第3節 新計画に盛り込まれた「環の国」日本を目指した基本戦略を明らかにする


 21世紀初頭は、わが国が国際社会に貢献できる「環の国」日本に発展していくための重要な時期です。この時期における国の環境政策の方向を定めるものが環境基本計画です。

1 持続可能な社会に向けた環境政策の基本理念
 新環境基本計画では、「環境基本法」の環境政策の理念を実現し、持続可能な社会を構築するための条件を満たすために、「循環」「共生」「参加」「国際的取組」という四つの長期的目標を掲げています。
 持続可能な社会を構築していくためには、環境問題の根本にある社会のあり方そのものを転換していくことが不可欠です。また、その社会経済活動は、生態系のもたらす様々な恵みなしには成り立ちません。このため、環境政策の展開に当たっては、経済的側面、社会的側面、環境の側面という社会経済活動の各側面を統合的にとらえ、また生態系の価値を認識し、踏まえていくことが重要です。
 また、環境政策の基本的な指針として、「汚染者負担の原則」「環境効率性」「予防的な方策」「環境リスク」の四つの考え方を掲げました。さらに、有害物質による土壌や地下水の汚染、難分解性有害物質の処理問題など、環境上の「負の遺産」については、これらの原因をつくった現在世代に、これまでの蓄積も含め、将来世代に環境影響を可能な限り残さないよう努める責務があります。
 さらに、環境政策を進めるに際しては、あらゆる場面における環境配慮の織り込み、あらゆる政策手段の活用と適切な組合せ、あらゆる主体の参加、地域段階から国際段階まであらゆる段階における取組に留意していくことが重要です。
 21世紀初頭において優先的に取り組むべき重点分野を、新環境基本計画においては、国民のニーズや対応の緊急性、環境政策全般の効果的実施の必要性、統合的アプローチに立脚した環境政策の総合化の必要性などの観点を踏まえ、「戦略的プログラム」として定めています。

新環境基本計画の構成

11の戦略的プログラム

2 わが国の環境政策を推進するための新しい組織体制
 平成13年1月6日、わが国の中央省庁は1府12省に再編されました。新たに独立した環境省は、「地球環境保全、公害の防止、自然環境の保護及び整備」に加えて良好な環境の創出を含めた「環境の保全」を図ることを任務とすることになりました。
 中央省庁再編後も多くの府省が、国の環境保全施策の実施に関わることになります。このため、政府としては、閣議のほか関連する閣僚会議や関係府省連絡会議などの場を通じて緊密な連携を図り、次のような課題に適切に対応しながら、環境基本計画に掲げられた環境保全施策を総合的かつ計画的に実施していかなければなりません。
 1)各主体との連携や関係府省それぞれの推進体制の強化
 2)環境基本計画と、国の他の計画との間での調和
 3)目指すべき目標の設定
 4)環境保全施策の進捗状況を確認する重層的な点検体制の整備

環境政策の推進体制
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