○平成17年度 環境の状況
第1部 総説
総説1 人口減少と環境
はじめに
(1)人口減少時代の到来
子どもを生み育てやすい環境づくりを目指して、教育、労働、社会保障の面において取組が進められていますが、わが国は平成18年から本格的な人口減少の局面に入ると見られ、今後、2030年(平成42年)までに約1,000万人の人口が減少すると見込まれています。
人口減少時代の到来は、経済成長の鈍化、社会保障費の負担増、財政に対する制約など経済社会や国民生活に大きな影響を及ぼす可能性があると考えられ、こうした変化に伴い、環境に対してもさまざまな影響が生じると考えられます。また、その一方で、ゆとりある環境と生活を実現する好機となることも予想されます。
本総説では、人口減少に伴う環境への影響について、正と負の両面から考えていきます。
先進諸国においては、アメリカ等の一部の国を除き、ほとんどの国で人口は横ばい又は減少する見通しですが、その中でも日本の人口減少は最も早くなっています。
人口減少は、地方部ではすでに始まっており、今後急速に減少が進むことが予想されます。また、高齢化率については、現在は地方部において高くなっていますが、今後は、特に都市部において急速に高まることが予想されます。
(2)世界の人口の動向とわが国への影響
世界的には人口爆発が見込まれており、今後2050年までに、世界人口は、国連の中位推計で93億人に達するものと予想されています。
こうした人口爆発により、地球規模で資源・エネルギー、食料・水の需要の増加が見込まれ、環境負荷も増大することが予想され、わが国の経済社会、さらに環境にも大きな影響を及ぼすことが懸念されます。