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第2節 

1 水道原水の汚濁

 水道では、その水源の約7割を河川、湖沼等の表流水に依存しており、これら公用水域における水質汚濁によって受ける影響は大きい。一方、水源の約3割を占める地下水については、従前は良質の水源とされてきたが、トリクロロエチレン等による汚染事例も生じており、水質の汚染が懸念されている。
 このため、水道水源の汚染事故により取水あるいは給水の制限又は停止等を行った水道数は57年度の64箇所から地下水汚染による事例等が増加したこともあって58年度には94箇所に増加している。
 また、近年、天然湖沼や貯水池の富栄養化による藻類等の異常な増殖に起因して、異臭味水等の被害が生じており、58年度には、76の水道事業等(給水人口の合計約970万人)において影響が生じている。
 これらの水道水源の汚濁に対して水道事業は、浄水処理の高度化、水源の変更等により対処してきているが、原水の汚濁は浄水処理のみならず水道事業の経営面においても大きな負担となっている。
 水道水は、直接人の飲用に供されることから、安全であることはもとより、異常な臭味等がなく快適に使用しうるものでなければならない。水道の原水は、可能な限り清浄であることが望ましく、水道水の水質管理のうえからも、原水水質の保全は一層重要な課題となっている。

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