4 廃棄物・リサイクル対策などの物質循環に係る施策


(1)我が国の物質フロー
循環型社会を構築するためには、私たちがどれだけの資源を採取、消費、廃棄しているかを知ることが第一歩となります。
また、我が国の物質フロー(平成16年度)を概観すると、19.4億トンの総物質投入量があり、その半分程度の8.3億トンが建物や社会インフラなどの形で蓄積されています。また1.5億トンが製品等の形で輸出され、4.6億トンがエネルギー消費、6.1億トンが廃棄物等という状況です。このうち循環利用されるのは2.5億トンで、これは、総物質投入量の12.7%に過ぎません。廃棄物・リサイクル問題、地球温暖化問題が我が国社会の構造的・根本的な問題であることが見てとれます。

我が国における物質フロー(平成16年度)

平成15年3月に閣議決定した循環型社会形成推進基本計画(循環型社会基本計画)では、発生抑制、再使用、再生利用、処分等の各対策がバランス良く進展した循環型社会の形成を図るために、この物質フロー(ものの流れ)の異なる断面である「入口」、「循環」、「出口」、に関する指標について目標を設定しました。

目標年次:平成22年度
指標 資源生産性 循環利用率 最終処分量
目標 約39万円/トン 約14% 約28百万トン

・資源生産性(=GDP/天然資源等投入量)
 より少ない資源でどれだけ大きな豊かさを生み出しているか総合的に表す指標。
・循環利用率(=循環利用量/(循環利用量+天然資源等投入量)
 社会に投入される資源のうち、どれだけ循環利用された資源が投入されているかを表す指標。
・最終処分量
 廃棄物の埋め立て量。廃棄物の最終処分場のひっ迫という喫緊の課題にも直結した指標。

循環型社会形成推進基本計画の進捗状況の第3回点検結果では、「資源生産性」は平成16年度は約33.6万円/トンであり、2年度の約21万円/トンから概ね6割向上、12年度の約28万円/トンから概ね2割向上しました。「循環利用率」は16年度は約12.7%で、2年度の約8%から概ね7割向上、12年度の約10%から概ね3割向上しました。「最終処分量」は16年度は約35百万トンで、2年度の約110百万トンから概ね69%減、12年度の約56百万トンから概ね38%減となりました。
このように、物質フローに関する指標については、概ね順調に推移しており、このままの傾向でいけば平成22年の目標達成の可能性は高まっています。しかしながら、物質フローにおいては、「総物質投入」及び「天然資源等投入量」が高水準であること、資源、製品等の流入量と流出量がアンバランスであること、「循環利用量」の水準が低いことなど多くの課題があります。これらの課題を克服し、物質フロー指標の目標を確実に達成するためには、3Rの取組が重要となります。
我が国の循環的な利用の現状(平成16年度)は、1年間に6.05億トンの廃棄物等が排出され、そのうち2.47億トンが再利用、再生利用などにより循環利用され、2.38億トンが焼却・脱水などにより減量化されています。循環利用のうち、再使用された循環資源は0.02億トンでリユース量の内訳は、ビールびんや牛乳びんなどのリターナブルびんの再使用やタイヤの再使用などとなっています。

我が国における循環資源フロー(平成16年度)


(2)廃棄物の現況
我が国では、平成元年度以降、毎年年間約5,000万トン以上の一般廃棄物が排出されており、排出量は12年度以降継続的に減少しており、16年度は、一般廃棄物のうち、77.5%が直接焼却され、19.0%が資源化等されました。最終処分量は809万トンで前年度に比べ36万トン減少しました。

ごみ総排出量及び1人1日当たりの排出量の推移

産業廃棄物の総排出量についても、ここ数年ほぼ横ばいで、平成16年度は約4億1,700万トンと前年度に比べ約1.3%増加しましたが、最終処分量は約2,600万トンとなり、前年度より約400万トン減少しました。最終処分場の残余年数については、17年4月時点で全国平均7.2年とひっ迫した状況にあります。

産業廃棄物の排出量の推移

全国の産業廃棄物の不法投棄の状況については、平成17年度の投棄件数は558件で前年度に引き続き減少しました。

不法投棄件数及び投棄量の推移


(3)循環型社会の形成に向けた制度と取組
こうした問題の解決のために、循環型社会形成推進基本法の考え方に沿って、廃棄物処理法や各種リサイクル法などにより、1)廃棄物等の発生抑制、2)使用済製品・部品等の再使用、3)原材料としての再生利用、4)熱回収、5)適正な処分を推進しています。
分野毎のリサイクル等の推進については、平成18年6月に、容器包装廃棄物の排出抑制を促進するための措置や質の高い分別収集により再商品化の合理化に寄与した市町村に対して事業者が金銭を支払う仕組み等を導入する容器包装リサイクル法の一部改正法が成立しました。これを受けて、レジ袋削減等のモデル事業や普及啓発の実施、自主的に先駆的な取組を進める事業者との自主協定の締結などにより、容器包装廃棄物の排出抑制の促進を図っています。また、環境にやさしいライフスタイルについて情報提供するWEBマガジン「Re-Style」の開設などにより、幅広くリデュース、リユース、リサイクルの3Rの取組の普及啓発を図っています。
食品リサイクル法については、中央環境審議会と食料・農業・農村政策審議会の合同会合で制度の評価・検討を行い、食品関連事業者に対する指導監督の強化と食品廃棄物由来の肥料・飼料を使用した農畜水産物を食品関連事業者が引き取る計画について主務大臣の認定を受けた場合、廃棄物処理法の特例を拡大する等の措置を盛り込んだ食品リサイクル法の一部を改正する法律案を第166回国会に提出しました。
また、循環型社会の基盤整備を進めるため、循環型社会形成推進交付金等によって、国と地方の協働により、廃棄物処理・リサイクル施設等の整備を進めています。
さらに、不法投棄対策と適正処理の推進のため、電子マニフェストの普及、産廃業者の優良化、PCB処理、石綿含有廃棄物の無害化処理の推進などに取り組んでいます。

(4)国際的な取組
国際的な取り組みの一つとして3Rイニシアティブの推進のために、平成18年10月に、東京でアジア3R推進会議を開催し、アジアで3Rを推進していくことの重要性を共有するとともに中国・韓国・シンガポール等の国々と政策対話を行い3Rイニシアティブのより一層の推進を図りました。


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