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第1節 

1 技術革新の進展

 科学技術の進展は、経済社会の発展の主要な原動力の一つであり、これまで多くの技術革新が、社会の発展を支えるとともに、産業構造を変化させてきた。
 過去の技術開発の歴史を見ると、50年から60年の周期で技術革新の大きな波動がみられる。それぞれの時期における技術革新の流れをみることとしよう(第2-1-1図)。
 第1は、18世紀末から19世紀初頭にかけての時期であり、紡績機械や蒸気機関の発明があった。これらの技術革新により繊維産業等の軽工業が発達し、いわゆる産業革命が生じた。この結果、社会の生産力は飛躍的に増大することとなった。
 第2は、19世紀後半から末にかけての時期であり、蒸気機関に変わる内燃機関、鋼の安価な大量生産のための転炉法、平炉法等の技術革新が成し遂げられた。さらにこの時期には、無線電信、電話など今日のエレクトロニクスの基礎をなす技術革新や自動車、飛行機など今日の輸送体系を支える技術革新も行われている。これらの技術革新により機械工業が発達するとともに、道路の建設や都市の発展が促進されることになった。
 第3は、1930年から1950年を中心とする時期であり、高分子化学や原子物理学の発達を背景として、ナイロン、テレビ、ロケット、原子力等の技術開発が行われた。これらの技術革新により重化学工業の発達が促されることとなった。また、オートメーションによる大量生産方式が確立した。このほか、トランジスタや抗生物質など、今日の主要産業を支える様々な技術革新が行われている。
 この時期の技術革新は、巨大な科学技術を発展させ、環境に対しても大きな影響を与えることとなった。
 近年、エレクトロニクス、バイオテクノロジー、新素材等の先端技術が急速に進展しつつあり、新たな技術革新の時期の到来が言われている。
 以上みてきた技術革新の進展は、それぞれの時期において産業活動の変化や国民生活等の変化を通じて、環境に様々な影響を与えるものとなっている。

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