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第5節 

2 対策の実施

 「新幹線鉄道騒音に係る環境基準」の円滑な達成に資するため、政府は51年3月5日に音源対策及び障害防止対策等の基本的事項を定めた「新幹線鉄道騒音対策要綱」を閣議了解した。この要綱は、?音源対策が騒音の防止又は軽減を図る上で最も基本的な施策であることにかんがみ、これを強力に実施する。?既設、工事中及び新設新幹線鉄道について、移転補償、民家防音工事の助成等の障害防止対策を実施する。?沿線地域の有効適切な土地利用等に配慮する、等を内容としている。
 日本国有鉄道等は、この対策要綱及び前記振動対策についての勧告に基づく運輸大臣の通達を受けて、新幹線鉄道の騒音振動対策実施要領を策定し、これに基づき、音源対策、振動源対策及び障害防止対策を実施しているところである。
 なお、既設の新幹線鉄道については、発生源対策のうち、防音壁の設置、鉄げた橋りょうの防音工事、レールの重量化については、現時点で技術的に可能な対策を概ね完了したため、今後は、引き続き、バラストマットの敷設、レールの波状摩耗、タイヤフラットの除去など軌道及び車両の保守管理の強化を図ることとしている。また、障害防止対策は、当面の方針として、騒音レベルが80ホン以上の区域に所在する住宅及び70ホンを超える区域に所在する学校・病院等並びに振動レベルが70デシベルを超える区域に所在する住宅及び学校・病院等について防音工事、防振工事あるいは移転の助成等を実施してきたが、騒音レベルが80ホン以上の区域に係る対策は55年度までに概ね完了したため、56年度からは更に75ホンを超える区域に係る対策を含めて推進している。

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