7 各種施策の基盤、各主体の参加及び国際的取組に係る施策


(1)環境保全経費
平成19年度予算における環境保全経費の総額は、2兆949億円で、前年度の当初予算に比べ、393億円、1.8%の減になっています。

事項別環境保全経費一覧


(2)政府の施策
国内外挙げて取り組むべき環境政策の方向を明示し、今後の世界への枠組づくりへ我が国として貢献する上での指針である「21世紀環境立国戦略」の総合的検討を行うため、21世紀環境立国戦略特別部会が設置されました。
また、平成18年4月に閣議決定された第3次環境基本計画では、「環境的側面、経済的側面、社会的側面の統合的な向上」などを今後の環境政策の展開の方向として位置づけ、10の重点分野政策プログラムを定めるとともに、政策プログラム毎の具体的な指標及び総合的環境指標を活用することとしました。

(3)環境影響評価等
個別の事業の計画・実施に枠組みを与える計画(上位計画)等に環境配慮を組み込むための戦略的環境アセスメント(SEA)について検討を行い、事業の実施による重大な環境影響の回避または低減を図るため、位置・規模等の検討段階におけるSEAの共通的な手続、評価方法等を示す戦略的環境アセスメント導入ガイドラインを取りまとめました。
また、平成17年の基本的事項の改正を踏まえ、18年に改正された事業の種類ごとの主務省令について、事業者及び自治体への周知を図るなど、確実な運用の実施に努めました。
環境影響評価法に基づき、平成18年度においては、新たに8件の事業で手続が開始し、また、13件で手続が完了し、環境配慮の徹底が図られました。

環境影響評価法に基づき実施された環境影響評価の施行状況


(4)水俣病、アスベスト健康被害の救済等
ア 水俣病
水俣病の認定は現在公健法に基づき行われており、平成19年3月末までの被認定者は2,958人で、このうち生存者は897人となっており、被認定者は、補償協定に基づき原因企業から直接補償を受けています。
平成4年度から医療費の自己負担分等を支給する医療事業等を内容とする水俣病総合対策事業が実施されました。また、7年の政治解決を受け、医療事業の申請受付の再開等の施策を実施しました。8年5月には国家賠償請求訴訟について係争中であった計10件が取り下げられ、関西訴訟については、16年10月に最高裁判決が出され、国及び熊本県には、昭和35年1月以降水俣病の発生拡大を防止しなかった責任があるとして、賠償を命じた大阪高裁判決が是認されました。
平成18年に水俣病公式確認から50年という節目を迎えるに当たり、17年4月に「今後の水俣病対策について」を発表し、医療事業について高齢化の進展等をふまえた拡充、胎児性患者等を始めとする水俣病被害者に対する社会活動支援、地域の再生・振興等の地域づくりの対策等を実施しています。

水俣病関連年表


水俣病被害救済の概要

水俣病問題に係る懇談会では、平成18年9月に「いのちの安全」の危機管理体制、「環境・福祉先進モデル地域」の構築等を内容とする提言がとりまとめられました。
また、新たな救済を求める者の増加を受け、平成18年5月に与党に水俣病問題に関するプロジェクトチームが設置され、検討が進められています。

イ アスベスト(石綿)健康被害
石綿による健康被害の救済に関する法律による救済給付に係る申請等については、平成18年度末時点で3,925件を受け付け、うち2,389件が認定、281件が不認定、387件が取り下げられています。

(5)環境教育・環境学習の推進
環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律及び同法に基づく基本方針に基づき、総合的な学習の時間におけるNPO等の外部人材の活用推進事業等を行うとともに、人材認定等事業の登録を行い、登録した事業についてインターネットによる情報提供を行いました。また、子どもの自主的な環境保全活動を支援する「こどもエコクラブ事業」、環境保全についての専門的な知識・経験を有する人材を確保する「環境カウンセラー活用推進事業」、家庭におけるエコライフを支援する「我が家の環境大臣事業」等を実施しています。

(6)社会経済のグリーン化の推進に向けた取組
環境への負荷の低減を図るために経済的負担を課す措置については、その具体的措置について判断するため、地球温暖化防止のための二酸化炭素排出抑制、廃棄物の抑制などその適用分野に応じ、これを講じた場合の環境保全上の効果、国民経済に与える影響及び諸外国の活用事例等につき、調査・研究を進めました。
「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」は、国等の各機関(国や独立行政法人等の公的機関)による環境物品等(環境への負荷の低減に資する物品又は役務)の調達の推進、情報提供の充実などにより、環境物品等への需要転換を促進することを目的としています。国等の各機関では、基本方針に即して平成18年度の環境物品等の調達方針を定め、これに基づいて環境物品等の調達を推進しました。
また、企業の社会的責任という観点から環境への取組を捉える傾向が高まっていることを受けて、平成18年4月に「環境と金融に関する懇談会」を設置し、「環境等に配慮した「お金」の流れの拡大に向けて」をとりまとめました。
我が国の平成17年時点での環境ビジネスの市場・雇用規模について推計した結果、市場規模は約44兆1千億円、雇用規模は約102万6千人となっています。また環境保全を考えた消費者の行動が需要を誘発するビジネスも加えた環境誘発型ビジネスの市場・雇用規模については、約58兆3千億円、雇用規模は約137万2千人となっています。

(7)国際的取組に係る施策
地球環境問題に対処するため、1)国際機関の活動への支援、2)条約・議定書の国際交渉への積極的参加、3)諸外国との協力、4)開発途上地域への支援を積極的に行っています。


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