をされている小売・流通業者の方々の力を借りた施策を講じることができないか、という観点から本検討会が開催されることとなりました。
今年度は、内外の先進事例の調査を実施していただき、これを踏まえ評価手法とインセンティブの仕組みの素案の作成に向けた検討を行い、次年度以降、実際に現場で評価手法やインセンティブを試験的に実施した場合にどのような結果が出るのかについて、調査を行えればと考えています。評価手法及びインセンティブに関しましては、短期的なキャンペーンの実施、あるいはエコポイント制度のように多額の資金を投入して期限が来たら終了するといったものではなく、持続可能で実効性があり、かつ定量的な評価ができるという要件を満たした仕組みを期待しております。
このような観点から、小売・流通の現場で関連の業務に関わられている方々を中心に委員としてご参画いただき、忌憚のないご意見をいただければと考えております。今後、年度末に向け検討会を進めてまいりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
(3) 委員紹介
委員ならびにオブザーバー、環境省からの出席者の紹介が行われた。続いて委員の互選により、西尾チヅル委員(筑波大学大学院 ビジネス科学研究科 教授)が検討会の座長に選出され、西尾座長より検討会を進めるにあたっての姿勢が述べられた。
[座長選任]
- 麹谷氏:どうもありがとうございました。今後4回の検討会を開催させていただきますが、委員の皆様より忌憚のないご意見ご発言をいただければと考えております。本検討会を進めるにあたりまして、委員の皆様の互選により座長を選任することとなっております。事務局からのご提案として西尾先生に座長をお務めいただければと考えておりますが、ご承認いただけますでしょうか。
(委員の承認、拍手により西尾委員が座長に選任される。) - 麹谷氏:それでは、これ以降の進行を座長の西尾先生にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
- 西尾座長:微力ではございますが座長を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。本検討会は非常に重要な検討会であると考えております。消費者が買い物をする場である小売店舗が、消費者の意思決定やライフスタイルに非常に大きな影響を与えるということは、周知の事実でございます。そういう意味で、店舗においてエコなお買い物の機会を提供する、あるいはそのための情報交流ができるということは非常に重要なことだと思います。その一方で、類似の仕組みがいろいろなところで作られつつあるかと思います。このため、そうした類似のものとは違う、本検討会ならではのユニークかつ有意義な視点を打ち出せればと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
(4) 消費者におけるエコなお買い物促進の調査及び検討の進め方
会議の配付資料の確認が行われた後、事務局より本検討会の公開等に関する事項の説明、続いて消費者におけるエコなお買い物促進の調査及び検討の進め方について、背景、目的、今年度の業務内容及び検討会各回の検討課題の説明が行われ、これを受け委員による議論が行われた。
[説明及び議論経過]
- 西尾座長:それでは、早速本日の議事を進めていきたいと思います。最初に配付資料の確認を事務局のほうからお願いいたします。
- 深津氏:本日お配りしております資料は、議事次第が書かれたもの、別紙1として日本標準商品分類(抜粋)、環境物品等の調達の推進に関する基本方針、これに加え株式会社大丸松坂屋百貨店様からの資料ということで、以上でございます。
- 西尾座長:不足の資料がありましたら、事務局に言っていただければと思います。それでは、事務局のほうから最初の議題についての説明をお願いいたします。
- 麹谷氏:本議題についての説明に入る前に、本検討会の公開等について説明をさせていただきます。資料1に記載されておりますように、本検討会は原則として公開とし、また検討会の資料及び議事録についてもホームページ等を通じて情報開示することを原則といたします。ただし、個人情報の保護に支障を及ぼすおそれがある場合、個人もしくは団体の権利、利益が侵害されるおそれがある場合には、一部非公開とするケースがあることを予めご了承いただきたいと思います。
それでは、消費者におけるエコなお買い物促進の調査及び検討の進め方について、資料3に従い説明をさせていただきます。本事業の背景につきましては、冒頭、峯村課長補佐よりご説明がありましたように、昨年度のグリーンマーケット+(プラス)研究会において、市場のさらなるグリーン化を進めていくために何が課題なのかという議論が行われ、その中で、環境意識は高いけれども行動に至っていない中間層といわれる消費者が全体の6割を占めている、という調査結果が出ました。
このような層に対してプロモーションを行い意識と行動を一致させていくために、消費者と接点を持たれている小売事業者の方々に有益な情報の発信等の取組をしていただき、そこにターゲットを絞って評価を行いより一層の取組を進めていただく、さらにはインセンティブを付与することにより取組の質を高め幅を広げていく、といった施策について検討を行うことを目的に本検討会が開催されることになりました。
検討会につきましては4回開催する予定でございます。本日の第1回検討会におきましては、この事業を進めるにあたって、具体的にどのような製品を対象とするのか、どのような小売事業者を対象とするのか、環境配慮型製品の定義、何をもって先進的な事例とするのか、といったことについてご議論をいただければと考えております。その議論内容を踏まえ国内外の先進事例10件程度について調査を行い、2回目の検討会においては、事例をベースに評価手法及びインセンティブ付与の検討をしていただき、最初の案を作りたいと考えています。これをもとに事業者の皆様からさらにご意見等を吸い上げた上で、事務局でとりまとめを行い、第3回の検討会において具体的な評価手法及びインセンティブ付与のあり方の案をまとめたいと考えております。これを踏まえ第4回の検討会では、今後の事業展開の方向性、プラン等についてご議論をいただき、次年度以降の取組につなげていきたいと考えております。
環境配慮型製品の普及ならびに市場のグリーン化の推進を目指して、単年度に終わらない継続的な取組につなげられるように検討を進めてまいりたいと思っております。 - 西尾座長:ありがとうございます。ただ今の説明を踏まえて、皆様のほうからご意見あるいはご質問等がありましたらお願いいたします。
まず私の方から少し確認、整理をさせていただきたいのですが、いわゆる普通の消費者に対して環境配慮型製品を普及させるための積極的な小売・流通のあり方を考え、頑張っている事業者をきちんと評価できる仕組みを作りましょう、という理解でよろしいでしょうか。環境配慮型製品を作っているのは基本的にメーカーであり、小売事業者はそれを店頭に並べ、消費者が買いやすいように魅力的な売り場作りをするという立場にあり、そこの部分がややこしいところでもあると思います。また、この検討会では、小売・流通業者さんの店舗におけるLED照明導入などのハコモノとしての環境対策ではなく、環境配慮型製品を提供しそれを普及させる場をいかにうまく作っていただいているか、という点に特化してきちんと評価をしていこう、というのがミッションであると理解して良いでしょうか。 - 麹谷氏:西尾先生からのご質問は、何を評価するのかということだと思いますが、基本的には小売事業者さんが実施されている環境配慮型製品の販売手法といいますか、商品を売っていくためにどのようなプロモーションをされているのか、というところに焦点を当てたいと考えております。そして、その取組が効果を上げ、継続性が担保できるような仕組みであるという点を評価したいと考えております。すなわち、店舗の裏側で行っている環境負荷低減活動にスポットを当てるのではなく、あくまでも環境配慮型製品の販売手法の評価についてご検討いただくということでございます。
- 西尾座長:マーケティングコミュニケーションやプロモーションなどを通じて、いかに商品・サービスの提供を含めたエコなライフスタイルの促進につながっているか、というところを評価しようとしている、ということでしょうか。
- 麹谷氏:おそらくご議論をいただく中で、判断が難しいグレーゾーンが出てくるものと思われますが、そうした点についてはその場でご議論をいただいた上で、取組めるものと取組めないものの方向性を定めていけば良いのではないかと考えています。ただし、定性的な評価というよりも、第三者が見てわかりやすい定量的なデータをベースに評価を行うことを原則として考えていきたいと思っております。もちろん、定性的なものも除外するわけではなく、議論を通じてご意見をいただきたいと考えております。
環境省のほうから補足等がありましたらお願いいたします。 - 峯村課長補佐:中間層の意識が実際の行動につながり、環境配慮型製品の普及に結びつくような仕組みを検討していただければと考えています。
- 麹谷氏:皆様のお知恵をお借りしながら、今までにないものをつくっていくということですので、侃々諤々の議論を行っていただければと存じます。
- 辰巳委員:ここで議論するインセンティブは、商品を購入する消費者を対象とするものなのか、取組を行っている事業者を対象とするものなのかを確認させてください。
- 麹谷氏:意識と行動が伴っていない中間層の行動を促す取組を評価することを目的としていますので、評価やインセンティブの対象は小売事業者になると考えております。
- 片山委員:先ほど、ターゲットは販売手法であるというお話がありましたが、例えば、レジ袋の有料化によって利用削減を図るといったことも販売に関わる取組のひとつであると考えられます。こうした取組ではなく、より商品に近い取組を対象とするという理解でよろしいでしょうか。
- 麹谷氏:レジ袋削減の取組もまったく排除するというわけではありませんが、基本的に環境配慮型製品の売り方にターゲットを絞り、その効果を測りたいと考えております。このため、レジ袋等に関する取組につきましては、環境に関する小売店の取組全体を把握するという意味での情報としては考えられますが、評価の対象という観点からは外れるのではないかと考えています。
- 花田委員:例えば、環境に配慮した製品を積極的に仕入れる、あるいは、ウォルマートのパッケージスコアカードなどのように容器包装の少ない製品を仕入れる、といった取組を進めれば、必然的に店頭に並ぶ商品の中で環境に配慮したものが多くなり、消費者がそうした商品を購入する割合が高くなると思うのですが、このような川上側の努力や働きかけは今回の評価の対象にならないということなのでしょうか。
- 麹谷氏:大変難しいご質問です。事務局としてはそのような取組がストライクゾーンなのかそこから外れるのかは、現時点では明確にお答えできないのですが、環境配慮型製品の販売に密接につながっている取組であると思います。こうした製品を積極的に仕入れ店頭に多く並べることは、消費者に対する適切なアピールにつながっていくことになると思いますので、仕入れ自体はターゲットではないのですが、販売する商品のエコ比率を高めていくという企業の販売戦略としてとらえた場合には、明らかに評価の対象に含まれると考えられます。仕入れの部分だけをとらえると今回の意図とは違うということになりますが、それが結果としてどういう販売戦略につながっているかという点をクローズアップしていただくのであれば、良いのではないかと思います。
- 西尾座長:たぶん、これから先進事例を集めてもらう際にも、何を先進事例とするのか、何をエコプロダクツと呼ぶのか、といった話になるかもしれませんので、いくつか事例を集める中で本検討会としてどのように考えるかを議論していくことが重要で、この場で簡単に決定できるようなことではないのではないかと思います。
花田先生がおっしゃられたことは非常に重要で、プロモーションとして店頭でエコプロダクツにPOPが表示されているとか、あるいは値引きがされているとか、そういったことだけではなくて、店作りの中でできるだけ環境に配慮した商品を仕入れて、それが値引きされているかどうかに関わらず、自然と消費者の手に届くものがエコプロダクツになっている、そして消費者が商品を使ってみてエコプロダクツであることを実感できる、といったこともすごく重要だと思います。
花田先生がおっしゃったことや先ほどのレジ袋の取組についても、それだけを評価するわけではないのですが、結果として買い物のしかたが変わり、トータルとして環境に配慮した買い物の場ができているような小売店舗、流通業者を評価すべきなのではないかという気がします。そうなってくるといろいろ大変な面も出てきて、4回の検討会の中でまとめられるかどうかはわかりませんが、委員の皆様からはいろんな観点から意見を出していただければと思います。 - 岡田委員:先日テレビで、農薬を3年間使用しない土壌で栽培した綿を使用したオーガニック商品などを積極的に販売している無印良品さんの取組が紹介されていましたが、これなどもプロモーションや販売手法を通じて環境配慮型製品を普及させることにつながっているのではないでしょうか。
- 西尾座長:そういったことも含めて、次の議題である評価対象分野と事業者に関する議論の中で、皆様からご意見、ご質問等をいただきたいと思います。
(5) 評価対象分野と事業者
(6) 調査対象とする環境配慮型製品の定義と範囲
事務局より、評価の対象となる分野及び事業者、ならびに調査対象とする環境配慮型製品の定義と範囲に関して説明が行われ、これを受け委員による議論が行われた。
[説明及び議論経過]
- 西尾座長:それでは、評価対象分野と事業者、調査対象とする環境配慮型製品の定義と範囲について、事務局からご説明いただけますでしょうか。
- 麹谷氏:評価対象分野と事業者について、資料4をご覧いただきながら説明をさせていただきます。
評価対象分野については様々なご意見があろうかとは思います。既に社会の中では環境配慮型製品の購入を促す制度として、住宅エコポイント制度や自動車の補助金制度、家電エコポイント制度などが実施されてきていますが、消費者が日常生活の中で接する機会が多い商品で、消費者への支援政策が講じられていない分野として、食品及び飲料、生活文化用品等の非耐久消費財を対象としたいと考えております。
参考資料1は、先ほど話のあったグリーンマーケット+(プラス)研究会の資料から抜粋したものです。縦軸に市場を構成する主体に対してインセンティブを付与する制度、横軸に製品・サービスの川上・川下というモノサシを置いて、環境省の施策を中心にマッピングをしております。今回の検討会の目的は、なかなか行動に至らない消費者の背中を押す施策の検討で、そのために小売事業者による販売手法を評価しインセンティブを付与することであり、対象分野としては非耐久消費財をターゲットにしたいと考えております。具体的には、別紙1の日本標準商品分類(抜粋)の大・中分類項目表の「大分類7-食料品、飲料及び製造たばこ」「大分類8-生活・文化用品」を対象にしたいと考えております。また、小分類項目表に詳細な商品項目が示されております。
評価対象とする小売事業者につきましては、様々な小売店舗がありますが、ここでは百貨店、大規模小売店舗、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、通信販売といった、消費者が日常生活の中で購入する非耐久消費財を扱っておられる業態の事業者の方を対象としたいと考えております。
対象とする製品分野を決めるだけでなく、調査対象とする環境配慮型製品の定義と範囲を明確化しておく必要があり、事務局の案としては資料5の表1に示しておりますように、製品のライフステージと環境配慮項目により幅広く調査を行い、この中のいずれかの項目に該当する製品を環境配慮製品として定義づけていきたいと考えております。製品・サービスに直接関わる項目に加え、事業者の取組、環境情報開示、考え方などについても情報を収集し、検討会の中で対象に含めるかどうか等をご議論いただければと考えております。 - 西尾座長:ありがとうございます。委員の皆様のほうからご質問、ご意見等をお願いいたします。
- 辰巳委員:資料5表1に「天然資源の持続可能な利用」という項目がありますが、中間層の消費者を対象とするということではあるにしても、もう少し幅広く、社会性や地域のコミュニティ、動物虐待などの側面も含めることが望ましいのではないかと思います。こうした要素を評価ができるかどうかについては、後で議論をすればいいのではないかと思います。
- 麹谷氏:範囲を広げれば広げるほど、評価が難しくなる面も出てくるかと思われます。
- 辰巳委員:そのとおりだと思いますが、項目として入れておかないと、こうした取組を行って商品を推奨しようとしている事業者の評価を行うことができなくなると思います。メーカーが中心かもしれませんが、実際に積極的に取組んでおられる事業者が数多くおられるので、こうした企業を評価できる項目を設けておくべきではないかと思います。
- 花田委員:今の話をお聞きして思ったのですが、今回の事業では小売事業者にどのようにインセンティブを付与するかを考えていかなければならないわけですが、表1に示されているような項目を示すこと自体が、これまでそういった取組をまったく考えていなかった事業者の方に対する啓発的な効果があると考えますと、様々な項目を入れておいてもいいのではないかと思います。たしかに評価はすごく難しくなると思いますが、せっかくこの事業を進めるにあたって、事業者の方に考えていただくきっかけになるのだとしたら、いろんな項目を入れておくことは別の形のインセンティブになるのかなと思いました。
また、意味合いとしてどこかの項目に入っているのかもしれませんが、ローカルや地域性というような観点というのはどの項目に含まれるのでしょうか。特に食品が対象となっているので、このような評価があると良いのではないかと思いました。 - 片山委員:この事業では、意識と行動にギャップがある中間層を対象にするとされていますが、意識は高いけれども環境配慮型製品を買わない理由というのがあるのだと思います。資料5表1に該当するような製品を生産・販売している企業は多いと思いますが、それを訴えれば消費者が買うのか、どのように訴えれば買うのかが課題なのだと思います。例えば食品であれば、安心・安全で産地についてトレーサビリティが確保されていて、価格も手ごろならば消費者は買うと思うのです。意識は高いけれど環境配慮商品を買わない理由を突き詰めていかないと、こうすれば買ってもらえるというところにたどり着かないと思います。
- 西尾座長:おそらく、そういうところをどういうふうに積極的に評価していくかということが、この検討会のミッションになるかと思います。資料5に関してご議論いただいているのは、事業者が取り扱ったり、積極的にプロモーションをかけたりしているエコプロダクツの範囲をある程度決めておこう、ということかと思います。ただ、あまり厳格に決めてしまうと、どちらかというとメーカー側の問題になってしまう面があるかもしれません。一方で、このようなものがあると、流通業者さんにとっても何をエコプロダクツと考えたらいいのかということに関して、メーカーさんに対するプレッシャーや小売業者さんとしての情報提供につながるのではないかと思います。
- 辰巳委員や花田委員からご意見が出ましたように、項目として入れられるものはできるだけ柔軟に入れておいて、最終的にそれをどうするかについては委員の皆さんで議論をしたほうが良いのではと思います。また、環境省さんや経済産業省さんの視点からも、欠けている点などについてサジェスチョンをいただいて、検討を進めていけば良いのではないかと思います。
- 岡田委員:本日、参考資料としてお持ちしておりますが、大丸松坂屋百貨店では「環境にやさしい商品・サービスの選定・提供のためのガイドライン」を策定しております。これは当社が環境配慮商品の選定や売上の把握において基準としているものであり、「環境にやさしい商品・サービス」として8つの項目を設けております。これに基づき各仕入れバイヤーに対して環境配慮商品の導入を増やして販売を促進するよう求めており、エシカル・社会貢献につながる商品・サービスを含め、具体的な品目ごとにリストを作成しております。食品に関しましては、食育、オーガニック食品、地産地消、自治体や農協さんとの共同の取組なども進めており、こうした取組もひとつの例として参考にしていただけたらと思っております。
- 西尾座長:ありがとうございます。おそらく、流通業者の皆さんの中にはこのようなガイドラインを策定されているところがあるかと思いますので、百貨店、コンビニエンスストア、チェーンストアなどいろいろな企業の事例を集め、網羅的にそういったものが評価できる軸になっているかどうかを整理していただくと良いかもしれません。
- 中坊委員:今回の事業のお話をいただいて、私どもも社内でいろいろと議論をさせていただいたのですが、小売事業者がいわゆるNB(ナショナルブランド)商品などに関して、これが環境配慮型商品であると言って良いのか、という点が非常に議論になりました。PB(プライベートブランド)商品に関しては、流通業者によって異なる環境配慮型商品の基準を持っており、各企業が「こちらの商品がエコです」とか「安心・安全です」とか言ったときに、消費者の誤認を招かないか、メーカーの商品について環境配慮型商品であると示せる根拠が小売業者側にあるのか、といった点から、小売事業者が環境配慮型商品であることを具体的に示すことについては非常に危険性があるのではないか、というふうに私どもは思っております。
- 西尾座長:非常に重要な視点ですね。
- 麹谷氏:あくまでも事務局としての基本的な考え方ということでご議論をしていただきたいのですが、一般消費者が環境配慮型製品を見分けるための環境情報として環境ラベルがあり、タイプⅠ、Ⅱ、Ⅲの3つの種類があります。第三者認証に基づくエコマークのようなもの、データにより開示されているエコリーフのようなもの、自己宣言によるタイプⅡラベルがあります。少なくとも、ここで表示されているものについては、タイプⅡのラベルを含めて責任ある環境情報だと判断できるのではないか、と考えております。これを前提としながら、マークのあるもの、ないものという部分があると思うので、こうした観点から少しご議論をいただければと考えています。
- 中坊委員:どちらかというと、いわゆるNB商品などに限って言うのであれば、小売事業者が根拠を出せるものはないと思います。したがって、メーカーさんがどのような環境認証を取られているか、これを小売業者がどうやって選んで仕入れて販売していくのか、というようなプロモーションだけの話になってしまうのかなと、ちょっと感じています。
- 西尾座長:例えば、大丸松坂屋さんでは先ほどご紹介いただいたようなリストを作成されていますが、今お話があったような問題についてはどのように考えていらっしゃいますか。
- 岡田委員:環境ラベルの付いた商品だけを環境配慮型商品とすると、対象商品が限られてしまうということがあるので、ガイドラインによる選定基準に幅を持たせて対応しています。例えばクールビズが良い例かと思いますが、クールビズ関連商品も環境に配慮した商品ですということで、この夏も機能性の肌着やワイシャツなどのプロモーションをしてお客様に訴えかけており、そういう意味では環境配慮型商品の範疇に入るという形で大きくとらえています。
- 花田委員:私たちができることというのは、それぞれの企業が決めておられる調達基準の内容を評価することではなくて、そういう基準を持っておられるかどうかということを評価の中に入れる、ということにしてはどうかなと思います。
- 西尾座長:花田委員がおっしゃられたように、どれくらい環境に配慮した商品なのかという時に、その内容をちゃんとメーカー側が示し、それが流通業者側の基準と合致していれば、積極的に品揃えをされてもいいのではないかと思います。グレーゾーンのものがどれくらいあるのかといったことを、消費者誤認といった観点からどのように対応していくのか、という問題もありますが、社会や環境という側面からどういう商品を提供していきたいか、という戦略は小売事業者ごとにそれぞれ違うでしょうから、それはそれで違いがあっても良くて、誤認につながるかどうかに気を付けつつも、基準や根拠を示してもらえればいいのではないか、という気もします。いずれにしても、そうした点についても少し調べて整理をしていただければと思います。
- 麹谷氏:このあと、評価を行うための先進事例の調査項目についてご議論をいただくのですが、最初は様々な要素を出していただいて、事務局の方で情報を集めさせていただき、次回の検討会の中で議論をしながら整理していければと考えています。また、先ほど片山委員から、いくら環境配慮商品を店頭に置いても売れなければ続かない、といったお話がありましたが、評価指標についての議論の中で、どのようなアクションを起こせば売上・利益に影響を及ぼす可能性があるのか、あるいはないのか、という点についても、ご議論いただければと考えております。
- 臼杵委員:お客様あっての小売であると考えており、どんなに基準がしっかりしていて、どんなにエコ商品を店頭に並べても、中間層と呼ばれるお客様が納得しなければ、効果がない、評価が低いということになってしまうのではないかと思います。エコ商品を揃えて販売されている企業は結構あると思いますが、そこに中間層の消費者がついてこないという背景はあるのだと思うので、やはりビジネスとして持続できるという視点が非常に重要であり、その上でエコであるということが重要なのだと思います。
それから、お客様とのコミュニケーションが取れているかということも重要だと思います。各社にお客様センターのような組織があると思いますが、エコに関するお客様からのご要望も増えていると考えられ、小売事業者がそれをいかに吸い上げ、反映しているかが非常に重要だと思います。 - 西尾座長:おそらくその点が、事務局が最初におっしゃっていた販売促進やコミュニケーションというところにもつながるのだと思います。当然、消費者のニーズがある商品を並べるのも流通の大きな使命であるわけですから、そういう中で、消費者の選択をいかにエコの方に向けさせるか、関心を持たせるか、ということのきっかけ作りみたいな点も、積極的に評価していかなくてはいけないんじゃないかという気がします。
まだ多くのご意見があるかと思いますが、次の議題に進ませていただいた上で、前の議題に関する部分も振り返りつつご議論をいただければと思います。
(7) 環境配慮型製品普及の先進事例に関する調査実施概要
事務局より、環境配慮型製品普及の先進事例に関する調査実施概要に関して、対象、調査項目等について説明が行われ、これを受け委員による議論が行われた。
[説明及び議論経過]
- 西尾座長:それでは、環境配慮型製品普及の先進事例に関する調査実施概要について、資料6に基づきご説明いただけますでしょうか。
- 麹谷氏:この検討会では、小売事業者の評価手法とインセンティブの仕組みについてご検討いただくわけですが、より実のあるご議論をしていただくために国内外の先進事例の調査を行い10事例程度を収集し、これをもとに検討会でご議論をいただきたいと考えております。調査の実施概要について、これまでお話した点と重複する部分を割愛してご説明させていただきます。
- 調査項目については、大きく2つの項目を設定し、さらに細目を設けていきたいと考えております。1つ目は環境配慮型製品普及の先進事例の概要をどのように把握するか、2つ目として、そうした取組を事業者の方がどのような姿勢でどういう範囲で進められているのかということも参考情報として集めたいと考えております。例えば、百貨店さんとチェーンストアさんでは売り方に違いがあると考えられ、このため業態によって評価手法も違ってくる可能性があります。できるだけ調査項目は同じにしたいのですが、とりまとめを行う際には、業態ごとに状況を把握しながら評価手法とインセンティブのあり方についてご議論いただければと思っております。
調査項目とインセンティブの対象のイメージとして、縦軸に調査項目、横の項目として各業態を並べた表を示させていただきました。この中の11番目の項目にある「実施効果」が、具体的な評価項目になるのではないかと考えておりますが、それ以外にも項目が挙げられるかもしれません。こんな点も評価の対象にしてはどうかといったご議論をしていただいた上で、小売事業者に関する評価項目を作っていきたいと考えております。
具体的な調査項目の案として、環境配慮型製品普及の先進事例に関しては、[1]事例の概要、[2]評価対象とする小売事業者、[3]小売事業者の業態・販売形態、[4]対象とする環境配慮型製品の定義、[5]実施時期・場所・時期、[6]取組の経緯・きっかけ、[7]様々なステークホルダーとの連携の有無、[8]プロモーションなど消費者への訴求方法・内容、[9]自社のポイント制度など消費者へのインセンティブ、[10]独自性のある取組、といった項目を設けております。
一番ご議論いただきたいと思っておりますのは、実施効果をどのように測るのかという11番目の項目でございます。環境配慮型製品の販売促進効果を測る指標として、売上、利益、市場占有率などが考えられます。また、結果をおさえるという意味から集客に関する事項、取組んだことによる店舗側の様々なメリットなどについても、実施効果の中に含めるかどうかご議論いただければと考えております。このほか、[12]施策の継続性・発展性、[13]課題、という項目を設けております。
事業者の取組姿勢に関しては、[1]環境配慮型製品の販売促進に関する取組方針、[2]目標及び計画、[3]これまでの取組事例・実績、[4]店舗従業員への教育等、[5]課題と課題克服のための施策、の5つの項目を挙げさせていただいております。取組のバックグラウンドとしてどのような項目をおさえておけば継続性や発展性が期待できるのか、といった情報を把握したいという観点から、これらの項目を設けさせていただいております。以上でございます。 - 西尾座長:ここに示されている調査項目案は、先進事例を次回の検討会までに集めていただく際に、どういう観点で集めてきたらいいかという意味で挙げられているのでしょうか。あるいは、今年度の最後にまとめる評価手法を想定して項目を挙げられていると理解すれば良いでしょうか。
- 麹谷氏:事務局としては2つの意味合いがあると考えております。この検討会でご議論いただくのは評価手法とインセンティブであり、それに関わる項目はこの中に当然含まれております。それを報告書でとりまとめて全体像を示す必要はあると思っており、全体の調査項目としてこういった事項をおさえてはどうかと考えております。この中から、検討会で先進的な販売促進策として評価すべき取組の評価項目として、一番わかりやすいのが11番目の実施効果、またどのような取組なのかを理解するための事業の概要、実施時期、対象商品、プロモーションに関わる事項については、この検討会で事務局として取りまとめをさせていただいて、その情報をベースにご議論をいただければと思っております。
- 西尾座長:以上、説明をいただきましたが、委員の皆様いかがでございましょうか。
- 辰巳委員:1つは、この中の項目に表すことができない特別な取組があった場合に書き込むことができないので、オリジナリティのある特記事項などを記載できる項目があったほうが良いと思います。また、先ほど花田先生がおっしゃられたように、基本は小売事業者がどのような調達方針を持っているかだと思うので、その項目がどこに入るのかという点を確認したいです。
- 麹谷氏:事業者の取組姿勢として「環境配慮型製品の販売促進に関する取組方針」という項目を設けております。
- 辰巳委員:そういう事項ではなく、商品を調達するときにどのように選んでいるかということに関する方針について調査をすることが重要だと思います。
- 西尾座長:それは重要な項目だと思います。
- 辰巳委員:取組方針として「環境に配慮した商品を販売します」といった文章を書くことによって、取組方針があるということになって、具体的な中身はないということも起こり得るので、特に海外の企業などでそうした方針をきちんと作られているところの事例をぜひ取り上げていただきたいと思います。
- 西尾座長:調達方針をきちんと設けていることや、その方針の哲学などに関する情報が集められると良いかと思います。
先進事例の定義についてですが、多くの項目を広く浅く実施しているほうが良いのか、あるいは1つの項目であっても非常にユニークな取組で集客などの結果に結びついている、消費者から関心が寄せられている、といった事例を選ぶのか、そういった点については委員の皆さんはどのように考えておられますか。 - 辰巳委員:そういう観点からも、特記すべき事項を拾うことができれば良いのではないかと思います。
- 花田委員:先進事例ということは、既に実施していてある程度結果が出ているわけですから、何と言いましょうか、ゼネラリストではなくスペシャリストとして、長距離とか中距離とか短距離とか、いろんなタイプの取組事例を集めていただいた方が良いのかなと思います。
- 麹谷氏:先進事例ということで考えますと、なかなか売上・利益にはつながっていないが価値としては非常に高いものがある、といった事例をどのように扱うか、という点が事務局としては非常に悩ましいと考えております。こうした点について委員の皆様のご意見をいただければと思います。
- 西尾座長:産業界の外の観点から評価やインセンティブの仕組みを作っても、企業がそれをインセンティブとは感じずにどこも応募してくれなかったら意味がないので、流通小売業者の方々の視点から、こういう取組を積極的に評価したほうがいいんじゃないか、あるいは事業者としての持続可能性といった観点からご意見をいただければと思います。
- 田中氏:先ほどより、販売手法に関してゼネラルかスペシャルかというご議論をいただいておりますが、環境省として1つお願いしたい点がありまして、今回の事業では、環境配慮型製品を中間層にどのくらい買っていただいているか、どのくらい普及させているかを評価したいと考えており、販売手法が重要なのは十分に承知しておりますが、結果的に中間層による環境配慮型製品の購入をどの程度促進したかが主な評価項目となります。このため、スペシャルな販売手法についても推奨したい考えはありますが、その結果として環境配慮型製品が普及したかどうかという点が重要になります。したがって、販売手法が非常に重要というよりも、その販売手法によってどれくらい普及したかという定量的な部分に主眼を置いてご議論をいただければと思います。
- 西尾座長:中間層がどれだけ購入したかを把握するのはなかなか難しいと思いますが、中間層のボリュームが一番大きいのだから、結果的には売上が伸びたかどうかになるのでしょうか。
- 田中氏:環境省としても、売上で測るかどうかは悩ましいところではありますが、小売事業者の皆様にどれくらいデータを出していただけるかということも教えていただきたいところになります。経営に大きく関わる部分ですので、数値として出していただけるものなのかどうかも議論のひとつだとは思いますが、この販売手法を実施したから褒めるというのではなく、この販売手法によってどれくらい環境配慮型製品が普及したかというところを評価する、それがインセンティブの対象になる、と環境省では考えております。
- 中坊委員:環境配慮型製品が普及したかどうかを測るのであれば、一番手っ取り早い方法は9番目の消費者へのインセンティブしかないと思います。割引をするとかポイントを付けるとかクーポンを出すとかが、普及には一番速いとは思うのですが、では継続的に持続的にそれができるかというと、絶対そうなってはいかないわけです。しかし、環境省さんのご意向だと、これしかないのではないかというようか気がしました。
- 辰巳委員:やはり、価格に引っ張られる消費者が大多数なのかもしれない、そういう社会なのかもしれないですけれども、買う時にその消費者がどう考えるかということが非常に重要で、Aという商品はポイントが付いているから買う、それが環境配慮商品であった、Bという商品も環境配慮商品だけれどポイントが付いていないから買わない、そういうふうになるような仕組みをここで評価してしまうと、結局、消費者は低価格商品のほうに移動してしまって、先ほどからすごく心配している上流での環境負荷とかに必ずつながるわけですから、そういう形にするのであればこの検討からちょっと降ろさせていただきたいと思うくらいです。
何を選ばなければいけないかということについて、事業者に消費者教育をしてもらいたいとしょっちゅう言っているのです。事業者の方からは、そのような義務はないと言われるのですが、それが事業者のCSR活動だと私は思っています。それぞれの事業者の皆さんは社会の中で非常に重要な役割を持っておられ、小売事業者は商品を消費者につなぐ役割を担っているわけで、その事業の中で何が社会から求められている役割かということを考えてほしい、というのが私の重たい思いです。
その意味で、ポイントといったものは環境配慮商品を購入するきっかけになる程度のもので、ポイントがなくなったらもう買わなくなるというようなポイントであれば意味がないと思っています。ポイントがきっかけとなって、安かったからたまたま買ったらこういうことが書いてあって、この商品にはこういう思いがあるんだ、次に買うときにはそういう思いを自分が生かして商品を選択したいな、となるような形にしてほしいと思います。 - 中坊委員:まさに辰巳委員がおっしゃるとおりであって、この9番の「消費者へのインセンティブ」の項目があることに非常に違和感を覚えます。ポイントまでは良いとしても、割引というのはあくまでもセールであって、環境配慮商品のセールをやって一時的に売上が伸びました、それで普及が進みました、というのは今回の趣旨と矛盾していると感じます。
- 片山委員:先ほどの話に戻りますが、消費者が買わない理由がわかるような調べ方にしたほうが良いのではないかと思います。環境を意識しているのだけれど買わない理由は何なのか、その理由は価格だけなのか、ということを考える必要があると思うので、そういう意味では、どうしてこの商品を買ってもらえたのかがわかるような聞き方にした方がいいのかなとも思います。
当社にはナチュラルローソンという店舗があり、例えば原材料にこだわった高い商品が売れたりする状況もあります。消費者の方が意識を持って店舗に来て買っていかれるということなんだろうと思うのですが、買う理由は何なのかがわかるような調査を行わないと実態が把握できないのではないかと思います。 - 中坊委員:消費者に対するインセンティブを付けなくても売れているエコな商品で、例えば詰め替え式のシャンプーとかは、最初に出た時はけっこうとまどいがあったと思うのですが、今ではどこのメーカーさんも導入していて、それが当たり前になっています。こういった商品を探すということなのかなとも思いました。アメリカでは、大きなPETボトルを持っていかないと水が買えない、コーラが買えないというお店もあり、そういう売り方もあるのかなと思います。最初のうちは消費者もびっくりするのですが、徐々に普通の人たちにとって当たり前になっていくような事例を探すことが今回の課題なのかなと、議論をしながら感じました。
- 岡田委員:先ほど食育の話をさせていただきましたが、いろんな側面がありまして、例えば食材を販売するという側面では履歴情報が公開されて食の安心・安全につながっていたり、商品そのものについては有機農法やオーガニックといった栽培のしかたであったり、料理の方法であれば環境配慮からは少し外れるかもしれませんがヘルシーの側面であったり、調理方法についてはもったいない料理を紹介したり、といったようにトータルで食育宣言ということを、会社としてあるいは店舗として打ち出してお客様にアピールしています。また、ウェブで健康で安全なレシピの紹介を行ったり、食育インストラクター制度というのを設けたりしています。こうした取組を5~6年にわたって進めていますが、競争が激しいこともあり売上はなかなか伸びずに横ばいという状況にあります。
先ほど環境省さんからご質問のあった売上をどの程度把握できるかということですが、デパートの場合、非常に品目数が多いので、例えばこの有機農法で作った野菜の売上がどれくらい伸びたのかというデータを出してくれと言われても、なかなか現場の対応が難しいという面がありますので、現場の作業負荷の大きさの問題も含め持ち帰って検討する必要があるかと思います。あるいは、こういう企画で食育のセミナーを開催して、その時に売れた商品の金額を把握するといったことはできるかもしれませんが、個別のアイテム単位で売上金額を出すことについては、なかなか対応できない場合も出てくるのではないかと思います。 - 西尾座長:おそらく、委員の皆さんが言われていることは非常に重要で、環境省さんがおっしゃられたのも、ユニークな新しい取組をしたからそれを褒めるということではなく、それがどういう成果に結びついたのかということをちゃんと把握し評価しましょうということなのだと思います。皆さんの話からすると、その成果についても、例えばキャンペーンを行った際の短期的な効果ではなくて、その取組が継続的にどのような成果に結びついたのかといったところも含めて評価したものを示してください、ということだと思います。
私自身は中間層に近い非常に身勝手な消費者なのですが、商品を手にとって使ってもらわなければ価値は届かないわけで、そういう意味では最初のきっかけは割引でもキャンペーンでもいいじゃないかとも考えています。重要なことは、商品の価値を伝え購入を継続させるためにどうしていくのかということだと思います。一方で片山委員がおっしゃられたように、買われない理由がわからなければ、というのもそのとおりだと思います。消費者が1回スペシャルキャンペーンで商品を買ったとして、それが続かないとしたら、その理由は小売店の問題ではなくてメーカーのブランド力や商品力の問題かもしれないわけです。そういうことも含めて、今回はメーカーさんに対する評価ではなくて小売事業者さんに対する評価の仕組みを作るわけですから、消費者にエコプロダクツを長期的に使ってもらえるようにするために小売事業者さんがどんな努力をされているのかについて、最初は値引きをやったとしても、そのあと食育を行ったり捨て方に関する場をちゃんと設けたりなど、そういった取組を通じた長期的効果をトータルとして評価できればいいのではないかと思います。
売上金額を出すということはけっこう大変なことなのですが、定量的に評価するということは重要だと思います。先進事例を調査する際には、ここに取材に行った方がいいといった事例を委員の皆さんから教えていただいた方がいいと思うのですが、その時に、消費者が環境配慮型製品の購入を習慣化するためにどのような工夫をされているのか、あるいは企業側として実施したプロモーションの成果をどのような観点から評価しているのか、派生効果も含めてどのように考えているのか、といった事例を集めていただいて、それをもとに次回の検討会の中で、評価方法、評価の対象となる期間や範囲といった観点から議論ができればいいなと考えております。今日、委員の皆様からいただいたご意見は非常に重要なものなので、これらを考慮した形で事例を集めていただければと思います。 - 花田委員:先ほど、スペシャルな販売手法に関してお話がありましたが、たぶん受け取られ方が違ったのではと思っております。その時1回限りといった意味でスペシャルと言ったのではなく、いろいろな観点の事例を集めたほうが、どのような観点がどのような効果があるかがわかりやすいかな、と思ったのでスペシャルと申し上げました。
岡田委員の方から、食育のセミナーを開催した際の売上については把握できるというお話がありましたが、むしろその時点の売上は単発のものであっても、参加者がオーガニックの野菜はおいしいと感じて、次からも同じ店舗に行って購入するというようになればそれは継続なのではないかと思います。継続という意味では、例えば容器を持っていったら50円引くとか、先ほど詰め替えボトルの話がありましたが、最近は量り売りなどを行っている店舗もあります。
先ほどナチュラルローソンのお話がありましたが、世の中が少し動き始めているのかな、というように感じています。今まで一般のローソンに行っていた方が、何となくナチュラルローソンがいいなと思ってそちらに行くようになる。家電製品の省エネラベルのように、ランニングコストも含めればこちらの製品の方が安くなるということを伝える、という観点を持ち込むことも非常に大切なことかなと思いました。
また、無印良品では、「処暑」というんでしょうか、暑さをこうやってしのぎましょうというパンフレットを作成して、上手に関連商品を販売するという取組をされています。こういった取組は売り方の事例の対象になるのではないかと思います。逆にオーガニックに関して気をつけなければならないのは、コットンは大量の水を使うので評価が難しい面があることに留意する必要があると思われるというような側面です。
コンビニエンスストアについてお聞きしたいのですが、コンビニエンスストアでは本部で商品を仕入れるのではないかと思うのですが、各店舗の裁量というのはどのくらいあるのかをお聞きしたかったです。
また、環境をどれだけ打ち出して売っているかという姿勢なども評価したらどうかなと思いました。例えば、イオンさんではお買い物ゲームのようなものを実施されています。また、意外かもしれませんが、シャネルの店舗ではウィンドウに再生紙で作った大きなバッグのディスプレイが置かれていました。このように環境をフィーチャーしていることも評価したらどうかなと思いました。
最後に、私がお勧めしたいホールフーズというアメリカのストアでは、ローカルということを前面に押し出すとともに、売上げの1%を積み立てて農園で働いている人に低利子か無利子で貸すなどの取組を行い、そのことを店舗で示し、消費者が生産者を応援したくなってそこで買おうと思うような工夫をしています。 - 西尾座長:先進事例の収集にあたっては、事務局のほうから委員の皆さんに聞いていただく、あるいは委員の皆さんのほうから事務局に情報を提供いただければと思います。事例に関しては、ユニークな取組を進めているところをいくつか示すことにより、他の企業が、この取組は無理だけれどこちらの取組ならできるかもしれない、といったように参考にしてもらえるのではないかと思います。どのような事例を集めたらいいかについて、委員やオブザーバーの方に聞いていただければと思います。事務局からの問い合わせがあったときには、快くご意見をいただければと思います。ご協力をよろしくお願いいたします。
その他、参考事例に関する資料について事務局のほうから説明等をお願いいたします。 - 麹谷氏:事務局としてどのような事例を集めたら良いのかということで、先ほど事務局案を示しました調査項目をベースにしながら、こんな事例をイメージしていますという参考事例をいくつか挙げさせていただいております。具体的には、西友さんの「ノントレイ」商品の販売、行政や流通業者の方々が地域で連携して取組まれているケース、地域の消費者団体による取組、消費者に対して正確な環境情報を提供することによる消費行動のサポートの仕組みなどを挙げております。
これらも参考にしながら、国内外の10事例程度を集め皆様に情報提供したいと考えております。今挙げました事例はあくまでも事務局案でございますので、あらためて委員の皆様に調査対象に関するアドバイスをいただければと考えておりますので、ご協力をお願いしたいと思っております。
(8) その他
第2回以降の検討会の日程については、あらためて調整を行い各委員に連絡することとされた。最後に環境省の峯村課長補佐からコメントがあり、西尾座長より第1回検討会終了の旨が述べられた。
[検討会日程、会議閉会]
- 麹谷氏:次回以降の検討会の日程については明確には決めておりませんが、資料3に示しましたように、第2回については11月上旬の開催を予定しております。第3回、第4回につきましても、それぞれ来年の1月中旬、2月中旬という予定となっておりますが、あらためて委員の皆様方の日程を調整させていただき、日時、場所をご連絡させていただきたいと思いますので、よろしくご参集のほどお願い申し上げます。
- 西尾座長:最後に環境省のほうから何かございますでしょうか。
- 峯村課長補佐:本日は有意義なご検討をいただきありがとうございました。法律上の環境配慮型製品という枠内ではなく、より自由な形でのご討議をいただくという目的を果たせたのかなと考えております。
- 西尾座長:本日はご多用のところ長時間にわたり熱心にご議論をいただきありがとうございました。以上で本日の検討会を終了させていただきます。次回もぜひよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
以上