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第1節 

2 大気汚染系疾病

(1) 現状
 補償法による大気汚染系指定疾病としては、慢性気管支炎、気管支ぜん息、ぜん息性気管支炎及び肺気しゅ並びにこれらの続発症が定められているが、これら疾病に係る被認定者数は、61年12月末で9万7,390人となっている(第6-1-1表)。
 また、これらの疾病に係る被認定者数の動向を50年から61年までの各年9月末現在における対前年同月比でみると、それぞれ81.9%、69.2%、31.9%、14.9%、11.3%、4.3%、3.8%、4.0%、3.8%、3.0%、3.8%、2.9%増であり、増加率は総体として落ち着きをみせている。
(2) 第一種地域の在り方
 58年11月12日、環境庁長官から、中央公害対策審議会に対し、我が国の大気汚染の態様の変化を踏まえ、今後における第一種地域のあり方に関して諮問が行われた結果、61年10月30日、同審議会から答申がなされた。
 答申の主な内容は、次のとおりである。
? 現在の大気汚染の状況の下においては、その影響が気管支ぜん息等の主たる原因とはいえなくなっているため、汚染原因者の負担によって、個人に対して民事責任を踏まえた補償を行う合理性は失われていると考えられる。
 したがって、現在第一種地域として指定されている41地域はすべて解除し、新規に患者の認定を行わないこととすることが適当である。
? 既に認定されている患者については、指定地域解除後も補償給付の支給、認定の更新等を従前どおり行うことが適当である。
? 健康被害防止事業の実施、大気汚染の健康影響に関する調査・研究の推進及び環境保健サーベイランス・システムの構築を内容とする総合的な環境保健に関する施策を推進することが適当である。
? 大都市地域における窒素酸化物等の大気汚染防止対策をより一層推進する必要がある。
 なお、第一種地域がすべて解除された場合においても、既被認定者に対する補償給付を継続すること等のため、「公害健康被害補償法の一部を改正する法律案」を、第108回国会に提出している。

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