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第2節 

1 固定発生源対策

 大気汚染防止法に基づき、工場及び事業場における事業活動に伴って発生する?ばい煙、?粉じん及び?特定物質について、各種の規制措置が講じられている。
? ばい煙(硫黄酸化物、ばいじん及び窒素酸化物等の有害物質)に対する規制は、同法に基づく規制の中心となるものである。
 その規制内容は、まず、政令で定める「ばい煙発生施設」において発生し、排出口から排出されるばい煙について、排出量又は排出濃度に関する許容限度(排出基準)が定められている。このうち、硫黄酸化物及びばいじんについては、施設集合地域に限り、新・増設のばい煙発生施設についての特別の排出基準が定められている。
 また、硫黄酸化物及び窒素酸化物については、それぞれ政令で定める地域の一定規模以上の工場等(特定工場等)に設置されているすべてのばい煙発生施設において発生し、排出口から大気中に排出される硫黄酸化物又は窒素酸化物の合計量についての許容限度(総量規制基準)が定められている。
 なお、ばいじん及び有害物質については、都道府県の条例により、上記の国が定める排出基準にかえて上乗せ排出基準を定めることができることとなっている。
 これらの排出基準又は総量規制基準に違反した事業者(ばい煙排出者)に対しては、直ちに罰則が適用されることになっているほか、ばい煙発生施設の設置又は構造等の変更に際しては、都道府県知事及び大気汚染防止法施行令で委任を受けた政令市の長への事前の届出及びこれに対する都道府県知事等の計画変更命令等の措置が設けられ、規制基準の遵守が担保される仕組みとなっている。
? 粉じん規制の内容は、コンベア、破砕機、磨砕機等の「粉じん発生施設」として政令で定める施設について、粉じんの飛散防止のための構造、使用及び管理に関する基準が設定されている。
 粉じん発生施設についても、設置及び構造等の変更を行う場合は、都道府県知事に事前に届け出ることとなっている。
? 特定物質としては、現在政令でアンモニア、弗化水素等の28物質が指定されており、その規制内容は、特定物質を発生する施設(特定施設)について事故が発生した場合に、都道府県知事は事業者に対し、事故の拡大防止又は再発防止策を採るべきことを命ずることができることとなっている。
 「ばい煙発生施設」及び「粉じん発生施設」の都道府県知事等への届出状況は、第2-2-1図のとおりである。
 都道府県知事等は、同法の施行に必要な限度においてばい煙発生施設等を設置している工場等に立ち入り、これらの施設等を検査することができることとされており、この規定に基づき、各ばい煙発生施設等に対する定期的な測定、問題施設に対する重点的な立入検査等が行われ、この結果等により指導、勧告等が随時行われている。56年度におけるこれらの指導取締りの状況は、参考資料5及び6のとおりである。

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