1 UNEP(国連環境計画)
UNEPは、昭和47年にストックホルムで開催された国連人間環境会議を契機に、既存の国連システム内の諸機関が行っている環境関係の諸活動を一元的に調整し、かつ、これら諸機関等の環境保全分野での活動を促進することを目的として創設された。UNEPは、国連システム内での環境分野の総合的な調整にその活動の主体がおかれているが、その他の国際機関、各国政府、非政府機関とも幅広い協力を行っている。
UNEPの取り扱っている環境問題は、環境汚染、自然保護等に加え、人口の急増、貧困等に伴う環境問題をも包含し、非常に幅広い分野にわたっている。
UNEPが実施するプログラムは、世界環境モニタリングシステム、国際環境情報源照会制度、国際有害化学物質登録制度等の環境状況把握からなる環境評価、人間居住、生態系、砂漠化、環境と開発、環境法等からなる環境管理及び情報、教育・研修、技術援助からなる支援措置の3つに大別されている。UNEPに対して、我が国は、当初から理事国として、UNEPの管理理事会に参画するとともに、環境基金に対し、58年は400万ドル(ソ連の358万ドルを上回り、米国の785万ドルに次いで第2位)を拠出する等多大の貢献を行ってきた。
(1) 管理理事会
第11回UNEP管理理事会は、我が国を含む58の理事国のうち、53ヶ国が出席したほか、非理事国32、国連機関、国連専門機関、政府間機関、非政府機関及びオブサーバーが参加して、58年5月、ナイロビで開催された。
重要議題としての管理理事会の開催頻度、環境展望文書の作成課程、(特別委員会の設置)に加えて、システムワイド中期環境計画(UNEPが作成する専門機関も含めた国連システム全体の環境に関する59年から64年の中期計画)の予算配分が審議され、59〜60年の環境基金計画活動に使用される予算額は7,000万ドルと決定した。
この会議の結果は、12の決定としてまとめられているが、特に注目すべきものとしては、オゾン層保護協定案作成のための作業部会にならって、陸上起因の海洋汚染、有害廃棄物の輸送・処理・投棄及び有害化学物質の輸出入の3つの問題に関する国際的指針、原則を策定するための専門家作業部会の設置要請があげられる。また、経費節減等の観点から試験的に61年には理事会を開催せず、会期間非公式協議の廃止が決定され、常駐代表会合の充実強化を図ることとなった。
(2) オゾン層保護基本協定
UNEPは第9回管理理事会の決定のもとに57年に2回開催したオゾン層保護基本協定検討法律技術専門家特別作業部会の検討をもとに、第11回管理理事会では更に2回の法律技術専門家特別作業部会を開催することとなり、58年10月と59年1月の作業部会において世界的にオゾン層を保護するための協定案についての検討が行われた。