前のページ 次のページ

第6節 

1 閉鎖性水域の水質の現状

 近年における我が国の公共用水域の水質汚濁の状況は、総体的には改善の傾向にあるものの未だ望ましい水質環境に達していない水域も数多く残されている。
 特に後背地に大きな汚濁源を有する内海、内湾、湖沼等の閉鎖性水域は、流入する汚濁負荷が大きいうえに汚濁物質が蓄積しやすいため、他の水域に比較して環境基準の達成状況が悪いことに加えて、窒素、燐等を含む物質が流入し、藻類その他の水生生物が増殖繁茂することに伴い、その水質が累進的に悪化するという、いわゆる富栄養化の進行がみられる。
 これら閉鎖性水域における55年度の環境基準の達成状況をみると、東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海の3海域では、それぞれ61%、53%、72%と他海域の85%に比較し低い状況にあり、また、湖沼は42%と更に低い状況にある(第1-6-1表第1-6-2表第1-6-3表)。
 また、赤潮の発生状況をみると、56年は東京湾5件、伊勢湾20件、瀬戸内海55件となっており、湖沼についてもアオコ(霞ヶ浦、諏訪湖等)や淡水赤潮(琵琶湖等)の発生がみられるものも少なくない(第1-6-4表)。
 このような状況に対処するため、水質保全行政の一層の推進を図る必要がある。

前のページ 次のページ