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第2節 

1 硫黄酸化物対策

(1) 排出規制
 硫黄酸化物の排出規制は、施設単位の排出基準と高汚染地域における工場単位の総量規制基準とが実施されている。施設単位の排出基準は、K値規制と呼ばれ、排出口の高さに及び地域ごとに定められる定数Kの値(3.0〜17.5の16ランク、Kの値が小さいほど厳しい)に応じて排出量の許容量が定められており、Kの値は、43年12以降8次にわたり、段階的に改正強化が行われてきている。工場単位の総量規制基準は、工場、事業場が集合している地域で、排出基準のみによっては環境基準を確保することが困難である地域について国が総量規制地域として指定を行い、都道府県知事が作成する総量削減計画に基づき実施されており、現在、24地域で実施されている。また、60年6月には、これらの規制の対象に小型ボイラーを追加した。
 このほか、暖房等の中小煙源のために季節的な高濃度汚染を生ずる地域のばい煙発生施設及び総量規制指定地域にあって総量規制基準が適用されない小規模工場、事業場に対しては、石油系燃料の硫黄含有率に係る燃料使用基準を定めている(参考資料)。
(2) 発生源対策の状況
 硫黄酸化物の排出規制に対応する発生源対策として、?輸入燃料の抵硫黄化、?重油の脱硫、?排煙脱硫等の対策が講じられてきている。
? 輸入燃料の抵硫黄化については、LNG、LPG等の硫黄をほとんど含有しない燃料の輸入拡大を含む、我が国の一次エネルギー供給源の約3分の2を占める石油系燃料の抵硫黄化が進められてきており、精製用輸入原油中の平均硫黄含有率は1.5%前後で推移している。
? 重油脱硫については、42年度以来、直接脱硫、間接脱装置が建設されているが、60年度末の重油処理能力は、それぞれ13基7.3万kl/日、31基14.8万kl/日であった。
 このような原重油等の抵硫黄化、重油脱硫黄等により、内需用重油の平均硫黄含有率は、60年度1.13%になっている。
? 排煙脱硫装置については、41年から通商産業省による大型工業技術研究として研究開発が進められ、45年から実用装置が稼動を始めたが、その後設置基数及び処理能力とも着実に増加してきている(年度別の排煙脱硫装置設置状況は第2-2-1図のとおりである)。
 以上の諸対策により、二酸化硫黄による大気汚染の状況は40年代前半に比べ著しく改善されてきている。しかし、なお環境基準未達成の地域が残されていることから、未達成地域について、各地域ごとに既存の対策の効果の点検を行うこと等により、非達成の原因究明に努めている。

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