1 発生源等における公害対策
(1) 発生源対策
都市住民の健康を保護し、生活環境を保全する観点から、発生源対策の推進及び社会資本整備により環境負荷を低減する必要がある。
発生源対策のうち固定発生源に対する排出規制には、全国一律の規制と地域の環境の状況を勘案して実施される上乗せ規制等とがあり、都市活動の密度に応じ、これらを有効に組み合わせていく必要がある。
また、移動発生源についても、自動車の排出ガス・騒音規制、低騒音型飛行機の導入等が行われているが、これらの施策を今後とも推進することに加え、低公害型の輸送手段の開発普及に努める必要がある。
また、大都市圏においては、市街地が連担し、汚染物質の発生地域及び影響範囲が広範囲に及ぶことから、都道府県の行政区域を越えた広域的対応を迫られる問題がある。たとえば、水質汚濁については、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海を対象にCODに係る総量規制が導入されている。光化学大気汚染についても、広域的汚染予測手法の確立及びこれを緊急時対策に活用していくことが求められている。
(2) 下水道、廃棄物処理施設等の整備
下水道、廃棄物処理施設などの社会資本は、都市活動によって生じた生活排水、ごみ等を適切に処理することにより、都市内の環境負荷を低減するという役割を果たすものである。このため、地域特性に応じてこれら社会資本の効率的・重点的整備を進めていくことが、発生源対策と並んで、都市における環境問題を解決する上で重要な課題である。
下水道についてみると、大都市圏中心部においては、下水道の整備等が進み、魚が戻る地域もあるなど水質汚濁は一時に比べ改善されたが、上流部での普及の遅れ等により依然として汚濁水準が高い水域が多いことから、一層の充実に努める必要がある。大都市圏周辺都市及び地方都市においては、下水道整備が相対的に遅れており、計画的整備が必要であり、市街化の進行が予想される地域における先行的投資も求められている。また、湖沼などの閉鎖性水域における富栄養化を防止する等のため、窒素、りん等を除去する高度処理を必要に応じて導入していく必要がある。なお、下水道の普及率は58年度末全国平均で33%と低く、十分な普及までには多くの時間を要すると考えられることから、その効率的な執行を推進するとともに、下水道の整備を勘案し、地域の特性に応じた各種の生活排水処理施設の整備を進めていく必要がある。一方、今後下水道整備の進展等により汚泥発生量は一層増大することが見込まれるが、埋立地の確保が難しくなっていることから適正な有効利用を進めていく必要がある。
日常生活等に伴って排出される一般廃棄物は、処理・処分方法が不適切な場合には水質汚濁、悪臭、大気汚染等の原因となり、生活環境を汚染し、公衆衛生上の問題を生じさせることとなる。このため、ごみやし尿等を適正に処理・処分するための廃棄物処理施設の整備を計画的に進める必要がある。