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第4節 

4 油濁損害補償対策

 我が国は、タンカーによる油濁事故の補償対策として、1969年の「油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約」(「民事責任条約」という。)及び1971年の「油による汚染被害の補償のための国際基金の設立の関する国際条約」(「国際基金条約」という。)の2条約を締結するとともに、これら2条約を国内法化した「油濁損害賠償保障法」を50年12月に制定している。同法は、タンカーから流出した油による汚染損害に関して
? 船舶所有者に無過失責任を課すこと。
? その責任限度額を一定の範囲に制限すること。
? 2千トンを超える油を輸送するタンカーに責任保険契約の締結を義務付けること。
? 油濁損害の被害者は、以上の損害賠償制度では船舶所有者から十分な賠償を受けられなかった損害額について、国際基金に対し、補償の請求をすることができること(ただし、一定の補償限度額が決められている。)等を定めている。
 なお、59年5月IMO本部で開かれた国際会議で「民事責任条約」及び「国際基金条約」の改定議定書が採択された。同議定書の主な改正点は、?船舶所有者の責任限度額及び国際基金の補償限度額の引き上げ、?空船タンカー、排他的経済水域への適用対象の拡大等であり、現在これに対する我が国の対応方について検討しているところである。
 また、油濁による漁業被害のうち、相当部分を占める原因者不明の油濁被害については、(財)漁場油濁被害救済基金が実施する被害漁業者への救済事業(救済金の支給及び防除費の支弁)等に対して、引き続き助成を行った。なお、58年度における同基金の救済実績は、総件数45件、総救済額235百万円であった。

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