1 環境基準の設定
水質汚濁に係る環境基準は、水質保全行政の目標として公共用水域の水質について達成し、維持することが望ましい基準を定めたものであり、人の健康の保護に関する環境基準と生活環境の保全に関する環境基準の二つから成っている。
前者の健康項目については公共用水域一律に定められているが、後者の生活環境項目については、河川、湖沼、海域ごとに利用目的に応じた水域類型を設けてそれぞれ基準値を定め、各公共用水域について水域類型の指定を行うことにより水域の環境基準が具体的に示されることになっている。
人の健康の保護に関する環境基準は、カドミウム、シアン、有機燐、鉛、クロム(六価)、ヒ素、総水銀、アルキル水銀及びPCBの9項目について基準を定めているが、大部分の項目においては我が国の水道水質基準を考慮して定められており、水銀関係及びPCBについては、魚介類への濃縮蓄積による被害の発生等を考慮して定めている。
生活環境項目については、BCD、COD、DO等の基準が定められており、さらに湖沼については、富栄養化を防止するため、全窒素及び全りんに係る環境基準が定められている。
また、有害物質を含む底質の除去に関しては、水銀を含む底質及びPCBを含む底質について、それぞれ暫定除去基準が設定されている。