「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」及び「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律」の適用により、廃棄物の適正な処理を推進するほか、処理施設の整備拡充等の施策及び「廃棄物有効利用モデル実験実施調査」「廃棄物処理施設の標準設計方法に関する調査」「廃棄物処理施設整備事業周辺環境計画策定法調査」等の調査研究を行うこととしている。なかでも、最終処分場の確保については、従来から、厚生省においての、その整備促進が図られているところであるが、全国的な土地利用の高密度化、関係住民との利害調整の困難等の事情から、その確保は今後ますます困難になることが予想される。これに対処するためには、廃棄物の焼却施設等の整備を進める一方、廃棄物の再生利用等の有効利用を図ることによる要最終処分量の減量化を積極的に推進する必要がある。
更に、最終処分場の確保が特に困難となっている首都圏等の大都市圏にあっては、国レベルで広域的な最終処分場の確保対策を講ずべく、厚生省において53年度来首都圏及び近畿圏の調査を進めてきたところであるが、55年度には、両地域における広域処分の基本計画を策定するための調査を行うとともに、中部圏についても広域処分の可能性について調査を行うこととしている。
産業廃棄物の処理については、従来から厚生省において産業廃棄物の実施は握調査研究に努めるとともに、産業廃棄物処理施設の整備を進めてきたところであるが、55年度においても「未指定産業廃棄物処理施設精密実態調査」「産業廃棄物オリジンデイストネーション調査」都道府県が実施する産業廃棄物減量化指導計画策定に要する経費の助成等を行うこととしている。
また、52年8月における「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規制」の改正により55年1月からし尿浄化槽の管理者は、厚生大臣の指定する検査機関等により毎年維持管理状況の検査を受けなければならないとされたが、55年度においては、この検査体制の全国的な整備を図ることとしている。
一方、通商産業省においては、産業廃棄物の再資源化を進め、産業廃棄物の減量化に資するため、都道府県又は大規模なコンビナート単位に国、地方公共団体、事業者等が共同で産業廃棄物の中間処理、焼却、再資源化、埋立処分を行う産業廃棄物の共同処理、再資源化センターの普及を図ることとし、このため54年度に引き続き55年度においても、合理的な共同処理・再資源化総合システムについての調査、設計を行い、その望ましいあり方を探ることとしている他、路上、公園等に散在しているあき缶を国、自治体、事業者、消費者が応分の負担をしつつ収集し、環境美化と資源の有効利用を推進することとしている。
また、石炭火力発電所からは膨大な石炭灰が排出されるので石炭火力の拡大のためにはこの石炭灰処理対策を確立することが必要であるため、大規模集中灰捨場の確保について灰捨場概念設計、環境条件、建設費、灰捨コスト、有効利用、需要調査等の詳細な全国的な立地予備調査を行う。
更に、(財)クリーン・ジャパン・センター等の各種民間の再資源化推進機関の各種実験及び調査研究事業の推進を図ることとしている。
なお、環境庁においては、引き続き、廃棄物の処分基準について、毒物、劇物を含む廃棄物処分に関する調査、廃棄物の海洋における拡散、水質に及ぼす影響に関する調査等の調査研究を実施するほか、新たに、廃棄物の洋上焼却基準の設定に関する調査を実施することとしている。