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第4節 

3 生物モニタリング調査(生物指標環境汚染測定調査)の概要

(1) 昭和53年度より着手した生物モニタリング調査は、化学物質が食物連鎖等を通じて魚介類や鳥類に残留蓄積することがよく知られていることから、全国の定点において採取した魚介類、鳥類の指標生物を利用し、環境中の化学物質の濃度レベルの推移を長期的に把握しようとするものである。
(2) 昭和57年度調査においては、全国の14地域を対象に魚類、貝類、鳥類、計11種について調査を実施した。調査対象物質には有機塩素化合物(PCB及びその類似物質、BHC類、ドリン剤、DDT類、塩素化ベンゼン類)、フタル酸エステル類及びリン酸トリブチルを選定した。
(3) 各化学物質の検出状況の全体的傾向から特徴的なところを記述すれば以下のとおりである。
ア PCBは、なお16種中11種の対象生物種から検出された。
イ PCNは、前年度に引き続き全く検出されなかった。
ウ HCBは、微量ながら16種中8種の生物種から検出された。
エ BHC類の濃度レベルは、前年度と比較して大きな変化はなかった。
オ ドリン類のうち、ディルドリン及びエンドリンは、前年度と比較して低下の傾向がみられた。
カ DDT類については、検出レベルは前年度と比較して大きな差異はなかった。
キ 塩素化ベンゼン類及びリン酸トリブチルについては、検出頻度は低かった。
ク フタル酸エステル類は、前年度に引き続き検出されなかった。
(4) 得られたデータの詳細な評価については、本調査が昭和53年度を初年度として開始されたものであるため、更にデータの蓄積を待たなければならない点も多いと考えられる。
 今後とも長期的観点から調査を継続するとともに、調査の一層の充実に努めることとしている。

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