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第3節 

5 環境政策基盤の強化

 環境政策を推進していくためには、3の(2)でとりあげた環境教育の充実とともに、環境に関する情報システム、環境研究、環境保全技術など環境政策の基盤となるべき分野を充実・強化していくことが重要である。
 環境情報システムについては、環境政策の予見的、計画的、総合的な推進のため、各種の環境質の状況や自然環境に関するデータや環境に影響を与える各種経済社会活動に関するデータ等を科学的、体系的に整備し、これを適切に処理・解析し、提供できるようなシステムを整備することが必要である。また、環境研究は、環境に対する理解を深め、環境問題を解決するための科学的な基礎を提供するものであり、基礎的な研究はもとより、環境改善の遅れている分野や総合的な視野に立った政策指向的な研究など、幅広い分野について推進していくことが必要である。環境保全のための技術開発についても、今後、公害の防止、自然環境の保全、さらには快適な環境の創造に向けて、より一層の技術開発が期待されている。
 このような環境政策基盤に関する研究の例として、現在、国立公害研究所で開発を進めている環境総合解析情報システム(SAPIENS)についてみてみよう。(第3-3-1図)。このシステムは、体系的に収集・整備された環境情報を各種数理モデルによって解析し、更にその結果を評価するための一連のハードウェア、ソフトウェア、データバンクからなっている。データバンクには数値データだけでなく、画像データまで幅広いデータが多面的に収集されており、また、特に景観や地図情報を処理するための画像解析システムが充実している。さらに、同研究所に設置されている人間環境評価実験施設を用いて、結果を指標化してわかりやすく画像で表示することや、回答器を利用して集団の意思を把握するなどにより、住民への環境情報の提供、意見把握や専門家による評価検討ができるようになっている。

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