3 水質・底質のGC/MSモニタリングの概要
ガスクロマトグラフ/質量分析計(GC/MS)を用いた水質・底質モニタリングは化学物質環境調査の一環として61年度から新たに開始された。
この調査は、多種類の化学物質を同時に感度良く分析できるという特徴を持ったGC/MSを用いて、環境調査の結果等により水質及び底質中に残留していることが確認されている化学物質について、その残留状況の長期的推移を把握することにより環境汚染の経年監視を行うとともに、環境中に存在する未知物質の検索についても検討していくことを目的としている。
近年、トリクロロエチレン等生物において高蓄積性はないものの難分解性で毒性の疑いのある化学物質による環境汚染が問題となり、61年5月に化学物質審査規制法が改正され事後管理制度の導入が行われた事等により、化学物質の水質・底質モニタリングはその重要性を増している。
61年度においては、全国18地区において19物質を対象に調査を実施した。その結果水質からはcis-クロルデン等5物質が検出され、底質からはオキシクロルデン以外の18物質が検出された(第1-6-5表)。水質・底質のGC/MSモニタリングは61年度から調査を開始したところであり、データの集積が不十分なため、汚染レベルの増減は判定できないが、長期的にはその地区の汚染レベルの経時的推移を示すものとなる。