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第4節 

3 海洋汚染の監視、取締り状況

(1) 監視取締りの現状
 海上保安庁は我が国周辺海域における船舶からの油や廃棄物の排出、臨海工場からの汚水の排出等について監視取締りを行っており、特に東京湾、伊勢湾、瀬戸内海及びこれらに近接する海域、本州南岸から南西諸島に至るタンカ―ル―ト海域等汚染発生のがい然性の高い海域においては、航空機を重点的に投入する等、効率的な監視取締りを実施している。
 特に大型タンカ―からのスラッジ投棄等が大きな社会問題となったことに鑑み、タンカ―ル―ト海域及びこれに接続する四国沖合のタンククリ―ニング海域についてヘリコプタ―とう戴型巡視船の配備を増強する等監視取締りの強化を図った。
 このほか海洋汚染事犯の一掃を図るため毎年期間を定めて集中的な取締りを実施しており55年においては6月、10月、12月に各1週間全国一斉取締りを行った。
 また、海上公害関係の組織や資機材の整備、分析、鑑定機能の充実、職員の研修等により監視取締り能力の一層の強化を図った。
 更に、海洋汚染事犯に対して有効適切な監視取締りを実施するため、排出源不明の油及び廃棄物の識別方法について研究開発を行った。
(2) 海上公害事犯の送致状況
 海上保安庁が最近3か年において送致した海上公害関係法令違反件数は第3-4-2表の通りで、55年に送致した1,553件のうち、船舶あるいは陸上からの油、廃棄物の排出等、海洋汚染に直接結びつく実質犯は1,337件で、全体の86%を占めている。

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