2 化学物質の環境調査の結果について
昭和56年度に発表された55年度化学物質環境調査において調査対象とした物質は、72物質であり、一般環境調査、精密環境調査、大気調査の3種類の調査により環境中の濃度レベルを測定した。その調査結果は次のとおりである。
(1) 一般環境調査
一般環境調査は、これまで調査が行われていない化学物質について全国2〜3地域の水質及び底質を対象として行うものであり、55年度においては、分析法が確立された52物質について調査を行った。
その結果、グリオキザール、ニトリロトリ酢酸、ピリジン、シクロペンタン、シクロペンタジエン、N-フェニル-1-ナフチルアミン及び、N-フェニル-2-ナフチルアミンの7物質が検出された。(第1-4-3表)。このうち、N-フェニル-1-ナフチルアミン及びN-フェニル-2-ナフチルアミンについては、昭和56年度に精密環境調査を実施している。
(2) 精密環境調査
精密環境調査は、一般環境調査の結果等から、広範囲に環境残留性の確認を行う必要性がある物質について、全国10地域の水質、底質及び魚を対象として行うものであり、55年度においては、ジイソプロピルナフタレン、1-フェニル-1-(2,4-ジメチルフェニル)エタン、1-フェニル-1-(3,4-ジメチルフエニル)エタン、塩素化パラフィン及び有機シリコン化合物の5物質について調査を行った。(第1-4-4表)。これらの検出レベルは、いづれも現時点の知見においては、健康への影響は問題ないものと考えられる。
(3) 大気調査
大気調査では、15種のハロゲン化炭化水素を調査対象とし、都市部、山間部及び海岸部の25地点で秋季及び冬季に調査を行い、低濃度レベルではあるが、14物質が検出された。