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第1節 

6 国民参加の保全運動に対する取組

 イギリスでは、100万人を超える会員を擁するナショナルトラストという団体(1895年設立)が広く国民から寄金を募り、これにより自然の風景地や、歴史的、文化的遺産の取得・管理を行い、自然環境保全の面でも大きな役割を果たしている。我が国においても、北海道の知床における「知床100平方メートル運動」等各地においてこのイギリスのナショナルトラストに範をとった運動が行われているほか、新たな運動の芽生えも見られる等この問題についての国民の関心が高まってきていることがうかがわれる。
 これらの運動は、その動機や目的はもとより、運動の主体、方法等が事例ごとに多様性に富んでいるが、いずれも自然保護の一層の充実を国民的な広がりにおいて図っていく上で有意義なものであり、このような運動が今後国民的なコンセンサスのもとで更に普及、定着していくことが期待されるところである。
 このため、環境庁では、57年7月、学識経験者から成る「ナショナル・トラスト研究会」を設ける等運動の発展の方向についての研究を進めるとともに、57年度には愛称募集(最優秀作:国民環境基金)を行う等、運動の趣旨の普及に努めてきたが、59年度においては58年8月に取りまとめられた研究会報告の趣旨を踏まえ、この運動の普及、定着を図るための条件整備に努めるとともに、運動の趣旨の一層の普及等を図る。

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