1 窒素酸化物対策
硫黄(いおう)酸化物については総量規制の導入等の規制の強化、企業の努力によって環境基準の達成率は着実に高まっている。しかしながら窒素酸化物については、その汚染状況は改善が進まず、大都市地域で深刻な問題となっている。また、全国的にも環境基準の達成率はおおむね横ばいで推移している。
窒素酸化物は燃焼一般によって広く発生する。今後、生産活動、自動車交通量の増大によってその発生量は更に増大していく可能性があり、十分な対策が必要である。これに対し、窒素酸化物対策のための技術開発が進められている。低NOx燃焼技術については二段階燃焼法、低NOxバーナー、排気再循環等の採用により、相当程度の低減が可能になっている。排煙脱硝装置については、接触還元法や酸化吸収法等の開発が進められている。
窒素酸化物についても総量規制制度が導入され、60年3月までに環境基準を達成するために、所要の削減対策を実施することが特に緊要であると認められた東京都特別区等、横浜市等及び大阪市等の3地域が総量規制地域として指定された。