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第3節 

4 フロンガス問題について

(1) エアゾ―ル製品、冷媒等として利用されているフロン11、12を中心としたフロンガスは化学的に極めて安定な物質であるため、環境中に放出された場合、分解されずに成層圏に達してオゾン層を破壊し、その結果、地表面に達する紫外線が増加して、皮膚がんの増加、気候の変化等をもたらす可能性があると指摘されている。
 この問題には実際の成層圏オゾンの減少を実測することが現段階では困難であるなど未だ科学的な解明が十分に行われていない部分があるが、その反面、オゾン層の減少が現実に起った場合、その影響は、全地球的規模に及ぶ重大なものであり、影響の未然防止の観点から、早急に対策に取組む必要性か指摘されている。
(2) フロンガス問題を国際的にみた場合、米国等いくつかの国々においてはフロンガス放出の法的規制を実施しており、またEC(欧州共同体)においては、55年3月に、フロンガス放出抑制を決定した。更に、フロンガス問題は一国で完結しない全地球的規模の問題であることから、国連環境計画(UNEP)や、OECD等の国際機関でも検討が進められており、UNEPにおいては、55年4月フロンガス使用の大巾な削減を求める勧告を採択するに至っている。
(3) 本問題に関しては、科学的に十分な解明を行うことが重要であり我が国においても環境庁、気象庁等において、本問題に対応するため、従来から、各種の科学的調査を実施してきたところであるが、今後も各省庁協力のもとに、調査研究を一層推進していくものとしている。また、フロンガスのエアゾ―ル製品への使用量はここ数年来、全体的にみて減少の傾向にあり更に、55年12月のOECD環境委員会においてフロンガス(フロン11、12)の生産能力を当分の間増強しないよう努力する旨の方針を明らかにするなど、着実な対応がとられているところである。

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