5 検察庁における公害関係法令違反事件の受理・処理状況
最近5年間において全国の検察庁で取扱った公害関係法令違反事件の受理・処理状況は、第7-2-13表のとおりである。昭和55年中の受理人員は、6,440人で、前年より165人減少している。
次に、同55年中における受理人員を法令別に前年と対比してみると、第7-2-14表のとおりで、廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反の4,273人が最も多く、全体の66.4%を占め、以下海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律違反、水質汚濁防止違反、港則法違反の順となっており、この傾向はここ数年同じである。前年に比較して受理人員が増加した主なものとしては、水質汚濁防止違反(96人増)、下水道違反(30人増)、自然公園法違反(18人増)、となっており、反面、減少したものは、海洋汚染防止法違反(90人減)、廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反(85人減)、港則法違反(75人減)である。
同55年中における公害関係法令違反事件の処理状況は、第7-2-15表のとおりで、起訴人員は4,344人、不起訴人員は2,323人であり、起訴率は65.2%となっている。起訴人員のうち、公判請求されたものは、64人で、前年の84人より20人(23.8%)減少している。これを法令別にみると、廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反が57人で最も多く、次いで海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律違反、自然公園法違反の順となっている。また、略式命令を請求されたものは、4,280人で、起訴総数の98.5%を占めている。
良好な環境を保全するには、まずもって適正な行政施策による公害の未然防止が必要であり、刑事司法の関与する分野はおのずから限界があるのみならず、この種事犯の検挙には、種々の困難があることも否定できないところであるが、公害関係法規の罰則の適正な活用がこの種事犯の防止のために有効な一つの手段であることにかんがみるとき、今後ともこの種事犯に対する実効ある取締りが期待される。