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第1節 

1 研究体制の強化

(1) 機構・定員の充実
 機構は、50年度に現在の10部となり、その後は各部の内容の充実に重点を置いて整備を進めてきた。55年度においては、大型実験施設の完成及び研究活動の活発化に伴い、大気環境部に、光化学スモッグに関連して問題とされている粒子状汚染物質(エアロゾル)についての研究を担当するエアロゾル研究室を新設し、環境保健部に、環境汚染と人の健康影響、特に高血圧、糖尿病、癌等との因果関係を解明するための研究を担当する人間生態研究室を新設する等内部機構の充実を図った。
 定員については、エアロドーム(レーザーレーダー、エアロゾルチャンバー)等の大型実験施設に関連する研究及び新規特別研究の推進体制の強化、研究の進展に伴って本格化する野外調査の体制の強化に重点を置いて拡充を図っており、55年度においては、研究部門10名、情報・技術部門5名及び事務部門1名を増員した。これにより55年度末の機構定員は、10部、2課、33室236名(うち研究部門145名、情報・技術部門55名、事務部門36名)となった。
(2) 施設の整備
 研究活動の拠点となる実験研究施設等の整備は順調に進んでいる。55年度末までに完成した施設は、研究本館、管理棟、エネルギーセンター、中動物棟、大気モニター棟、実験ほ場、ラジオアイソトープ実験棟、廃棄物処理施設、共同利用棟(試・資料庫、大会議室)、生物生態園のほか、大型実験施として、植物実験棟?(ファイトトロン?……ガス暴露チャンバーなどで大気汚染物質が植物に及ぼす影響を研究する施設)、動物実験棟?(ズートロン?……ガス暴露チャンバーなどで大気汚染物質が生体に及ぼす影響を研究する施設)、大気化学実験棟(スモッグチャンバー……光化学スモッグの発生機構を研究する施設)、大気拡散実験棟(風洞……大気中の汚染物質の移流、拡散等物理的諸現象を研究する施設)、水生生物、水質実験等(アクアトロン?……人工湖槽、毒性実験施設、実験水槽などにより水中の汚濁物質の挙動、影響等を生物学、生態学の面から研究する施設)、水理実験棟(アクアトロン?……モデル湖、各種水路により流水中の汚濁原因物質の挙動を物理的な面から研究する施設)、土壌環境実験棟(ペドトロン……大型ライシメーターなどにより土壌及び底質における汚染物質の挙動等を研究する施設)、大気汚染実験棟(エアロドーム……レーザーレーダー、エアロゾルチャンバーなどにより大気汚染物質の空間分布の観測及び粒子状汚染物質の生成、拡散、消滅過程を研究する施設)、動物実験等?(ズートロン?……水質、土壌等の汚染に関連して、動物に重金属等を経口投与して生体への影響を研究する施設)等である。
 なお、植物実験等?(ファイトトロン?……土壌汚染物質の陸域生態系における循環について研究する施設)及び騒音影響実験棟(騒音が人間の心身に与える影響等を研究する施設)については、引き続き建設を進めているのに加え、新たに共同研究棟(悪臭、特殊毒物等に関する研究等のため共通して利用する施設)の建設に着手した。
 これらの施設が完成することにより、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染及び騒音についての大型実験施設がそろい、本構内に設置すべき施設の殆んどができあがることとなる。したがって、施設整備の重点は、今後、実地研究の場としてのフィールド実験施設の整備に移行することとなり、55年度においては、臨湖実験施設の建設に着手した。

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