国務大臣 環境庁長官
上田 稔
昭和59年の環境白書をここに公表いたします。昭和44年に第1回の公害白書を公表して以来、本年は第16回目の白書となります。
今日、経済が安定的に拡大する中で、人口構成が高齢化し、産業構造の高度化が進み、都市化の傾向にも変化がみられるなどいわゆる経済社会の成熟化が進んでいます。また、公害の発生源については工場などによるものに加えて、自動車などの移動発生源や家庭生活によるものも重要となってくるなど多様化し、その発生形態も複雑化しています。
さらに、人々の意識の面でも、やすらぎやうるおいのある快適な環境を求める傾向が高まっています。
本年の白書では、以上のような環境をめぐる諸条件や環境問題の変化を念頭に置いて記述しております。そして、国民の健康を保護し、生活環境や自然環境を保全するとともに、積極的に快適な環境を創造するなど環境行政の新たな展開を図ることによって「環境保全型社会」の形成を目指すこととしております。
この白書によって、国民各位の環境問題に対する認識と国の施策に対する理解が深まり、よりよい環境づくりに寄与することができれば幸いであります。
昭和59年5月