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第5節 

1 環境基準の設定等

(1) 環境基準等
 新幹線鉄道騒音対策の目標となる「新幹線鉄道騒音に係る環境基準」が50年7月29日に定められた(第4-5-1表)。同基準は、地域の類型に応じた基準値と既設、工事中、新設の別に騒音レベルに応じた沿線区域の区分ごとに達成目標期間を示しており、当該期間を目途として達成され、又は維持されるよう努めるものとされている。
 地域の類型の当てはめは、都道府県知事が行うこととしており、60年度末現在新幹線鉄道の運行しているすべての都府県(21)において行われている。
 政府はこの環境基準の円滑な達成に資するため、51年3月に音源対策及び障害防止対策等の基本的事項を定めた「新幹線鉄道騒音対策要綱」を閣議了解している。
 また、新幹線鉄道振動については、51年3月に環境庁長官から運輸大臣に対し、「環境保全上緊急を要する新幹線鉄道振動対策について」が勧告されている。


(2) 環境基準の達成状況
 東海道・山陽新幹線については60年7月、環境基準の達成目標期間の最終年である10年目が経過したため、環境庁において沿線の130か所で騒音測定を行うなどその達成状況等を把握したが、その概要は以下のとおりである。
? 東海道新幹線については、各種音源対策を実施した結果、対策前(40年代後半)に比べてかなり騒音レベルが低減しており、線路から12.5m地点の平均値は高架、盛土、切取・平地で76ホン、鉄桁81ホンとなっている。
 山陽新幹線については建設時におおむね音源対策が実施されているが線路から12.5m地点の平均値は高架77ホン、盛土76ホンとなっている(第4-5-2表第4-5-3図)。
? 距離別に環境基準の達成状況をみると第4-5-4表のとおりとなり、未達成の地域も相当みられる状況にある。
? 75ホンを超える区域の住宅防音工事の実施率は東海道・山陽あわせて9割を超え、環境基準が達成された場合と同等の屋内環境の保持はかなり図られている。
 東北・上越新幹線(大宮以北)については、60年6月及び11月にそれぞれ環境基準に定める達成目標期間の3年目を経過したが、75ホンを超える区域がみられた。当該区域においては屋内環境が保持されるようにするための住宅防音工事が国鉄及び日本鉄道建設公団により実施されており、その実施率は東北、上越につきそれぞれ約10%、99%となっている。

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