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第3節 

3 公害防止計画

 公害防止計画は、公害対策基本法第19条の規定に基づき、次のような地域について公害の防止を目的として策定される地域計画である。
 ? 現に公害が著しく、かつ、公害防止に関する施策を総合的に講じなければ公害の防止が著しく困難であると認められる地域又は? 人口及び産業の急速な集中等により公害が著しくなるおそれがあり、かつ、公害の防止に関する施策を総合的に講じなければ公害の防止を図ることが著しく困難になると認められる地域
 この計画は、内閣総理大臣が、上記?又は?に該当する地域について、計画の基本方針を示して関係都道府県知事に対し策定を指示し、これをうけて都道府県知事が作成するものである。また、内閣総理大臣はその承認を行うこととなっている。
 公害防止計画においては、基本方針に基づき、公害の防止に関する施策として、事業者は大気汚染や水質汚濁などの防止のための措置を講じ、地方公共団体等は発生源に対する各種規制、環境影響評価、立地指導などを行うとともに、下水道整備、緩衝緑地整備、廃棄物処理施設整備などの公害防止のための事業(公害対策事業)や、公園・緑地等整備、交通対策などの公害防止に関する事業(公害関連事業)といった公共事業を推進するものとしている。公害対策事業のうち「公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」によって規定された下水道整備事業、緩衝緑地等設置、廃棄物処理施設設置等の事業については、同法に基づき、国の負担又は補助の嵩上げなどが行われており、施策の一層の推進が図られている。
 公害防止計画は、45年12月から52年1月までの間に全国の主要な工業都市や大都市地域のほとんどについて策定された。52年度以降は計画期間が終了したものについて地域の実情に応じた見直し等を行い、現在全国44地域において策定されている。
 59年度においては、58年度で計画期間が終了した第5次地域(苫小牧地域(北海道)等の10地域)のうち仙台湾地域(宮城県)等の8地域について63年度までを計画期間とする新たな計画が策定された。10地域のうち苫小牧地域及び東予地域(愛媛県)については内閣総理大臣から新たな計画の策定の指示がなされず、仙台湾地域、富山・高岡地域(富山県)及び備後地域(広島県)のそれぞれ一部区域についても、従来の計画には含まれていたが新計画で除外されたところである。これは、これらの地域及びその周辺地域について環境の状況及び今後5年間の開発動向等を総合的に勘案した結果、現時点において前記?又は?に該当しないと判断されたものである。一方、千葉臨海地域(千葉県)については従来の計画地域に隣接し、水質汚濁の著しい手賀沼及び印旛沼の流域の一部関係市町村を新たに計画地域にとりこみ、旧計画地域と一体として計画が策定された。

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