2 計画的取組
(1) 公害防止計画
公害防止計画は、「公害対策基本法」第19条の規定に基づく地域計画であり、現に公害が著しい地域等において策定されるものである。
この計画においては、事業者や地方公共団体等が公害防止に関する事業及び施策を推進するものとしている。。なお、これらの事業のうち「公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」において規定された事業については、国の負担又は補助のかさ上げなどが行われており、施策の一層の推進が図られている。公害防止計画は、45年12月から52年1月までの間に全国の主要な工業都市や大都市地域のほとんどについて策定された。52年以降は計画期間が終了したものについて地域の実情に応じた見直し等を行い、現在全国43地域において策定されている。
なお、近年、社会経済情勢の変化に伴って公害の態様も変化してきており、公害防止行政もこうした変化に的確に対応していく必要がある。このため、中長期的展望をもって公害防止計画のあり方の検討を行うべく、60年9月より、中央公害対策審議会防止計画部会に置いて検討を始めている。
(2) 国土利用計画(全国計画)
我が国においては、世界にも類をみない高密度社会が形成されていることから、国土利用に対する十分な配慮が欠如し、あるいは周辺の土地利用との調整が十分に行われない場合には、公害の発生や自然環境の破壊が生じやすい状況にある。そのため、環境保全の観点から充分な配慮を払いつつ土地利用対策を推進する必要がある。このような趣旨から国土の利用に関する基本的な計画である国土利用計画(全国計画)において、環境の保全に関する基本方向、措置等が示されることとされている。
この計画は、51年に初めて策定されたが、60年が目標年次となっていることから、改定作業が進められ、60年12月国土利用計画審議会の答申を受けて70年を目標年次とする第2次計画が閣議決定された。
今回の計画では、森林、農地等の自然的土地利用と都市的土地利用の量的調整に加えて国土利用の安全性、快適性及び健康性の確保という土地利用の質的向上に重点が置かれている。環境保全の観点からは、土地利用対策の重要性が高まっていることから、前回の計画に述べている公害の防止、自然環境の保全、歴史的風土の保存を図るための開発行為等の規制、環境影響評価の実施、工業再配置の促進等による土地利用の適正化に加え、公害の防止等のための交通施設周辺の適正な土地利用や湖沼等の水質保全に資する土地利用、自然の体系的保全、都市におけるゆとりのある快適な環境の創造等の土地利用上の諸措置が示された(第3-2-2表)。