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第5節 

4 油濁損害補償対策

(1) タンカーによる油濁事故は被害が巨額にのぼる等の特殊性を有することから、我が国では被害者の救済をより手厚いものとするため、1969年の「油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約」及び1971年の「油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約」の二条約を締結するとともに、これら二条約を国内法化した「油濁損害賠償保障法」に基づき、タンカーから流出した油による汚染損害に関して、?船舶所有者に無過失責任を課すこと、?特別の責任限度額を設けること、?2,000tを超える油を輸送するタンカーに責任保険契約の締結を義務付けること、?油濁損害の被害者は、以上の損害賠償制度により船舶所有者から十分な賠償を受けられない場合、国際基金から補償を得られること(ただし、一定の補償限度額が定められている。)等を定めている。
 なお、59年IMO本部で開かれた国際会議で前記二条約の改定議定書が採択された。同議定書の主な改正点は、?船舶所有者の責任限度額及び国際基金の補償限度額の引き上げ、?空船タンカー、排他的経済水域への適用対象の拡大等であり、現在これについては、諸外国の動向等を踏まえつつ、我が国の対応を検討している。
(2) また、油濁による漁業被害のうち、担当部分を占める原因者不明の油濁被害については、(財)漁場油濁被害救済基金が実施する被害漁業者への救済事業(救済金の支給及び防除費の支弁)等に助成した。
 なお、61年度における実績は、総件数36件、総救済額9,400万円であった。

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