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第1節 

3 産業と国民生活の動向

 日本経済は、1960年代の高度成長の後、70年代には2度の石油危機の影響もあり平均実質5%程度の成長となった。1980年代においても、高度成長期よりは緩やかな成長が見込まれているが、その絶対的な規模は今後とも増えていくことが予測される。従って、経済活動が環境へ与える影響についても、今後ともその動向に十分に留意していく必要がある。
 今日の産業社会は、かなり早いテンポでその構造が変化している。変化の主要な要因としては、国際化、社会のニーズの変化、技術進歩などが考えられ、社会全体の基調としてはいわゆるソフト化が進展している。また、現在、産業の各分野で技術革新が進み、消費者のニーズの高度化に対応して、多様な製品の生産・流通・消費が拡大している。
 他方、国民生活も物的生活水準の向上、自由時間の増大などを背景に大きく変化している。国民の生活水準が向上した結果、日常生活で消費される商品も多様化しており、その中には、適正な使用・処理がされないならば環境問題を引き起こすおそれのあるものも増えている。
 また、国民の意識も変化し、物的な充足から精神的・文化的な充足の重要度が高まっている。さらに住民自らが積極的によりよい生活環境をつくっていこうという動きも高まっている。
 このように産業の変化と国民の生活様式や意識の変化と背景として、環境問題は新たな局面を迎えている。

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