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第2節 

2 環境影響評価制度の確立

 このように前記閣議了解に沿って環境影響評価の体制が整備されてきたが、この閣議了解では、対象となる事業の範囲や調査の手法、住民の意向を反映するための手続きなどを具体的に定めていないこともあり、事業の種類に応じて、また地域に応じて、それぞれ異なった措置が講ぜられているのが現状である。そのため、制度面から見れば、その評価手順等が十分整備されていないものなどもある。
 このような状況のもとで54年4月、中央公害対策審議会は環境影響評価制度のあり方について、環境庁長官に対し「速やかに法制度化を図るべきである」との答申を行った。
 政府においては、環境影響評価の確立を図るため、環境影響評価の法制度化についての検討、調整が進められてきたが、55年3月には、環境影響評価に関する関係閣僚会議が設置され、政府部内での調整がおこなわれ、5月には政府としての環境影響評価法案がとりまとめられた旨閣議に報告された。
 同法案については、55年度、自由民主党政務調査会環境部会の了解を経て同党政務調査会長のもとで審議が行われた。
 なお、国際的に見れば、環境影響評価制度の運営について既に10年余の実績を持ち、制度の改善の改善を図りつつより適切な運営を目指すアメリカをはじめとして、スウェ―デン、オ―ストラリア、フランスなどの諸国において、それぞれの国情に応じ、環境影響評価制度の確立をみている。また49年には、OECDにおいて環境影響評価の手続、手法の確立について理事会勧告、54年5月には閣僚レベル会議で、「環境に重要な影響を与える事業の評価」についての理事会勧告が採択されるなど、環境汚染の未然防止を図ろうとする環境影響評価は国際的にも共通した課題となっている。

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