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用語の解説

1 環境基準
 公害対策基本法第9条に基づき「人の健康を保護し、及び生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい基準」として政府が定める環境保全行政上の目標。政府は公害の防止に関する施策を総合的かつ有効適切に講ずることにより、環境基準の確保に努めねばならないとされている。
 環境基準は大気、水質、土壌及び騒音について定めることとされており、現在、大気、水質及び騒音について定められている。
(1) 大気汚染に係る環境基準


(2) 水質汚濁に係る環境基準


2 排出基準(排水基準)
(1)排出基準(排水基準)
 ばい煙、汚水などを排出する工場・事業場が守らねばならない汚染物質の排出の許容値。大気汚染防止法では排出基準、水質汚濁防止法では排水基準という。これらの基準を超えた場合は処罰の対象となるほか、改善のための措置がとられる。
(2)規制基準
 工場o事業場が守らねばならない騒音、振動、悪臭の許容値。この基準を超えた場合は改善のための処置がとられる。
3 ppm
 ごく微量の物質の濃度を表すのに使われ、%が100分の1をいうのに対し、ppmは100万分の1を意味する。例えば、空気1m
3
中に1?
3
の物質が含まれているような場合、あるいは水1kg(約1l)中に1mgの物質が溶解しているような場合、この物質の濃度を1ppmという。ppmより微量の濃度を表す場合には、ppb(10億分の1)も用いられる。
4 K値規制
 大気汚染防止法のばい煙発生施設から排出される硫黄酸化物の規制方法である。K値規制による硫黄酸化物の排出基準は、地域ごとに定められたKの値を算式に代入して、ばい煙発生施設の排出口の高さに応じて算定された1時間当たりの硫黄酸化物の排出量として示される(この規制方式は、硫黄酸化物の最大着地濃度を考慮して排出される硫黄酸化物の量を規制するものであり、Kの値が小さいほど規制が厳しい。)。
5 総量規制
 一定の地域内の汚染(汚濁)物質の排出量を環境保全上許容できる限度にとどめるため、工場等に対し汚染(汚濁)物質許容排出量を配分し、この量をもって規制する方法をいう。大気汚染、水質汚染に係る従来の規制方式は、個々の施設(工場・事業場)の排出ガスや排出水に含まれる汚染(汚濁)物質の濃度のみを対象としていたが、この個別規制では値域の望ましい環境を維持達成することが困難な場合に、その解決手段として総量規制が行われている。
6 WECPNL
 Weighted Equivalent Continuous Perceived Noise Levelの頭文字で、直訳すると「加重等価平均感覚騒音レベル」となる。
 1機ごとの騒音レベルに加え、機数や発生時間帯など加味した航空機騒音に係る単位で「うるさ指数」と呼ばれることもある。航空機騒音の特徴をよく取り入れた単位としてICAO(国際民間航空機関)が提案した国際単位である。
7 低周波空気振動
 近年、人の耳には聞き取りにくい低い周波数の空気振動(低周波空気振動という。)が工場施設等から発生し、問題となることがある。
 苦情内容としては、ガラス窓や戸、障子等の建具ががたつきを生じ、これがうるさい、気になる、眠りが妨げられるといったものと、低周波空気振動そのものについて圧迫感がある、低い音が気になるといったものがある。
8 ばいじん・粉じん・浮遊粒子状物質
 ばいじんは、燃料その他の物の燃料又は熱源として電気の使用に伴い発生し、粉じんは物の破砕、選別その他の機械的処理又は鉱物等の堆積に伴い発生し、又は飛散する物質である。浮遊粒子状物質は大気中に浮遊する粒子状の物質で、その粒径が10ミクロン以下のものである。
9 赤潮
 海域又は湖沼で微少な藻類が異常に繁殖、又は集積して海水又は湖沼水が変色する現象をいう。色は原因生物の種類によって異なるが、多くは黄褐色か赤褐色で、ときには黄緑色、暗紫色、黄色などを呈する。
10 SS(浮遊物質)
 水に溶けない懸濁性の物質を言う。水の濁りの原因となるもので魚類のエラをふさいでへい死させたり、日光の透過を妨げることによって水生植物の光合成作用を妨害するなどの有害作用がある。また、有機性浮遊物質の場合は可床に堆積して腐敗するため、低質を悪化させる。
11 汚濁負荷量
 大気や水などの環境に排出される硫黄酸化物、BOD等の汚濁物質の量。一定期間における汚濁物質の濃度とこれを含む排出ガス量や排水量等との積で表される。
12 COD(科学的酸素要求量)及びBOD(生物科学的酸素要求量)
 水中の有機物などは、溶剤酸素を消費することなどにより、水中生物の育成を阻害する。このような有機物などによる水質汚濁の指標として、現在BOD及びCODが採用されている。これらの有機汚濁指標は、いずれもmg/lで表され、数値が高いほど汚濁が著しいことを示す。
 CODは、水中の汚濁物質(主として有機物)を酸化剤で科学的に酸化するときに消費される酸素量をもって表し、環境基準では海域及び湖沼の汚濁指標として採用されている。BODは、水中の汚濁物質(有機物)が微生物によって酸化分解されるときに必要とされる酸素量をもって表し、環境基準では河川の汚濁指標として採用されている。
13 PCB(ポリ塩化ビフェニル)
 不燃性で熱に強く、絶縁性にすぐれ、化学的にも安定であるなど多くの特性を持った化学物質であり、このため用途も広範で、熱媒体、絶縁油、塗料等多岐にわたる。カネミ油症事件の原因物質で、皮膚障害や肝臓障害を引き起こすことが知られている。環境汚染物質として注目され、大きな社会問題となったため、現在我が国では製造は中止され、使用も限定されている。
14 pH(水素イオン濃度)
 液体中の水素イオン濃度をあらわす値。水中の水素イオン濃度の逆数の常用対数であらわされる。7を中性とし、7よりも大きいものをアルカリ性、小さい物を酸性という。
15 上乗せ基準
 ばい煙や排水等の排出の規制に関して、都道府県が条例で定められる基準であって、国が定める基準より厳しいものをいう。

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