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第7節 漁業被害対策

(1) 漁業公害調査
 ?PCB・水銀等による汚染状況をは握するため、引き続き、魚介類の汚染状況調査を行うこととし、PCBについては14水域、水銀等については47水域について調査を実施するほか、魚介類への水銀蓄積機構を明らかにするための調査を鹿児島県において実施する。また、?近年、全国にひん発している貝類の毒化現象に対処するため、主要海域において毒化原因、毒貝の分布状況等についての点検調査を行うこととしている。更に、?「海洋水産資源開発促進法」に基づく沿岸水産資源開発区域及びその周辺水域における水質汚濁等による環境の悪化の防止を図るため、都道府県が実施する漁場環境調査に対し引き続き助成するとともに、?沿岸域における大規模な開発事業や大規模発電所の建設及び集中化に伴う海底等の形状変化、大規模な取排水等が水産資源及び漁場環境に与える影響等について調査を行うこととしている。このほか、各種開発事業が漁場環境に与える影響を適切に予測評価するための指針の策定及び実際に事業主体が作成した環境影響評価報告書の評価、検討を行うこととしている。
(2) 漁業公害の防止及び指導体制の整備
 ?水質汚濁等による漁業被害の発生防止とその軽減を図るため、都道府県に配置された漁業公害調査指導員による漁場の監視、緊急連絡等を行う漁業公害調査指導事業を引き続き実施するとともに、?公害による漁業被害の実態や公害防止対策等についての啓もう普及を図るため、映画製作、テレビ放映等を引き続き行うこととしている。また、?突発的な漁場油濁被害等の防止、軽減を図るため、油処理剤、オイルフェンス、油回収処理装置等の防除資器材や小型調査船等の整備につき、引き続き都道府県に対して助成することとしている。更に、?廃棄物等の堆積等により効用の低下している沿岸漁場及び内水面漁場について、都道府県が実施する廃棄物除去等の漁場復旧事業及び沿岸漁場整備開発事業の一環として行う大規模しゅんせつ等の事業に対し、引き続き助成するほか、水域一帯にわたる廃棄物の回収、除去、処理等一貫した清掃事業を行うための試験調査事業を継続して実施することとしている。
(3) 赤潮防止対策
 ?赤潮防止対策としては、近年、赤潮が多発し、又は特殊プランクトンが発生している瀬戸内海等の海面や琵琶湖等の内水面を対象として、テレファックス等を用いて漁協――道府県――水産庁を結ぶ赤潮関係の情報収集、処理、通報体制を整備するとともに、赤潮発生予察のための調査事業を実施することとしている。また、?赤潮の発生要因の一つと考えられる有機汚染泥(ヘドロ)について、56年度は、鹿児島湾、東京湾等において、その堆積分布状況、堆積量、性状等の調査を行うとともに、燧灘において生物相とヘドロ除去の関連について調査を行い、漁場改良復旧のための基礎資料を得ることとしている。更に、?赤潮被害の防止を図るため、粘土物質等の沈降によるヘドロ底質の改良技術、生物的、物理的手法による水中の富栄養化物質の除去技術、赤潮発生の予察技術、ヘドロしゅんせつによる漁場回復技術等赤潮被害の防止に関する各種技術の開発試験を実施することとしている。
(4) 漁業被害救済対策
 公害による被害漁業者の救済対策としては、?原因者不明の油濁事故の続発に対処するため、被害漁業者に対する救済金の支給、防除費の支弁等を行う財団法人漁場油濁被害救済基金に対し、事業費等の助成を行うこととしている。また、?養殖共済のうち赤潮特約に係る純掛金の一部について助成を行うこととしている。

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