昭和43年の厚生省見解によると、カドミウムが「イタイイタイ病」の主因とされていることから、カドミウムによる健康被害発生の未然防止を図るため、カドミウム汚染地域において住民の健康調査を実施している(第6-2-1表)。
これらの住民健康調査を通じ、富山県神通川流域を除いてイタイイタイ病患者は発見されていない。
環境庁では、さらに神通川流域住民を対象として54年度から59年度にかけて住民健康調査を実施し、現在、そのデータの整理、解析に努めている。
カドミウム汚染と近位尿細管機能異常との間の因果関係をはじめイタイイタイ病の原因及びカドミウムの人体影響については、なお未解明な事項もあるため、環境庁においては、「イタイイタイ病及び慢性カドミウム中毒に関する総合的研究班」に委託して、次のような各種の調査・研究を実施し、その解明に努めている。
? 大型動物(サル)を使用したカドミウムの長期微量投与実験
? カドミウム環境汚染地域住民にみられる低分子量蛋白尿などの微候についての臨床医学的意義や発生機序に関する研究
? イタイイタイ病認定患者の予後の改善や発生の未然防止等の研究
? カドミウム環境汚染地域住民等の病理学的検索
また環境庁においては、大気汚染、水質汚濁等の人体影響について科学的な調査研究を推進するため、水俣病に関する総合的研究、慢性呼吸器疾患と環境因子との関連性についての研究、重金属等の人体影響に関する総合的研究等を行っている。