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第5節 

3 生物モニタリング(生物指標環境汚染測定調査)の概要

 生物モニタリングは、化学物質審査規制法に基づく特定化学物質及び精密環境調査結果等から当該化学物質による環境汚染の進行を未然に防止するうえで注意深く監視を行う必要があると考えられる物質について、全国14地域で生物(魚、貝、鳥)を対象に環境汚染の経年監視を行うものである。
 58年度においては、クロルデン類5物質を新たに追加して合計34物質について生物中の残留濃度を調査した。その結果、クロルデン類については、大部分の調査地域の対象生物種から検出され、今後とも環境中における残留状況を注意深く追跡していく必要があると考えられた。また、その他の物質については、全般的にこれまでの検出状況と比較して特に大きな変化は見られなかった。
 生物モニタリングについては、測定データの蓄積がまだ十分でないこと等から、当該生物の生息域に係る環境の汚染状況の推移を把握するにはなお困難な面もあるが、主成分分析による予備的な統計解析を試み、全般的な汚染状況の推移をみてみた。その結果、現在のところ、わが国においては、これまでモニタリングの対象となってきた主要汚染物質の生物中への蓄積が進行している地域はなく、むしろ、北海道釧路沖のサケや東京湾のスズキなどでは年とともに汚染レベルが低下していると推定された。

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