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第2節 

3 交通騒音対策

 交通騒音問題に対処するため、環境基準の達成を目標に各種の施策が講じられてきたところであり、一定の成果を収めたものもあるが、未だ十分に改善されたといえる状況にはない。
 すなわち、自動車騒音についてみると、環境基準の達成率は低い水準にとどまっている。特に、大都市地域では騒音の著しい地区は広範囲に分布しており、その他の都市地域では、主要な幹線道路沿道においてみられる。また、58年度に環境基準の達成目標期限等が到来した航空機騒音については、環境基準が未だ達成されていない地域が残されている状況にある。さらに、60年度に環境基準の目標達成期間が経過した東海道・山陽新幹線についても環境基準が未だ達成されていない地域が残されている状況にある。
 このため、引き続き環境基準の達成に向けて各種の施策を推進していく必要がある。
(1) 道路交通騒音対策
 自動車の交通に伴う騒音対策としては、従来から自動車構造の改善、地域特性を考慮した交通管理や道路構造の改善等が行われてきたところであるが、今後とも自動車交通量の増大が予想される状況下において、問題の抜本的解決を図っていくためには、これらの施策の充実・強化を図るとともに、環境保全に配慮した効率的かつ適正な交通体系が形成され、交通施設と周辺土地利用との整合性が確保されるよう関係機関が協力しつつ、引き続き各種施策を総合的に講じていく必要がある。
(2) 航空機騒音対策
 航空機騒音対策については、低騒音機の導入、運行方法の改善、住宅の移転補償・防音工事助成等が講じられてきたところである。
 今後ともこれらの施策の充実・強化を図っていくことが必要であるが、特に発生源対策や飛行場構造対策だけでは環境基準の達成を期することが困難な飛行場周辺地域においては、騒音による障害の少ない土地利用形態を実現するための施策の充実が必要である。
(3) 新幹線騒音対策
 新幹線騒音対策については、防音壁の設置、鉄げた橋りょうの防音工事、住宅防音工事助成等が講じられており、引き続き環境基準の達成に向けこれら対策の充実を図るとともに、今後、騒音による障害の少ない沿線土地利用への誘導を図るなどの対策を推進していく必要がある。
 なお、62年4月から、日本国有鉄道が分割・民営化されるが、その後も旅客鉄道株式会社などに適切な指導をしていくこととしている。

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