4 廃棄物・リサイクル対策

 第1章第3節でもすでに明らかにしたとおり、わが国の社会経済活動をマクロ的に見た場合、生産活動などに国内外から直接的、間接的に投入された様々な物質の総量である総物質投入量や一人当たりの総物質投入量は、近年はほぼ横ばいの状況であり、大量生産、大量消費、大量消廃棄型の社会経済活動は依然として継続していると考えられます。それに伴い、膨大な量の廃棄物が生ずるとともに、その質も多様化しており、廃棄物の処理の困難化や、不法投棄のような不適正な処理の発生、最終処分場の残余容量のひっ迫など深刻な状況が生じています。特に、産業廃棄物の最終処分場の残余年数は、平成10年4月現在で3.1年(首都圏:0.7年)(平成11年度末の推計値では1.6年)と極めて短くなっており、一般廃棄物についても新たな処理場の確保が困難になりつつあります。
 廃棄物・リサイクル対策をはじめとする物質循環の適正化については、すでに述べたとおり、「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)」の制定(平成7年)、「特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)」の制定(平成10年)、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」の改正(平成9年他)など法制度が整備されてきました。また、事業者の自主的、主体的な取組の促進が図られてきました。
 さらに、廃棄物の大量発生、リサイクルの一層の推進、廃棄物処理施設の新規立地の困難化、不法投棄の増加など早急に解決すべき課題が存在することから、政府は、平成12年度を「循環型社会元年」と位置づけ対策の強化を図ることとしました。そして、平成12年には、循環型社会の形成を推進する基本的な枠組みとなる「循環型社会形成推進基本法」が制定されました。また、廃棄物処理法や「再生資源の利用の促進に関する法律(再生資源利用促進法)」が改正されるとともに、「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)」、「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)」、「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン購入法)」が制定されるなど法制度の充実が図られてきました。
 今後、廃棄物・リサイクル問題の早急な解決に向けて、「循環型社会形成推進基本法」に基づき策定される「循環型社会形成推進基本計画」を踏まえ、関連する個別法などに基づく施策を総合的かつ計画的に講じていくことが必要です。
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