1 環境と開発に関する世界委員会(国連環境特別委員会)
(World Commission on Environment and Development)
上述の地球的規模の環境問題に関する懇談会の報告書を踏まえ、57年5月、日本政府は、国連人間環境会議10周年を記念してナイロビで開催されたUNEP管理理事会特別会合に環境庁長官を代表とする代表団を派遣し、地球的規模の環境問題についての国際的取組の必要性を強調するとともに、21世紀の地球環境の理想像の模索及びその実現に向けた戦略策定を任務とする特別委員会の設立を提唱した。これを受けた58年12月の国連総会の決議に基づき、この特別委員会は、59年5月「環境と開発に関する世界委員会」として発足した。
同委員会は、世界各地で会合を開催し精力的に討議を行い、62年2月の東京での最終会合(第8回)において報告書を取りまとめるとともに、「東京宣言」を採択した。報告書「OurCommon Future」は同年4月に公表されたが、同報告書では、「持続的開発(sustainabledevelopment)〜将来の世代のニーズの充足を阻害することなく、現在の世代のニーズを満たすような進歩のための方策」を中心的概念として、国際経済、人口、食糧、種と生態系、エネルギー、工業、都市問題、共有財産、安全保障、変革への提言等について記述されている。
同報告書は、62年6月のUNEP管理理事会に提出され、UNEPの決議案を付して国連総会に送付された。国連総会においては、62年10月に報告書に関する討議が行われ、62年12月に報告書を受けた国連機関、各国政府等の行動に関する決議が採択された。