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第2節 

3 空き缶問題の現状と対策

 缶飲料は、流通・消費段階における取扱いが容易であることに加え、消費生活の多様化、自動販売機の急速な普及とも相まって、その生産量は急速に増大した。昭和45年には8億缶程度であったものが、昭和58年には100億缶を超える状況にある。これら缶飲料の空き缶の一部が道路、公園、河川等に散乱し環境美化の観点から問題となっている。
 環境庁が昭和59年度に全国の1,891市町村について実施したアンケート調査の結果によると、市町村別にみた散乱状況が「悪化した」と評価した市町村は6.1%であるが、「改善された」と評価した市町村は30.5%であった。(第5-2-7図参照)。
 このように一部地域では問題が残されているものの全体的傾向としては徐々に改善されてきている。
 空き缶散乱防止対策としては、大別して?投げ捨て防止と、?散乱空き缶の回収とがある。
 地方公共団体においては、それぞれの地域に応じた各種の対策を講じている。すなわち、空き缶散乱防止に関する条例や要綱を定めた地方公共団体が増加しているほか、モラルの向上を図るため投げ捨て防止のキャンペーン等回収を円滑にするための清掃の強化、住民団体の活動に対する助成が行われている。また、一部の地方公共団体等においては実験的に、公園等の区域を対象とした預り金方式(デポジット)による空き缶回収が行われている。
 国においては、昭和56年1月、関係11省庁からなる「空き缶問題連絡協議会」を設置し、同協議会における申し合せに基づき、57年度から空き缶散乱防止のための普及啓発活動の充実を図っているほか、環境庁及び厚生省は58年度から環境美化運動の一環として環境週間を中心とした「環境美化行動の日」の設定を地方公共団体に呼びかけ、空き缶散乱防止を含め、広く環境美化のための国民各層の積極的行動の推進を図っている。
 また、事業者においては、普及啓発活動を全国的に行うとともに、全国主要観光地で美化キャンペーンとしてごみ持ち帰り袋の配布、くずカゴの配布、全国各地で空き缶回収活動の推進及び自動販売機への回収容器の設置の促進等を行なっており、住民等においても、空き缶持ち帰り運動やごみの分別収集に協力するとともに、全国各地で散乱空き缶の清掃、資源化等でユニークな活動を行なう団体が増加している等それぞれの立場から空き缶散乱防止に貢献している。

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