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第1節 

1 環境汚染の未然防止と環境影響評価

 悲惨な公害や自然環境の破壊を繰り返さないため、また、環境問題の根本的な解決のためには、一度起こった公害を除去するばかりでなく、公害が発生しないように環境汚染を未然に防止していくことが極めて重要である。
 環境影響評価、いわゆる環境アセスメントは環境汚染を未然に防止するための有力な手段の一つである。すなわち、環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業の実施に際し、その環境影響について事前に十分に調査、予測及び評価を行うとともに、その結果を公表して地域住民等の意見を聴き、十分な公害防止等の対策を講じようとするものであり、その必要性については広く認識が定着している。
 国際的にみても、アメリカ、スウェーデン、オーストラリア、西ドイツ、フランスなどの諸国において、それぞれの国情に応じ、環境影響評価の実施又は制度の確立をみている。また、経済協力開発機構(OECD)においては49年及び54年に環境影響評価の手続、手法等の確立についての理事会勧告が採択され、58年からは、環境委員会において開発援助における環境アセスメントについて検討が開始されている。
 このように環境汚染の未然防止を図ろうとする環境影響評価は国際的にも共通した課題となっているが、特に狭あいな国土に1億を超える人口を擁し、さまざまな経済社会活動が行われている我が国において、環境影響評価を行うことは重要である。

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