4 多様な主体の取組等
社会経済活動の拡大、消費生活の高度化等に伴い、都市活動や生活に起因する環境問題のウェイトが高まり、また、その地域に暮らす人々にとっての快適な環境(アメニティ)づくりに対するニーズも高まっている。
こうしたことから、地域において、生活雑排水による汚染を防止するための食物残さの排水への流入防止、洗剤の適正利用等に関する実践活動や、広範な市民が参加するリサイクル活動等が環境との共生を目指し、生活を見直す自主的活動として広がりをみせている。
また、ナショナル・トラスト活動をはじめ、市民の積極的な参加による自然環境保全のための自主的な運動が全国各地で行われているとともに、豊かな緑、清らかな水辺、美しい街並み等の街づくりにおいても住民主体の街づくりを目指して、行政、市民等が一体となった取組がなされている。
環境庁は、こうした多様な主体の取組について、例えば、59年度から61年度までの3ケ年にわたって「快適環境整備事業」を実施し全国の58市区町の「アメニティ・タウン計画」の策定を助成するとともに、62年度から、管下の市町村に快適環境づくりを普及・促進する基本的方向を示す「アメニティ・マスタープラン」を策定する都道府県に助成を行っている。また、リサイクル活動等生活を見直す自主的活動の意義を深め、相互の交流を図るため、63年1月に「エコロジカル・ライフスタイルを考える」のテーマでシンポジウムを開催する等の支援を行っている。
また、今日における環境問題の態様の変化と国民ニーズの多様化に対処していくためには、国民一人ひとりが実践活動等を通じて環境の有する多様な価値を認識し、人間活動と環境との関係について理解するとともに、環境保全の取組について社会的合意を形成することが不可欠であり、環境教育の重要性が高まっている。環境庁の「環境教育懇談会」は、環境教育のあり方についての検討を進め、63年3月に−「みんなで築くよりよい環境」を求めて−として報告した。今後、この報告に沿い、環境教育システムの構築等具体的な施策を進めていくこととしている。