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第2節 

2 湖沼法の内容

(1) 湖沼法の目的
 湖沼法は、湖沼の水質保全のための基本方針を定めるとともに、水質環境基準の確保が緊要な湖沼を指定して、その水質保全のための計画を策定し、同計画の下で下水道整備等の水質保全に資する事業と各種汚濁源に対するきめ細かな規制等の措置を総合的かつ計画的に推進しようとするものである。
(2) 湖沼法の体系
 湖沼法に基づき、まず国は、湖沼水質保全基本方針を定めることとされている。
 次に、内閣総理大臣は、都道府県知事の申出に基づき、水質環境基準が現に確保されておらず、又は確保されないこととなるおそれが著しい湖沼であって、当該湖沼の水の利用状況、水質汚濁の推移等からみて特に水質保全に関する施策を総合的に講ずる必要があると認められるものを指定湖沼として、また、指定湖沼の水質汚濁と関係があると認められる地域を指定地域として指定することとされている。
 指定湖沼及び指定地域の指定を受けて、都道府県知事は、湖沼水質保全基本方針に基づき、5年ごとに、指定地域において指定湖沼の水質保全に関し実施すべき施策をとりまとめた湖沼水質保全計画を策定しなければならないとされている。
 この計画に基づいて、下水道、し尿処理施設の整備、しゅんせつ等の水質保全に資する事業の推進を図るとともに、従来からの水濁法に基づく排水規制に加え、新増設の工場・事業場に対する汚濁負荷量の抑制、畜・水産施設に係る管理の適正化等のための規制を行うなど各種汚濁源対策を講じ、更に、湖辺の自然環境の保護等にも努めることとしている。
 このような湖沼法と従来の水濁法との比較を示すと第3-2-1図のとおりである。


(3) 湖沼水質保全基本方針
 湖沼法に基づく湖沼水質保全基本方針は、閣議決定の上、59年12月26日、公表された。この基本方針では、湖沼の水質保全に関する基本構想、指定湖沼に係る湖沼水質保全計画の策定等に関する基本的事項その他を以下のとおり定めている。
 第1の「基本構想」においては、湖沼は人々の生活と生産活動を支えてきたかけがえのない国民的資産であるが、水が滞留して汚濁物質が蓄積しやすいという性格があり、近年、湖沼の水質汚濁が進行してきていることを指摘した上で、今後の湖沼水質保全施策の基本的方向として、
? それぞれの湖沼の水質状況等に応じて、汚濁の未然防止、対策の充実強化、更にはその重点実施といった所要の措置を講じること、
? 湖沼の水質にとって特に重大な有機汚濁と富栄養化に関し、順次適切な措置を講じていくこと、
? 汚濁の発生原因が多岐にわたることにかんがみ、全体として均衡のある対策を推進するとともに、湖沼をとりまく自然環境に存する水質保全上の機能に配慮した取組を図ること、
 の3点を掲げている。
 第2の「湖沼資質保全計画の策定その他指定湖沼の水質保全のための施策に関する基本的事項」においては、指定湖沼に係る湖沼水質保全計画の策定について指針を示すとともに、指定湖沼の水質保全のための各種対策の進め方が示されている。
 第3の「その他湖沼の水質保全に関する重要事項」では、指定湖沼以外の湖沼に関する水質保全対策等について示されている。
 この基本方針の策定に続き、60年3月20日に同法の施行期日を定める政令、施行令及び施行規則が公布され、同月21日から同法が施行されることとなった。

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