前のページ 次のページ

第6節 

4 海外の環境保全への援助等

 我が国は海外の環境保全に積極的に協力している。
 ここでは、トルコ政府からの要請に応じて、国際協力事業団が環境庁の協力の下に実施しているアンカラ市の大気汚染対策調査の例についてみていこう。
 トルコのアンカラ市は暖房用に質の悪い亜炭を大量に使用することに加え、四方を丘に囲まれた盆地であるため、40年代以降人口の増加に伴って大気汚染問題が顕在化してきた。こうした状況の下で57年12月にトルコ政府は深刻な大気汚染問題を解決してきた我が国に対し、アンカラ市の大気汚染対策に係る協力要請を行ってきたものである。
 これに対し、我が国は58年3月以降国際協力事業団の技術協力(開発調査事業)の一環として、このプロジェクトに取り組んできている。プロジェクトの目的はアンカラ市の大気汚染の基本要因を調査するとともに、トルコ政府が進めている各種対策を評価し、最も効率的な対策を提示することにある。具体的には、58年3月に事前調査団を派遣したのを始めとして、59年11月からは気象、大気汚染の現地調査を開始している。
 このほかにも、国際協力事業団を通じて環境保全にかかわる人材の養育のための開発途上国からの研修員の受入れや、技術移転を図るための専門家の派遣等環境保全に関する国際的な援助、協力に努めている。
 我が国は他国に例を見ない環境汚染を経験し、その対策について相当の知見を蓄積していることから、公害防止技術等環境保全分野の国際協力について各国から寄せられる期待は大きい。また、我が国は国際的な経済活動を通じて、他国の環境問題とも深い関係にあり、環境保全を含む広範な領域において国際協力を進めていくことが良好で安定した国際関係の樹立につながるものといえよう。

前のページ 次のページ