1 閉鎖性水域の水質の現状
近年における我が国の公共用水域の水質汚濁の現状を見ると特に後背地に大きな汚濁源を有する内海、内湾、湖沼等の閉鎖性水域は、流入する汚濁負荷が大きい上に汚濁物質が蓄積しやすいため、他の水域に比較して環境基準の達成状況が低いことに加えて、窒素、燐等を含む物質が流入し、藻類その他の水生生物が増殖繁茂することに伴い、その水質が累進的に悪化するという、いわゆる富栄養化の進行がみられる。
これら閉鎖性水域における57年度の環境基準の達成状況をみると、東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海の3海域では、それぞれ61%、41%、81%と他海域の84%に比較し低い状況にあり、また、湖沼は42%と特に低い状況にある(第1-6-1表、第1-6-2表、第1-6-3表)。
また、赤潮の発生状況をみると、58年は東京湾3件、伊勢湾42件、瀬戸内海46件(海上保安庁調べ)となっており、湖沼についてもアオコ(霞ヶ浦、諏訪湖等)や淡水赤潮(琵琶湖等)の発生がみられるものが少なくない(第1-6-4表)。
このような状況に対処するため、水質保全行政の一層の推進を図る必要がある。